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東京大学 1974年 理系 第3問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/空間図形
東京大学 1974年 理系 第3問 解説

方針・初手

投影図の約束事に従い、空間内の点 $A, B$ の座標を空間座標系に翻訳することから始める。平面図の座標系をそのまま $xy$ 平面上の座標 $(x,y)$ とし、平画面に垂直な方向を $z$ 軸にとる。その後、与えられた2つの角度条件(平画面に対する傾き、直線 $AB$ とのなす角)をベクトルや図形の計量として立式し、連立して解く。

解法1

平画面を $xy$ 平面 ($z=0$) とする。平面図上の座標系は、点 $B$ の平面図 $b$ を原点 $(0,0)$ とし、$ab$ を $x$ 軸、$bb'$ を $y$ 軸としている。 図より、点 $a$ の座標は $(1,0)$ である。

空間内の点の平画面からの高さ($z$ 座標)は、投影図における基線からの距離として表される。 基線は平面図上で $b'$ を通り $x$ 軸に平行な直線であり、図の寸法から $y=1$ の直線であると読み取れる。 点 $B$ の立面図 $b'$ は基線上にあるため高さは $z=0$ であり、空間座標は $B(0,0,0)$ となる。 点 $A$ の立面図 $a'$ は基線から上に距離 $1$ の位置にあるため高さは $z=1$ であり、平面図が $a(1,0)$ であることから空間座標は $A(1,0,1)$ となる。

平画面上の跡である点 $C$ の空間座標を $(x,y,0)$ とおく。 直線 $AC$ の方向ベクトルは $\vec{AC} = (x-1,y,-1)$ である。 直線 $AC$ が平画面となす角が $30^\circ$ であるとき、平画面の法線ベクトル $\vec{n}=(0,0,1)$ と $\vec{AC}$ のなす角は $60^\circ$ または $120^\circ$ となるため、以下の式が成り立つ。

$$ \frac{|\vec{AC} \cdot \vec{n}|}{|\vec{AC}||\vec{n}|} = \cos 60^\circ = \frac{1}{2} $$

$$ \frac{|-1|}{\sqrt{(x-1)^2+y^2+(-1)^2}} = \frac{1}{2} $$

両辺を正として2乗して整理すると、

$$ (x-1)^2 + y^2 + 1 = 4 \iff (x-1)^2 + y^2 = 3 \quad \cdots \text{①} $$

次に、直線 $AC$ が直線 $AB$ となす角が $60^\circ$ である。 $\vec{BA} = (1,0,1)$ であり、$|\vec{BA}| = \sqrt{1^2+0^2+1^2} = \sqrt{2}$ である。①より $|\vec{AC}| = 2$ であることを用いると、以下の式が成り立つ。

$$ \frac{|\vec{AC} \cdot \vec{BA}|}{|\vec{AC}||\vec{BA}|} = \cos 60^\circ = \frac{1}{2} $$

$$ \frac{|(x-1) \cdot 1 + y \cdot 0 + (-1) \cdot 1|}{2 \sqrt{2}} = \frac{1}{2} $$

$$ |x-2| = \sqrt{2} \implies x = 2 \pm \sqrt{2} $$

(i)

$x = 2 + \sqrt{2}$ のとき

①に代入すると、

$$ (1+\sqrt{2})^2 + y^2 = 3 $$

$$ 3 + 2\sqrt{2} + y^2 = 3 \implies y^2 = -2\sqrt{2} $$

これを満たす実数 $y$ は存在しないため不適である。

(ii)

$x = 2 - \sqrt{2}$ のとき

①に代入すると、

$$ (1-\sqrt{2})^2 + y^2 = 3 $$

$$ 3 - 2\sqrt{2} + y^2 = 3 \implies y^2 = 2\sqrt{2} $$

よって、$y = \pm \sqrt{2\sqrt{2}} = \pm \sqrt[4]{8}$ となる。

以上より、平面図の座標系における点 $C$ の座標は $(2-\sqrt{2}, \pm \sqrt[4]{8})$ である。

解法2

空間座標の読み取りまでは解法1と同様であり、$B(0,0,0)$、$A(1,0,1)$、$C(x,y,0)$ とする。

点 $A$ から平画面に下ろした垂線の足を $A'$ とすると、$A'(1,0,0)$ である。これは平面図上の点 $a$ に一致する。 直角三角形 $AA'C$ において、$\angle AA'C = 90^\circ$ であり、直線 $AC$ と平画面のなす角は $\angle ACA' = 30^\circ$ であるから、

$$ AC = \frac{AA'}{\sin 30^\circ} = \frac{1}{\frac{1}{2}} = 2 $$

$$ A'C = \frac{AA'}{\tan 30^\circ} = \sqrt{3} $$

これより、点 $C$ は平画面上において点 $A'(1,0)$ を中心とする半径 $\sqrt{3}$ の円周上にある。すなわち、以下が成り立つ。

$$ (x-1)^2 + y^2 = 3 \implies x^2 + y^2 = 2x + 2 \quad \cdots \text{②} $$

次に、$\triangle ABC$ について考える。 $AB = \sqrt{1^2+0^2+1^2} = \sqrt{2}$ であり、$AC = 2$ である。 直線 $AC$ と直線 $AB$ のなす角が $60^\circ$ であるため、$\angle BAC = 60^\circ$ または $120^\circ$ である。$\triangle ABC$ において余弦定理を用いると、

$$ \begin{aligned} BC^2 &= AB^2 + AC^2 - 2 \cdot AB \cdot AC \cos \angle BAC \\ &= 2 + 4 - 2 \cdot \sqrt{2} \cdot 2 \cdot \left(\pm \frac{1}{2}\right) \\ &= 6 \mp 2\sqrt{2} \end{aligned} $$

一方で、平画面上における $B(0,0)$ と $C(x,y)$ の距離の2乗より、$BC^2 = x^2 + y^2$ である。②より $x^2 + y^2 = 2x + 2$ であるから、

$$ 2x + 2 = 6 \mp 2\sqrt{2} $$

$$ 2x = 4 \mp 2\sqrt{2} \implies x = 2 \mp \sqrt{2} $$

$x = 2 + \sqrt{2}$ のとき、$(1+\sqrt{2})^2 + y^2 = 3$ より $y^2 = -2\sqrt{2}$ となり不適である。 $x = 2 - \sqrt{2}$ のとき、$(1-\sqrt{2})^2 + y^2 = 3$ より $y^2 = 2\sqrt{2}$ となり、$y = \pm \sqrt[4]{8}$ を得る。

解説

投影図(画法幾何学)の基礎知識が問われる珍しい問題である。平画面・立画面の役割と基線の意味を正しく理解し、平面図と立面図から空間座標へ正確に翻訳できるかが最大の鍵となる。

座標設定さえできれば、直線と平面のなす角、直線同士のなす角という空間図形の基本概念を数式化する定石問題に帰着する。ベクトルを用いて内積から機械的に処理する手法(解法1)が確実であるが、空間上の直角三角形や余弦定理に着目することで、内積計算を回避し見通し良く解くことも可能である(解法2)。

計算の過程で $x$ の値が2つ現れるが、円の方程式(またはベクトルの大きさの条件)に戻して $y$ を求める際に一方が不適となる。条件の絞り込みを最後まで丁寧に行う必要がある。

答え

$$ \left( 2-\sqrt{2}, \pm \sqrt[4]{8} \right) $$

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