東京大学 1977年 文系 第4問 解説

方針・初手
- (i) は、平面が直線 $l$ を含み、直線 $m$ に平行であることから、平面の法線ベクトルが $l$ と $m$ の方向ベクトルの両方に垂直であることを利用する。
- (ii) は、直線上の点を媒介変数を用いて表し、3点が同一直線上にある条件(実数倍)に帰着させるのが標準的である。また、点と直線の定める平面を利用する図形的なアプローチも有効である。
解法1
(i)
直線 $l$ は2点 $A(1, 1, 0)$, $B(2, 1, 1)$ を通るから、その方向ベクトル $\vec{d_l}$ は、
$$ \vec{d_l} = \vec{AB} = (2-1, 1-1, 1-0) = (1, 0, 1) $$
直線 $m$ は2点 $C(1, 1, 1)$, $D(1, 3, 2)$ を通るから、その方向ベクトル $\vec{d_m}$ は、
$$ \vec{d_m} = \vec{CD} = (1-1, 3-1, 2-1) = (0, 2, 1) $$
求める平面を $\alpha$ とし、その法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおく。(ただし $\vec{n} \neq \vec{0}$)
平面 $\alpha$ は直線 $l$ を含み、直線 $m$ と平行であるから、$\vec{n}$ は $\vec{d_l}$ と $\vec{d_m}$ の両方に垂直である。 すなわち、$\vec{n} \cdot \vec{d_l} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{d_m} = 0$ が成り立つ。
$$ \begin{cases} a + c = 0 \\ 2b + c = 0 \end{cases} $$
これを解くと、$c = -a$, $b = -\frac{1}{2}c = \frac{1}{2}a$ となる。 $a = 2$ とすると $b = 1, c = -2$ となるので、法線ベクトルの1つとして $\vec{n} = (2, 1, -2)$ をとることができる。
平面 $\alpha$ は直線 $l$ 上の点 $A(1, 1, 0)$ を通るので、その方程式は、
$$ 2(x - 1) + 1(y - 1) - 2(z - 0) = 0 $$
整理して、
$$ 2x + y - 2z - 3 = 0 $$
(ii)
点 $P(2, 0, 1)$ を通る直線 $n$ と、直線 $l, m$ との交点をそれぞれ $Q, R$ とする。
点 $Q$ は直線 $l$ 上にあるので、実数 $s$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OQ} = \vec{OA} + s\vec{d_l} = (1, 1, 0) + s(1, 0, 1) = (1+s, 1, s) $$
点 $R$ は直線 $m$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OR} = \vec{OC} + t\vec{d_m} = (1, 1, 1) + t(0, 2, 1) = (1, 1+2t, 1+t) $$
3点 $P, Q, R$ は同一直線 $n$ 上にあるため、$\vec{PR} = k\vec{PQ}$ となる実数 $k$ が存在する。
$$ \vec{PQ} = \vec{OQ} - \vec{OP} = (1+s, 1, s) - (2, 0, 1) = (s-1, 1, s-1) $$
$$ \vec{PR} = \vec{OR} - \vec{OP} = (1, 1+2t, 1+t) - (2, 0, 1) = (-1, 1+2t, t) $$
これらを $\vec{PR} = k\vec{PQ}$ に代入して各成分を比較すると、
$$ \begin{cases} -1 = k(s-1) \\ 1+2t = k \\ t = k(s-1) \end{cases} $$
第1式と第3式より、
$$ t = -1 $$
これを第2式に代入して、
$$ k = 1 + 2(-1) = -1 $$
さらに第1式に代入して、
$$ -1 = -(s-1) $$
$$ s = 2 $$
以上より、交点 $Q$ の座標は $s=2$ を代入して $(3, 1, 2)$ となる。 交点 $R$ の座標は $t=-1$ を代入して $(1, -1, 0)$ となる。
解法2
ii)
交点を、平面と直線の交点として捉える解法を示す。 点 $P(2, 0, 1)$ と直線 $l$ の交点を $Q$、直線 $m$ との交点を $R$ とする。
直線 $n$ は点 $P$ を通り直線 $l$ と交わるので、点 $P$ と直線 $l$ が定める平面 $\beta$ 上に直線 $n$ 全体が含まれる。 したがって、交点 $R$ は「平面 $\beta$ と直線 $m$ の交点」として求めることができる。
$\vec{PA} = (1-2, 1-0, 0-1) = (-1, 1, -1)$ であり、平面 $\beta$ の法線ベクトル $\vec{n_\beta}$ は $\vec{PA}$ と $l$ の方向ベクトル $\vec{d_l} = (1, 0, 1)$ の両方に垂直であるから、成分を $(x, y, z)$ とおくと、
$$ \begin{cases} -x + y - z = 0 \\ x + z = 0 \end{cases} $$
これを満たす $\vec{n_\beta}$ の一つとして $(1, 0, -1)$ がとれる。 平面 $\beta$ は点 $P(2, 0, 1)$ を通るので、その方程式は、
$$ 1(x - 2) + 0(y - 0) - 1(z - 1) = 0 $$
$$ x - z - 1 = 0 $$
点 $R$ は直線 $m$ 上の点なので $(1, 1+2t, 1+t)$ とおけ、これが平面 $\beta$ 上にあるので、
$$ 1 - (1+t) - 1 = 0 $$
$$ t = -1 $$
よって、交点 $R$ は $(1, -1, 0)$ を得る。
同様に、直線 $n$ は点 $P$ を通り直線 $m$ と交わるので、点 $P$ と直線 $m$ が定める平面 $\gamma$ 上に含まれる。 交点 $Q$ は「平面 $\gamma$ と直線 $l$ の交点」となる。
$\vec{PC} = (1-2, 1-0, 1-1) = (-1, 1, 0)$ であり、平面 $\gamma$ の法線ベクトル $\vec{n_\gamma}$ は $\vec{PC}$ と $\vec{d_m} = (0, 2, 1)$ に垂直なので、成分を $(x, y, z)$ とおくと、
$$ \begin{cases} -x + y = 0 \\ 2y + z = 0 \end{cases} $$
これを満たす $\vec{n_\gamma}$ の一つとして $(1, 1, -2)$ がとれる。 平面 $\gamma$ は $P(2, 0, 1)$ を通るので、方程式は、
$$ 1(x - 2) + 1(y - 0) - 2(z - 1) = 0 $$
$$ x + y - 2z = 0 $$
点 $Q$ は直線 $l$ 上の点なので $(1+s, 1, s)$ とおけ、これが平面 $\gamma$ 上にあるので、
$$ (1+s) + 1 - 2s = 0 $$
$$ s = 2 $$
よって、交点 $Q$ は $(3, 1, 2)$ を得る。
解説
空間図形における直線と平面の方程式を扱う標準的な問題である。 (i) は法線ベクトルを求める基本操作を問うている。空間における「平面の決定」の条件を正しく立式できれば容易である。 (ii) は、未知の直線 $n$ をどのように処理するかがポイントとなる。解法1のように直線の媒介変数表示を用い、同一直線上にある条件(実数倍)に持ち込むのが最も確実で汎用性が高い。一方で、解法2のように点と直線から平面を作り、直線と平面の交点に帰着させるアプローチは計算量が少なくなりやすく、見通しが良い。
答え
(i)
$$ 2x + y - 2z - 3 = 0 $$
(ii)
$l$ と $n$ の交点: $(3, 1, 2)$ $m$ と $n$ の交点: $(1, -1, 0)$
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