東京大学 1964年 文系 第2問 解説

方針・初手
曲線 $(1)$ 上の動点を $A$ とおき、線分 $AP$ を $m:n$ に内分する点 $B$ の座標を求める。点 $B$ が「任意の $A$ に対して」曲線 $(2)$ 上にあるという条件から、動点 $A$ の媒介変数(例えば $x$ 座標の $t$)についての恒等式を立式して係数を比較するのが基本方針である。
また、ある点を中心とする内分点の軌跡は、もとの図形の相似変換(拡大・縮小と平行移動)となることに着目すると、放物線の形状($x^2$ の係数)や頂点の移動を追う図形的な解法も有効である。
解法1
曲線 $(1): y = x^2$ 上の任意の点 $A$ の座標を $(t, t^2)$ とおく。 点 $P$ の座標を $(\alpha, \beta)$ とすると、線分 $AP$ を $m:n$ に内分する点 $B$ の座標 $(X, Y)$ は、
$$ X = \frac{nt + m\alpha}{m+n}, \quad Y = \frac{nt^2 + m\beta}{m+n} $$
と表される。 点 $B$ が常に曲線 $(2): y = 3x^2 + 24x + 50$ 上にあるための条件は、任意の $t$ に対して次の等式が成り立つことである。
$$ Y = 3X^2 + 24X + 50 $$
これに点 $B$ の座標を代入する。
$$ \frac{nt^2 + m\beta}{m+n} = 3 \left( \frac{nt + m\alpha}{m+n} \right)^2 + 24 \left( \frac{nt + m\alpha}{m+n} \right) + 50 $$
$m>0, n>0$ より $m+n \neq 0$ であるから、両辺に $(m+n)^2$ を掛けて分母を払う。
$$ (m+n)(nt^2 + m\beta) = 3(nt + m\alpha)^2 + 24(m+n)(nt + m\alpha) + 50(m+n)^2 $$
両辺を展開して $t$ について整理する。 左辺は、
$$ n(m+n)t^2 + m(m+n)\beta $$
右辺は、
$$ 3(n^2t^2 + 2mn\alpha t + m^2\alpha^2) + 24(m+n)(nt + m\alpha) + 50(m+n)^2 $$
$$ = 3n^2t^2 + \left\{ 6mn\alpha + 24n(m+n) \right\} t + 3m^2\alpha^2 + 24m(m+n)\alpha + 50(m+n)^2 $$
これが $t$ についての恒等式となるため、両辺の各次数の係数が等しくなる。
$t^2$ の係数比較:
$$ n(m+n) = 3n^2 $$
$t$ の係数比較:
$$ 0 = 6mn\alpha + 24n(m+n) $$
定数項の比較:
$$ m(m+n)\beta = 3m^2\alpha^2 + 24m(m+n)\alpha + 50(m+n)^2 $$
$n>0$ より、第1式から両辺を $n$ で割って、
$$ m+n = 3n \iff m = 2n $$
これより、$m:n = 2n:n = 2:1$ を得る。
次に、$m=2n$ を第2式に代入する。
$$ 0 = 6(2n)n\alpha + 24n(3n) $$
$$ 12n^2\alpha + 72n^2 = 0 $$
$12n^2 \neq 0$ で両辺を割ると、
$$ \alpha + 6 = 0 \iff \alpha = -6 $$
さらに、$m=2n$, $m+n=3n$, $\alpha=-6$ を第3式に代入する。
$$ (2n)(3n)\beta = 3(2n)^2(-6)^2 + 24(2n)(3n)(-6) + 50(3n)^2 $$
$$ 6n^2\beta = 432n^2 - 864n^2 + 450n^2 $$
$$ 6n^2\beta = 18n^2 $$
$6n^2 \neq 0$ で両辺を割ると、
$$ \beta = 3 $$
したがって、求める点 $P$ の座標と比は、$(\alpha, \beta) = (-6, 3)$、$m:n = 2:1$ である。
解法2
図形的な相似変換に着目する。 点 $A$ に対して線分 $AP$ を $m:n$ に内分する点が $B$ であるから、ベクトルを用いて表すと、
$$ \vec{PB} = \frac{n}{m+n}\vec{PA} $$
となる。これは、点 $P$ を相似の中心として、曲線 $(1)$ を $\frac{n}{m+n}$ 倍に縮小(または拡大)したものが曲線 $(2)$ であることを示している。
一般に、2次関数 $y = ax^2 + \dots$ のグラフを相似比 $k$ で相似拡大すると、新しいグラフの $x^2$ の係数は $\frac{a}{k}$ となる。 曲線 $(1): y = x^2$ の $x^2$ の係数は $1$、曲線 $(2): y = 3x^2 + 24x + 50$ の $x^2$ の係数は $3$ であるから、
$$ \frac{1}{k} = 3 \iff k = \frac{1}{3} $$
よって、相似比は $\frac{1}{3}$ である。
$$ \frac{n}{m+n} = \frac{1}{3} $$
これを解くと $3n = m+n$ より $m = 2n$ となり、$m:n = 2:1$ を得る。
次に、頂点の移動について考える。 曲線 $(1)$ の頂点を $V_1$、曲線 $(2)$ の頂点を $V_2$ とおく。 $V_1$ の座標は $(0, 0)$ である。 曲線 $(2)$ は $y = 3(x+4)^2 + 2$ と平方完成できるため、$V_2$ の座標は $(-4, 2)$ である。 相似の中心が $P(\alpha, \beta)$ であるから、頂点どうしの関係について以下が成り立つ。
$$ \vec{PV_2} = \frac{1}{3}\vec{PV_1} $$
成分で表すと、
$$ (-4 - \alpha, 2 - \beta) = \frac{1}{3} (0 - \alpha, 0 - \beta) $$
各成分を比較して方程式を立てる。 $x$ 成分について:
$$ -4 - \alpha = -\frac{1}{3}\alpha \iff \frac{2}{3}\alpha = -4 \iff \alpha = -6 $$
$y$ 成分について:
$$ 2 - \beta = -\frac{1}{3}\beta \iff \frac{2}{3}\beta = 2 \iff \beta = 3 $$
したがって、点 $P$ の座標は $(-6, 3)$ である。
解説
「任意の点 $A$ に対して」という条件から、媒介変数 $t$ を用いて恒等式に帰着させるのが最も確実なアプローチである。これが【解法1】の考え方であり、計算力は多少要求されるが、機械的な処理で確実に正答にたどり着くことができる。
一方、【解法2】のように図形的な意味(相似の中心)を捉えることができると、計算量を大幅に減らすことができる。内分点の集合が描く軌跡がもとの図形と相似になることは、ベクトル方程式 $\vec{PB} = k\vec{PA}$ を意識することで見えやすくなる。放物線の相似変換における「$x^2$ の係数の変化」と「頂点の移動」の2点に分割して処理する手際の良い解法である。
答え
点 $P$ の座標: $(-6, 3)$ 比 $m:n$: $2:1$
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