東京大学 1967年 理系 第3問 解説

方針・初手
正方形の各辺が座標軸に平行であるため、2つの正方形の共通部分は(存在すれば)長方形となる。この長方形の面積は、$x$ 軸方向の共通部分の長さと、$y$ 軸方向の共通部分の長さの積で表すことができる。 まずは正方形 $A$ の中心の座標を変数でおき、共通部分の面積をその変数を用いた式で表すことから始める。
解法1
正方形 $A$ の中心を $(x, y)$ とおく。 正方形 $A$ は辺の長さが2で各辺が座標軸に平行であるから、正方形 $A$ の表す領域は次のように表される。
$$ x-1 \leqq X \leqq x+1 \quad \text{かつ} \quad y-1 \leqq Y \leqq y+1 $$
一方、正方形 $B$ は辺の長さが2で中心が $(1, 2)$、かつ各辺が座標軸に平行であるから、正方形 $B$ の表す領域は次のように表される。
$$ 0 \leqq X \leqq 2 \quad \text{かつ} \quad 1 \leqq Y \leqq 3 $$
2つの正方形の共通部分の面積を $S$ とおく。 正方形 $A$ の中心 $(x, y)$ は円 $x^2+y^2=1$ 上にあるため、$-1 \leqq x \leqq 1$ および $-1 \leqq y \leqq 1$ を満たす。
まず、$X$ 座標の共通部分について考える。 $-1 \leqq x \leqq 1$ より $x-1 \leqq 0$ かつ $x+1 \leqq 2$ であるから、区間 $[x-1, x+1]$ と区間 $[0, 2]$ の共通部分は、
$$ 0 \leqq X \leqq x+1 $$
となり、その長さは $x+1$ である。$-1 \leqq x \leqq 1$ の範囲でこれは常に $0$ 以上となる。
次に、$Y$ 座標の共通部分について考える。 $-1 \leqq y \leqq 1$ より $y-1 \leqq 0 < 1$ かつ $y+1 \leqq 2 < 3$ であるから、区間 $[y-1, y+1]$ と区間 $[1, 3]$ の共通部分は、 $y+1 \geqq 1$ すなわち $y \geqq 0$ のときに限り存在し、その範囲は、
$$ 1 \leqq Y \leqq y+1 $$
となり、その長さは $y$ である。 $y < 0$ のときは共通部分が存在しないため、$S = 0$ となる。
したがって、最大値を考える上では $y \geqq 0$ の場合を調べれば十分であり、このとき共通部分の面積 $S$ は次のように表される。
$$ S = (x+1)y $$
ここで、点 $(x, y)$ は円 $x^2+y^2=1$ 上の $y \geqq 0$ の部分にあるため、$\theta$ を $0 \leqq \theta \leqq \pi$ を満たす実数として、
$$ x = \cos\theta, \quad y = \sin\theta $$
とおくことができる。これを $S$ に代入すると、
$$ S(\theta) = (\cos\theta + 1)\sin\theta = \frac{1}{2}\sin 2\theta + \sin\theta $$
となる。$\theta$ について微分すると、
$$ S'(\theta) = \cos 2\theta + \cos\theta = (2\cos^2\theta - 1) + \cos\theta = (2\cos\theta - 1)(\cos\theta + 1) $$
$0 \leqq \theta \leqq \pi$ の範囲において $S'(\theta) = 0$ となるのは、$\cos\theta = \frac{1}{2}, -1$ より、$\theta = \frac{\pi}{3}, \pi$ のときである。 増減表は以下のようになる。
$$ \begin{array}{c|ccccc} \theta & 0 & \cdots & \frac{\pi}{3} & \cdots & \pi \\ \hline S'(\theta) & & + & 0 & - & 0 \\ \hline S(\theta) & 0 & \nearrow & \text{極大} & \searrow & 0 \end{array} $$
増減表より、$S(\theta)$ は $\theta = \frac{\pi}{3}$ のときに最大値をとる。 最大値は、
$$ S\left(\frac{\pi}{3}\right) = \left(\cos\frac{\pi}{3} + 1\right)\sin\frac{\pi}{3} = \left(\frac{1}{2} + 1\right) \times \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{3\sqrt{3}}{4} $$
となる。
解法2
面積 $S$ を立式するまでの過程は解法1と同様とする。 $S$ が最大となるのは $y \geqq 0$ のときであり、
$$ S = (x+1)y $$
となる。点 $(x, y)$ は円 $x^2+y^2=1$ 上にあるから、$x^2 = 1-y^2$ を満たす。 $y$ が一定であるとき、$S$ は $x$ が最大のときに最大となるため、$x \geqq 0$ としてよく、$x = \sqrt{1-y^2}$ と表せる。 これより、$S$ を $y$ の関数として次のように表す。($0 \leqq y \leqq 1$)
$$ S(y) = \left(\sqrt{1-y^2} + 1\right)y = y\sqrt{1-y^2} + y $$
$y$ について微分すると、
$$ S'(y) = 1 \cdot \sqrt{1-y^2} + y \cdot \frac{-y}{\sqrt{1-y^2}} + 1 = \frac{1 - 2y^2 + \sqrt{1-y^2}}{\sqrt{1-y^2}} $$
$S'(y) = 0$ とすると、
$$ \sqrt{1-y^2} = 2y^2 - 1 $$
$\sqrt{1-y^2} \geqq 0$ であるから、$2y^2 - 1 \geqq 0$ すなわち $y \geqq \frac{1}{\sqrt{2}}$ が必要である。 両辺を2乗して整理すると、
$$ 1-y^2 = 4y^4 - 4y^2 + 1 $$
$$ 4y^4 - 3y^2 = 0 $$
$$ y^2(4y^2 - 3) = 0 $$
$y \geqq \frac{1}{\sqrt{2}}$ を満たす解は $y = \frac{\sqrt{3}}{2}$ のみである。 $y = \frac{\sqrt{3}}{2}$ のとき $x = \sqrt{1 - \frac{3}{4}} = \frac{1}{2}$ となり、これも条件を満たす。 $0 \leqq y \leqq 1$ における増減を調べると、$y = \frac{\sqrt{3}}{2}$ で極大かつ最大となることがわかる。 このときの最大値は、
$$ S\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right) = \left(\frac{1}{2} + 1\right) \times \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{3\sqrt{3}}{4} $$
となる。
解説
図形の平行移動に伴う共通部分の面積を最大化する典型問題である。 各辺が座標軸に平行であるという条件から、縦・横それぞれの重なり幅を独立に式で表すことができるのが最大のポイントである。絶対値記号を用いて $\max$ や $\min$ で記述することも可能ですが、本問では正方形 $A$ の中心が動く範囲が円 $x^2+y^2=1$ 上に限定されているため、重なる区間が具体的に特定しやすくなっている。 面積の式が得られた後は、円上の点という制約を活かして三角関数で媒介変数表示するのが最も自然で計算量の少ないアプローチとなる。
答え
$$ \frac{3\sqrt{3}}{4} $$
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