東京大学 1977年 理系 第6問 解説

方針・初手
空間図形における直線と平面の基本的な扱い方を問う問題である。 直線の方向ベクトルを求め、平面の法線ベクトルとの内積が $0$ になることを利用して平面の方程式を決定する。また、空間内の2直線と交わる直線については、直線上の点をパラメータを用いて表し、3点が同一直線上にある条件を立式する方針が確実である。あるいは、点と直線が定める平面に着目することで、より図形的に処理することもできる。
解法1
(i)
直線 $l$ は2点 $(1, 1, 0)$, $(2, 1, 1)$ を通るので、その方向ベクトルを $\vec{u}$ とすると、
$$ \vec{u} = (2-1, 1-1, 1-0) = (1, 0, 1) $$
直線 $m$ は2点 $(1, 1, 1)$, $(1, 3, 2)$ を通るので、その方向ベクトルを $\vec{v}$ とすると、
$$ \vec{v} = (1-1, 3-1, 2-1) = (0, 2, 1) $$
求める平面を $\alpha$ とし、その法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおく。 $\alpha$ は $l$ を含み、$m$ に平行であるから、法線ベクトル $\vec{n}$ は $\vec{u}$ および $\vec{v}$ の両方に垂直である。 したがって、$\vec{n} \cdot \vec{u} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{v} = 0$ が成り立つ。
$$ \begin{cases} a + c = 0 \\ 2b + c = 0 \end{cases} $$
これを解くと、$c = -a, c = -2b$ より $a = 2b$ となる。 $b = 1$ とすると $a = 2, c = -2$ となるので、$\vec{n} = (2, 1, -2)$ ととることができる。 平面 $\alpha$ は直線 $l$ 上の点 $(1, 1, 0)$ を通るため、その方程式は、
$$ 2(x - 1) + 1(y - 1) - 2(z - 0) = 0 $$
整理して、
$$ 2x + y - 2z - 3 = 0 $$
ii)
与えられた点 $P(2, 0, 1)$ を通り $l, m$ と交わる直線を $n$ とし、$n$ と $l$ の交点を $Q$、$n$ と $m$ の交点を $R$ とする。 点 $Q$ は $l$ 上にあるので、実数 $s$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OQ} = (1, 1, 0) + s(1, 0, 1) = (1+s, 1, s) $$
点 $R$ は $m$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OR} = (1, 1, 1) + t(0, 2, 1) = (1, 1+2t, 1+t) $$
$Q, R$ は点 $P$ を通る直線 $n$ 上にあるため、3点 $P, Q, R$ は同一直線上にある。 したがって、$\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ は平行である。
$$ \vec{PQ} = \vec{OQ} - \vec{OP} = (1+s-2, 1-0, s-1) = (s-1, 1, s-1) $$
$$ \vec{PR} = \vec{OR} - \vec{OP} = (1-2, 1+2t-0, 1+t-1) = (-1, 1+2t, t) $$
これらが平行であるから、実数 $k$ を用いて $\vec{PQ} = k\vec{PR}$ と表せる。
$$ \begin{cases} s - 1 = -k \\ 1 = k(1 + 2t) \\ s - 1 = kt \end{cases} $$
第1式と第3式より、$-k = kt$ すなわち $k(t+1) = 0$ となる。 もし $k = 0$ とすると、第2式が $1 = 0$ となり矛盾するため、$k \neq 0$ である。 したがって、$t + 1 = 0$ より $t = -1$ を得る。
これを第2式に代入すると、$1 = k(1 - 2)$ より $k = -1$ となる。 さらに第1式に代入して、$s - 1 = 1$ より $s = 2$ となる。
求めたパラメータをそれぞれの座標の式に代入する。 点 $Q$ の座標は、$(1+2, 1, 2) = (3, 1, 2)$ である。 点 $R$ の座標は、$(1, 1-2, 1-1) = (1, -1, 0)$ である。
解法2
ii) の別解(平面の方程式を利用する解法)
直線 $n$ は点 $P(2, 0, 1)$ を通り、かつ直線 $l$ と交わるため、$n$ は「点 $P$ と直線 $l$ を含む平面 $\beta$」上にある。 同様に、$n$ は直線 $m$ と交わるため、「点 $P$ と直線 $m$ を含む平面 $\gamma$」上にもある。 したがって、交点 $Q$ は「直線 $l$ と平面 $\gamma$ の交点」、交点 $R$ は「直線 $m$ と平面 $\beta$ の交点」として求めることができる。
まず、平面 $\beta$ の方程式を求める。 直線 $l$ 上の2点を $A(1, 1, 0), B(2, 1, 1)$ とすると、平面 $\beta$ は $P, A, B$ を通る。
$$ \vec{PA} = (-1, 1, -1) $$
$$ \vec{PB} = (0, 1, 0) $$
平面 $\beta$ の法線ベクトルを $\vec{n_\beta}$ とすると、$\vec{PA}$ と $\vec{PB}$ の両方に垂直なので、それぞれの内積が $0$ になるようなベクトルとして、
$$ \vec{n_\beta} = (1, 0, -1) $$
をとることができる。 平面 $\beta$ は点 $P(2, 0, 1)$ を通るので、その方程式は、
$$ 1(x - 2) + 0(y - 0) - 1(z - 1) = 0 $$
$$ x - z - 1 = 0 $$
交点 $R$ は直線 $m$ 上にあるため、実数 $t$ を用いて $R(1, 1+2t, 1+t)$ と表せる。これが平面 $\beta$ 上にあるので、
$$ 1 - (1+t) - 1 = 0 $$
これを解いて $t = -1$。よって、$R(1, -1, 0)$ を得る。
次に、平面 $\gamma$ の方程式を求める。 直線 $m$ 上の2点を $C(1, 1, 1), D(1, 3, 2)$ とすると、平面 $\gamma$ は $P, C, D$ を通る。
$$ \vec{PC} = (-1, 1, 0) $$
$$ \vec{PD} = (-1, 3, 1) $$
平面 $\gamma$ の法線ベクトルを $\vec{n_\gamma}$ とすると、$\vec{PC}$ と $\vec{PD}$ の両方に垂直なので、それぞれの内積が $0$ になるようなベクトルとして、
$$ \vec{n_\gamma} = (1, 1, -2) $$
をとることができる。 平面 $\gamma$ は点 $P(2, 0, 1)$ を通るので、その方程式は、
$$ 1(x - 2) + 1(y - 0) - 2(z - 1) = 0 $$
$$ x + y - 2z = 0 $$
交点 $Q$ は直線 $l$ 上にあるため、実数 $s$ を用いて $Q(1+s, 1, s)$ と表せる。これが平面 $\gamma$ 上にあるので、
$$ (1+s) + 1 - 2s = 0 $$
これを解いて $s = 2$。よって、$Q(3, 1, 2)$ を得る。
解説
空間図形における定番の処理を問う標準的な問題である。 (i) では「直線を含む」「直線に平行」という条件を、方向ベクトルと法線ベクトルの関係(垂直条件)に翻訳できれば容易に解ける。 (ii) は2通りのアプローチが考えられる。解法1のようにパラメータを設定し、「3点が同一直線上にある」という条件を立式するのが最もシンプルで気づきやすい。一方、解法2のように点と直線が張る平面を考える方法は、見通しが良く計算ミスを防ぎやすい優れた発想である。ベクトル方程式と図形的な性質の両方を日頃から意識しておくとよい。
答え
(i)
$$ 2x + y - 2z - 3 = 0 $$
(ii)
$l$ と $n$ の交点は $(3, 1, 2)$ $m$ と $n$ の交点は $(1, -1, 0)$
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