名古屋大学 2005年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は、各動点が進んだ距離と各辺の長さから、線分の内分比を求めて位置ベクトルを立式する。それぞれの点がどの辺上をどのような速さで動くかに注意して立式する。
(2) は、交点 $M$ が線分 $PR$ 上と線分 $QS$ 上の2つの直線上にあることから、2つの媒介変数(たとえば $u, v$)を用いて $\overrightarrow{OM}$ を2通りに表す。4点 $O, A, B, C$ は同一平面上にないため、$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ の係数を比較して連立方程式を解き、$t$ の値を決定する。
解法1
(1)
正四面体 $OABC$ の1辺の長さは $1$ である。 点 $P$ は辺 $OA$ 上を点 $O$ から点 $A$ へ秒速 $1$ で動くため、$t$ 秒後の進んだ距離は $OP = t$ である。したがって、
$$\overrightarrow{OP} = \frac{t}{1}\overrightarrow{OA} = t\vec{a}$$
点 $Q$ は辺 $AB$ 上を点 $A$ から点 $B$ へ秒速 $\frac{1}{2}$ で動くため、$t$ 秒後の進んだ距離は $AQ = \frac{t}{2}$ である。点 $Q$ は線分 $AB$ を $\frac{t}{2} : \left(1 - \frac{t}{2}\right)$ に内分する点であるから、
$$\overrightarrow{OQ} = \left(1 - \frac{t}{2}\right)\overrightarrow{OA} + \frac{t}{2}\overrightarrow{OB} = \left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{a} + \frac{t}{2}\vec{b}$$
点 $R$ は辺 $BC$ 上を点 $B$ から点 $C$ へ秒速 $1$ で動くため、$t$ 秒後の進んだ距離は $BR = t$ である。点 $R$ は線分 $BC$ を $t : (1-t)$ に内分する点であるから、
$$\overrightarrow{OR} = (1-t)\overrightarrow{OB} + t\overrightarrow{OC} = (1-t)\vec{b} + t\vec{c}$$
点 $S$ は辺 $CO$ 上を点 $C$ から点 $O$ へ秒速 $\frac{1}{2}$ で動くため、$t$ 秒後の進んだ距離は $CS = \frac{t}{2}$ である。点 $S$ は線分 $CO$ を $\frac{t}{2} : \left(1 - \frac{t}{2}\right)$ に内分する点であるから、
$$\overrightarrow{OS} = \left(1 - \frac{t}{2}\right)\overrightarrow{OC} + \frac{t}{2}\overrightarrow{OO} = \left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{c}$$
(2)
点 $M$ は線分 $PR$ と線分 $QS$ の交点である。 点 $M$ が線分 $PR$ 上にあることから、実数 $u$ ($0 \leqq u \leqq 1$) を用いて次のように表せる。
$$\overrightarrow{OM} = (1-u)\overrightarrow{OP} + u\overrightarrow{OR}$$
これに (1) の結果を代入して整理すると、
$$\overrightarrow{OM} = (1-u)t\vec{a} + u\{(1-t)\vec{b} + t\vec{c}\}$$
$$\overrightarrow{OM} = t(1-u)\vec{a} + u(1-t)\vec{b} + ut\vec{c}$$
また、点 $M$ が線分 $QS$ 上にあることから、実数 $v$ ($0 \leqq v \leqq 1$) を用いて次のように表せる。
$$\overrightarrow{OM} = (1-v)\overrightarrow{OQ} + v\overrightarrow{OS}$$
これに (1) の結果を代入して整理すると、
$$\overrightarrow{OM} = (1-v)\left\{\left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{a} + \frac{t}{2}\vec{b}\right\} + v\left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{c}$$
$$\overrightarrow{OM} = (1-v)\left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{a} + \frac{t}{2}(1-v)\vec{b} + v\left(1 - \frac{t}{2}\right)\vec{c}$$
四面体 $OABC$ において、4点 $O, A, B, C$ は同一平面上にないため、3つのベクトル $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ は一次独立である。 したがって、各ベクトルの係数は等しくなり、以下の連立方程式が成り立つ。
(i) $t(1-u) = (1-v)\left(1 - \frac{t}{2}\right)$
(ii) $u(1-t) = \frac{t}{2}(1-v)$
(iii) $ut = v\left(1 - \frac{t}{2}\right)$
(i) と (iii) の両辺をそれぞれ足し合わせると、
$$t(1-u) + ut = (1-v)\left(1 - \frac{t}{2}\right) + v\left(1 - \frac{t}{2}\right)$$
$$t(1-u+u) = (1-v+v)\left(1 - \frac{t}{2}\right)$$
$$t = 1 - \frac{t}{2}$$
$$\frac{3}{2}t = 1$$
$$t = \frac{2}{3}$$
この値は $0 \leqq t \leqq 1$ を満たす。 $t = \frac{2}{3}$ を (ii) と (iii) に代入して $u, v$ の存在を確認する。
(ii) より、
$$\frac{1}{3}u = \frac{1}{3}(1-v)$$
$$u = 1-v$$
(iii) より、
$$\frac{2}{3}u = \frac{2}{3}v$$
$$u = v$$
これらを連立して解くと、$u = \frac{1}{2}, v = \frac{1}{2}$ を得る。 この値は $0 \leqq u \leqq 1$ および $0 \leqq v \leqq 1$ を満たしており、確かに線分上に交点 $M$ が存在することが示された。
したがって、求める $t$ の値は $t = \frac{2}{3}$ である。 このとき、$\overrightarrow{OM}$ は、先に求めた式に $t = \frac{2}{3}, u = \frac{1}{2}$ を代入して、
$$\overrightarrow{OM} = \frac{2}{3}\left(1 - \frac{1}{2}\right)\vec{a} + \frac{1}{2}\left(1 - \frac{2}{3}\right)\vec{b} + \frac{1}{2} \cdot \frac{2}{3}\vec{c}$$
$$\overrightarrow{OM} = \frac{1}{3}\vec{a} + \frac{1}{6}\vec{b} + \frac{1}{3}\vec{c}$$
解説
空間ベクトルにおいて、交点の位置ベクトルを2通りで表し、一次独立性から係数比較を行う典型的な問題である。 (2)の連立方程式を解く際に、文字 $u, v$ を消去しようとすると計算が煩雑になりやすい。式全体を見渡し、(i) と (iii) を辺々足し合わせることで $u, v$ が一気に消去され $t$ についての1次方程式に帰着できることに気づけると、大きく時間を短縮できる。
答え
(1)
$\overrightarrow{OP} = t\vec{a}$
$\overrightarrow{OQ} = \left(1-\frac{t}{2}\right)\vec{a} + \frac{t}{2}\vec{b}$
$\overrightarrow{OR} = (1-t)\vec{b} + t\vec{c}$
$\overrightarrow{OS} = \left(1-\frac{t}{2}\right)\vec{c}$
(2)
$t = \frac{2}{3}$, $\overrightarrow{OM} = \frac{1}{3}\vec{a} + \frac{1}{6}\vec{b} + \frac{1}{3}\vec{c}$
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