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東京大学 1999年 文系 第3問 解説

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東京大学 1999年 文系 第3問 解説

方針・初手

放物線 $A$ と放物線 $B$ が直線 $y = x - c$ に関して対称であることを利用する。放物線 $B$ の方程式を直接求めるのではなく、線分 $PQ$ の長さの最小化を、放物線 $A$ 上の点 $P$ から対称軸となる直線までの距離の最小化に帰着させるのが見通しの良い方針である。

解法1

対称の軸となる直線を $l: y = x - c$、すなわち $x - y - c = 0$ とおく。

放物線 $A: y = x^2$ 上の点 $P$ を $(t, t^2)$ とする。点 $P$ から直線 $l$ に下ろした垂線の長さを $d_P$ とすると、点と直線の距離の公式より、

$$ d_P = \frac{|t - t^2 - c|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{|t^2 - t + c|}{\sqrt{2}} $$

ここで、絶対値の中の式を平方完成すると、

$$ t^2 - t + c = \left( t - \frac{1}{2} \right)^2 + c - \frac{1}{4} $$

条件より $c > \frac{1}{4}$ であるから $c - \frac{1}{4} > 0$ となり、すべての実数 $t$ に対して $t^2 - t + c > 0$ が成り立つ。したがって、絶対値記号はそのまま外すことができ、

$$ d_P = \frac{1}{\sqrt{2}} \left\{ \left( t - \frac{1}{2} \right)^2 + c - \frac{1}{4} \right\} $$

となる。これは $t = \frac{1}{2}$ のとき、最小値 $\frac{1}{\sqrt{2}} \left( c - \frac{1}{4} \right) = \frac{4c - 1}{4\sqrt{2}}$ をとる。

一方、放物線 $B$ は直線 $l$ に関して $A$ と対称である。$A$ と $l$ が共有点を持たないため、$A$ と $B$ は直線 $l$ を境界として反対側の領域にある。

したがって、点 $P \in A$ と点 $Q \in B$ を結ぶ線分 $PQ$ は必ず直線 $l$ と交わる。その交点を $M$ とし、点 $Q$ から直線 $l$ に下ろした垂線の長さを $d_Q$ とすると、直角三角形(または退化した三角形)における斜辺と他の1辺の長さの関係から、

$$ PM \geqq d_P, \quad MQ \geqq d_Q $$

が成り立つ。よって、

$$ PQ = PM + MQ \geqq d_P + d_Q $$

となる。放物線 $B$ は直線 $l$ に関して $A$ と対称であるから、点 $Q$ が $B$ 上を動くときの $d_Q$ の最小値は、$d_P$ の最小値に等しく $\frac{4c - 1}{4\sqrt{2}}$ である。ゆえに、

$$ PQ \geqq \frac{4c - 1}{4\sqrt{2}} + \frac{4c - 1}{4\sqrt{2}} = \frac{4c - 1}{2\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}(4c - 1)}{4} $$

が成り立つ。

等号は、点 $P$ が $A$ 上で直線 $l$ に最も近い点であり、かつ点 $Q$ がその点と直線 $l$ に関して対称な位置にあるときに成立する。

以上より、線分 $PQ$ の長さの最小値は $\frac{\sqrt{2}(4c - 1)}{4}$ である。

解法2

対称の軸となる直線を $l: y = x - c$ とする。

放物線 $A: y = x^2$ において $y' = 2x$ であるから、放物線 $A$ 上の点で直線 $l$ (傾き $1$)と平行な接線をもつ点の $x$ 座標は、

$$ 2x = 1 \iff x = \frac{1}{2} $$

である。このときの接点を $P_0 \left( \frac{1}{2}, \frac{1}{4} \right)$ とし、点 $P_0$ における接線を $m$ とすると、$m$ の方程式は

$$ y - \frac{1}{4} = 1 \cdot \left( x - \frac{1}{2} \right) \iff y = x - \frac{1}{4} $$

すなわち $x - y - \frac{1}{4} = 0$ となる。

放物線 $A$ は下に凸であり、条件 $c > \frac{1}{4}$ より直線 $l$ と交わらないため、$A$ の全体は直線 $l$ と直線 $m$ に挟まれない領域に存在する。したがって、放物線 $A$ 上の点と直線 $l$ の距離の最小値 $d$ は、平行な2直線 $l, m$ の距離に等しい。

直線 $l: x - y - c = 0$ と接線 $m: x - y - \frac{1}{4} = 0$ の距離 $d$ は、

$$ d = \frac{\left| -c - \left( -\frac{1}{4} \right) \right|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{\left| \frac{1}{4} - c \right|}{\sqrt{2}} $$

条件 $c > \frac{1}{4}$ より $\frac{1}{4} - c < 0$ であるから、

$$ d = \frac{c - \frac{1}{4}}{\sqrt{2}} = \frac{4c - 1}{4\sqrt{2}} $$

となる。

放物線 $B$ は直線 $l$ に関して放物線 $A$ と対称であるから、放物線 $B$ 上の点と直線 $l$ の距離の最小値も $d$ に等しい。点 $P$ と点 $Q$ は直線 $l$ を挟んで反対側にあるため、線分 $PQ$ の長さは、点 $P$ および点 $Q$ と直線 $l$ との距離の和以上となる。

よって、

$$ PQ \geqq d + d = 2d = \frac{4c - 1}{2\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}(4c - 1)}{4} $$

が成り立つ。

等号は、点 $P$ が接点 $P_0$ に一致し、点 $Q$ が $P_0$ の直線 $l$ に関する対称点に一致するときに成立する。

したがって、求める最小値は $\frac{\sqrt{2}(4c - 1)}{4}$ である。

解説

放物線 $B$ の方程式を $x$ と $y$ を入れ替えるなどの軌跡の計算で直接求めようとすると、式が複雑になり計算ミスを誘発しやすくなる。図形の対称性に注目し、「図形 $A$ と図形 $B$ の最短距離は、図形 $A$ と対称軸の最短距離の2倍になる」という性質を利用できるかどうかがポイントである。

図形と直線の最短距離を求める手法としては、「点と直線の距離の公式を用いて変数関数の最小値を求める方法(解法1)」と、「直線に平行な接線を考える図形的なアプローチ(解法2)」の2つが定石であり、どちらを用いても簡潔に解答できる。

答え

$$ \frac{\sqrt{2}(4c - 1)}{4} $$

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