東京大学 1999年 文系 第2問 解説

方針・初手
複素数 $z$ を実部と虚部に分けて $z = x + yi$ とおく。条件 (a) から実部に関する関係式を導き、条件 (b) の不等式と組み合わせて、$x, y$ の満たすべき条件を絞り込む。実部が整数であるという条件から、最終的には整数の不定方程式の解を求める問題に帰着させる。
解法1
$z = x + yi$ ($x, y$ は実数) とおく。 条件 (b) より $|z| \geqq 1$ であるから、$z \neq 0$ であり、
$$ x^2 + y^2 \geqq 1 $$
が成り立つ。
$2z = 2x + 2yi$ であるから、$2z$ の実部は $2x$ である。 条件 (a) より、これが整数であるから、$m$ を整数として、
$$ 2x = m $$
とおける。
また、$\frac{2}{z}$ を実部と虚部に分けると、
$$ \frac{2}{z} = \frac{2\bar{z}}{|z|^2} = \frac{2(x - yi)}{x^2 + y^2} = \frac{2x}{x^2 + y^2} - \frac{2y}{x^2 + y^2}i $$
となるため、$\frac{2}{z}$ の実部は $\frac{2x}{x^2 + y^2}$ である。 条件 (a) より、これも整数であるから、$n$ を整数として、
$$ \frac{2x}{x^2 + y^2} = n $$
とおける。ここに $2x = m$ を代入すると、
$$ \frac{m}{x^2 + y^2} = n $$
となる。ここで $n$ の値によって場合分けを行う。
(i)
$n = 0$ のとき $\frac{m}{x^2 + y^2} = 0$ より $m = 0$ である。 このとき $x = 0$ となり、$x^2 + y^2 \geqq 1$ に代入すると $y^2 \geqq 1$ を得る。 よって、$y \leqq -1$ または $1 \leqq y$ である。
(ii)
$n \neq 0$ のとき $x^2 + y^2 = \frac{m}{n}$ となる。 $x^2 + y^2 \geqq 1$ より、
$$ \frac{m}{n} \geqq 1 $$
である。また、$y^2 \geqq 0$ より $x^2 + y^2 \geqq x^2$ であるから、これに $x = \frac{m}{2}$ と $x^2 + y^2 = \frac{m}{n}$ を代入して、
$$ \frac{m}{n} \geqq \frac{m^2}{4} $$
が成り立つ。 $\frac{m}{n} \geqq 1$ より $m$ と $n$ は同符号である。 対称性から、まず $m > 0$ かつ $n > 0$ の場合を考える。 $\frac{m}{n} \geqq 1$ の両辺に $n$ を掛けて $n \leqq m$ となる。 また、$\frac{m}{n} \geqq \frac{m^2}{4}$ の両辺に $\frac{4n}{m}$ ($>0$) を掛けて $4 \geqq mn$ を得る。 $m \geqq n > 0$ かつ $mn \leqq 4$ を満たす整数の組 $(m, n)$ は、
$$ (m, n) = (1, 1), (2, 1), (2, 2), (3, 1), (4, 1) $$
の5通りである。それぞれの組について、$(x, y)$ を求める。
・$(m, n) = (1, 1)$ のとき $x = \frac{1}{2}$、$x^2 + y^2 = 1$ より $y^2 = \frac{3}{4}$ となり、$y = \pm \frac{\sqrt{3}}{2}$
・$(m, n) = (2, 1)$ のとき $x = 1$、$x^2 + y^2 = 2$ より $y^2 = 1$ となり、$y = \pm 1$
・$(m, n) = (2, 2)$ のとき $x = 1$、$x^2 + y^2 = 1$ より $y^2 = 0$ となり、$y = 0$
・$(m, n) = (3, 1)$ のとき $x = \frac{3}{2}$、$x^2 + y^2 = 3$ より $y^2 = \frac{3}{4}$ となり、$y = \pm \frac{\sqrt{3}}{2}$
・$(m, n) = (4, 1)$ のとき $x = 2$、$x^2 + y^2 = 4$ より $y^2 = 0$ となり、$y = 0$
次に、$m < 0$ かつ $n < 0$ の場合を考える。 $(m, n)$ の符号が反転すると、$x = \frac{m}{2}$ より $x$ の符号も反転し、$x^2 + y^2 = \frac{m}{n}$ の値は変わらないため、$y$ の値は同じになる。 したがって、$(x, y)$ は原点に関して対称な点として現れる。 以上により、$n \neq 0$ のときに得られる $(x, y)$ の組は、以下の20個の点となる。 $\left(\pm\frac{1}{2}, \pm\frac{\sqrt{3}}{2}\right), (\pm1, \pm1), (\pm1, 0), \left(\pm\frac{3}{2}, \pm\frac{\sqrt{3}}{2}\right), (\pm2, 0)$ (複号は任意に組み合わせる)
これらと(i)の結果を合わせたものが求める領域である。
解説
複素数を実部と虚部に分けて立式することで、実数の整数問題と不等式評価の組み合わせに帰着できる。この問題の鍵は、$x^2 + y^2 \geqq x^2$ という常に成り立つ不等式を用いて、未知数 $m, n$ の関係式 $\frac{m}{n} \geqq \frac{m^2}{4}$ を引き出し、候補を有限個に絞り込む点にある。整数問題の定石通り、不等式による絞り込みを丁寧に行うことが重要である。
答え
求める複素数 $z$ 全体の集合は、複素数平面上において、以下の図形からなる。 虚軸上の2つの半直線(端点を含む): $z = yi \quad (y \leqq -1, \ 1 \leqq y)$ および、以下の20個の点: $z = \pm \frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i$ $z = \pm 1 \pm i$ $z = \pm 1$ $z = \pm \frac{3}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i$ $z = \pm 2$ (各式の複号はすべて任意に組み合わせる)
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