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東京大学 1962年 文系 第3問 解説

数学1/図形計量数学2/三角関数テーマ/面積・体積テーマ/図形総合
東京大学 1962年 文系 第3問 解説

方針・初手

図形の対称性に着目する。基準となる円周上に中心を持つ6つの円は、全体の中心の周りに $60^\circ$ ごとの回転対称性をもつ。また、各円の中心を通る直線に関して線対称性も備えている。

求める図形全体をそのまま計算するのは難しいため、合同な部分に分割して一部の面積を求め、それを何倍かする方針が基本となる。円の中心や交点を結んでできる正三角形やひし形に着目して幾何的に面積を足し合わせるアプローチと、極座標を用いて扇形領域の積分として処理する解析的なアプローチの2通りが考えられる。

解法1

基準となる「半径 $a$ の円周」の中心を $O$ とし、これを円 $C_0$ とする。

$C_0$ の周上を6等分する点を順に $P_1, P_2, P_3, P_4, P_5, P_6$ とする。これらは中心角 $60^\circ$ ごとに並んでいる。

$P_i$ を中心とする半径 $a$ の円を $C_i$ とする。隣り合う円 $C_i$ と $C_{i+1}$(ただし $C_7$ は $C_1$ とする)の交点のうち、$O$ でない方を $Q_i$ とする。

四角形 $OP_i Q_i P_{i+1}$ は、4辺の長さがすべて $C_i, C_{i+1}$ の半径 $a$ に等しいため、ひし形である。$\angle P_i O P_{i+1} = 60^\circ$ であるから、このひし形は2つの正三角形 $\triangle OP_i P_{i+1}$ と $\triangle Q_i P_i P_{i+1}$ を貼り合わせた形をしており、対角線 $OQ_i$ の長さは $\sqrt{3}a$ である。

また、$\angle Q_i O Q_{i+1} = 60^\circ$ であるため、6点 $Q_1, Q_2, \dots, Q_6$ を順に結んでできる多角形は、一辺の長さが $\sqrt{3}a$ の正六角形になる。

求める図形の面積 $S$ は、正六角形 $Q_1 Q_2 \dots Q_6$ の面積に、6つの弓形(例えば弦 $Q_6 Q_1$ と円 $C_1$ の外側の弧で囲まれた部分)の面積を加えたものである。

(i) 正六角形 $Q_1 Q_2 \dots Q_6$ の面積

一辺の長さが $\sqrt{3}a$ の正六角形であるから、一辺 $\sqrt{3}a$ の正三角形6個分の面積に等しい。

$$ 6 \times \frac{\sqrt{3}}{4}(\sqrt{3}a)^2 = \frac{9\sqrt{3}}{2}a^2 $$

(ii) 弓形の面積

円 $C_1$ 上の点 $Q_6, Q_1$ と中心 $P_1$ で作られる $\triangle P_1 Q_6 Q_1$ について考える。 $P_1 Q_6 = P_1 Q_1 = a$、弦 $Q_6 Q_1 = \sqrt{3}a$ であるから、余弦定理より、

$$ \cos \angle Q_6 P_1 Q_1 = \frac{a^2 + a^2 - (\sqrt{3}a)^2}{2 \cdot a \cdot a} = -\frac{1}{2} $$

よって、$\angle Q_6 P_1 Q_1 = 120^\circ$ である。 弓形の面積は、半径 $a$、中心角 $120^\circ$ の扇形の面積から $\triangle P_1 Q_6 Q_1$ の面積を引いて求められる。

$$ \frac{1}{2} \cdot a^2 \cdot \frac{2}{3}\pi - \frac{1}{2} \cdot a \cdot a \cdot \sin 120^\circ = \frac{\pi}{3}a^2 - \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 $$

以上より、求める総面積 $S$ は正六角形の面積と弓形6個分の面積の和であるから、

$$ \begin{aligned} S &= \frac{9\sqrt{3}}{2}a^2 + 6 \left( \frac{\pi}{3}a^2 - \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 \right) \\ &= \frac{9\sqrt{3}}{2}a^2 + 2\pi a^2 - \frac{3\sqrt{3}}{2}a^2 \\ &= (2\pi + 3\sqrt{3})a^2 \end{aligned} $$

解法2

基準となる円の中心を極 $O$ とし、6等分点の1つを通る半直線を始線とする極座標 $(r, \theta)$ を設定する。

円周上の6点は、$(a, 0), (a, \frac{\pi}{3}), (a, \frac{2\pi}{3}), \dots, (a, \frac{5\pi}{3})$ と表される。

極座標において、点 $(a, 0)$ を中心とする半径 $a$ の円の極方程式は、余弦定理 $a^2 = r^2 + a^2 - 2ar\cos\theta$ より、

$$ r = 2a\cos\theta \quad \left( -\frac{\pi}{2} \le \theta \le \frac{\pi}{2} \right) $$

となる。図形の対称性から、$-\frac{\pi}{6} \le \theta \le \frac{\pi}{6}$ の範囲にある面積を求め、それを6倍すれば全体の面積となる。

この範囲における領域の外周は、点 $(a, 0)$ を中心とする円の弧 $r = 2a\cos\theta$ で与えられる。($\theta = \pm \frac{\pi}{6}$ のとき $r = 2a\cos(\pm\frac{\pi}{6}) = \sqrt{3}a$ となり、隣の円との交点までの距離に一致する)

したがって、求める面積 $S$ は以下の積分で計算できる。

$$ \begin{aligned} S &= 6 \int_{-\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{6}} \frac{1}{2} r^2 \,d\theta \\ &= 6 \int_{0}^{\frac{\pi}{6}} (2a\cos\theta)^2 \,d\theta \\ &= 24a^2 \int_{0}^{\frac{\pi}{6}} \cos^2\theta \,d\theta \\ &= 24a^2 \int_{0}^{\frac{\pi}{6}} \frac{1 + \cos 2\theta}{2} \,d\theta \\ &= 12a^2 \left[ \theta + \frac{1}{2}\sin 2\theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{6}} \\ &= 12a^2 \left( \frac{\pi}{6} + \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \right) \\ &= (2\pi + 3\sqrt{3})a^2 \end{aligned} $$

解説

複数の円が重なり合う複雑な図形の面積を求める問題である。

図形が持つ高い対称性(この場合は $60^\circ$ の回転対称性)を利用して、全体を合同なパーツに分割して考えるのが求積の鉄則である。解法1のように「多角形+円弧部分」に幾何的に切り分ける方法は、直感的で図形の性質(正三角形やひし形の存在)に気付けば確実である。

一方で、円の重なりを極座標で捉える解法2は、極方程式 $r = 2a\cos\theta$ を知っていれば、積分範囲を見極めるだけで図形的な切り張りに頼らず機械的に計算を進めることができる。境界が切り替わる角度($\pm \frac{\pi}{6}$)を正確に求めることがポイントとなる。

答え

$$ (2\pi + 3\sqrt{3})a^2 $$

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