東京大学 1967年 理系 第5問 解説

方針・初手
2つの曲線 $y=f(x)$ と $y=g(x)$ が接するという条件は、ある点において「関数の値が等しい(共有点をもつ)」かつ「微分係数が等しい(共通の接線をもつ)」ことである。接点の $x$ 座標を $t$ とおき、これら2つの条件を立式して連立方程式を解くことで、定数 $a$ の値を求める。
面積については、求めた $a$ の値をもとにグラフを描き、2曲線と $x$ 軸で囲まれる領域の形状を把握する。積分の方向($x$ 軸方向か $y$ 軸方向か)によって計算の手間が変わるため、見通しの良い方を選択する。
解法1
$f(x) = ax^2$, $g(x) = \log_e x$ とおく。対数関数の真数条件より $x > 0$ である。
2つのグラフが $x = t \ (t > 0)$ で接するとすると、次の2つの条件が成り立つ。
$$ f(t) = g(t) $$
$$ f'(t) = g'(t) $$
$f'(x) = 2ax$, $g'(x) = \frac{1}{x}$ であるから、上記の条件は以下のように表される。
$$ at^2 = \log_e t \quad \cdots (1) $$
$$ 2at = \frac{1}{t} \quad \cdots (2) $$
(2)より、$t \neq 0$ であるから両辺に $t$ を掛けて、
$$ 2at^2 = 1 \iff at^2 = \frac{1}{2} $$
これを(1)に代入すると、
$$ \log_e t = \frac{1}{2} $$
$$ t = e^{\frac{1}{2}} = \sqrt{e} $$
このとき、$at^2 = \frac{1}{2}$ より、
$$ a = \frac{1}{2t^2} = \frac{1}{2e} $$
したがって、$a = \frac{1}{2e}$ であり、接点の座標は $\left( \sqrt{e}, \frac{1}{2} \right)$ となる。
次に、これらのグラフと $x$ 軸($y = 0$)とで囲まれる図形の面積 $S$ を求める。 $y = \frac{1}{2e}x^2$ は頂点が原点の下に凸の放物線であり、$y = \log_e x$ は点 $(1, 0)$ を通る単調増加な曲線である。 求める領域は、$0 \leqq x \leqq \sqrt{e}$ における $y = \frac{1}{2e}x^2$ と $x$ 軸の間の面積から、$1 \leqq x \leqq \sqrt{e}$ における $y = \log_e x$ と $x$ 軸の間の面積を引いたものとして計算できる。
$$ S = \int_{0}^{\sqrt{e}} \frac{1}{2e}x^2 \,dx - \int_{1}^{\sqrt{e}} \log_e x \,dx $$
それぞれの定積分を計算する。
$$ \int_{0}^{\sqrt{e}} \frac{1}{2e}x^2 \,dx = \frac{1}{2e} \left[ \frac{x^3}{3} \right]_{0}^{\sqrt{e}} = \frac{1}{2e} \cdot \frac{e\sqrt{e}}{3} = \frac{\sqrt{e}}{6} $$
$$ \int_{1}^{\sqrt{e}} \log_e x \,dx = \left[ x \log_e x - x \right]_{1}^{\sqrt{e}} = \left( \sqrt{e} \cdot \frac{1}{2} - \sqrt{e} \right) - (0 - 1) = 1 - \frac{\sqrt{e}}{2} $$
よって、求める面積 $S$ は、
$$ S = \frac{\sqrt{e}}{6} - \left( 1 - \frac{\sqrt{e}}{2} \right) = \frac{\sqrt{e}}{6} + \frac{3\sqrt{e}}{6} - 1 = \frac{2\sqrt{e}}{3} - 1 $$
解法2
定数 $a$ の値および接点の座標を求めるまでの過程は解法1と同様である。 $a = \frac{1}{2e}$、接点は $\left( \sqrt{e}, \frac{1}{2} \right)$ である。
面積 $S$ を、$y$ 軸方向の積分を用いて求める。 求める領域は、$y$ の範囲が $0 \leqq y \leqq \frac{1}{2}$ であり、右側の境界が $y = \log_e x$、左側の境界が $y = \frac{1}{2e}x^2 \ (x \geqq 0)$ である。
それぞれの式を $x$ について解く。
$$ y = \log_e x \iff x = e^y $$
$$ y = \frac{1}{2e}x^2 \iff x^2 = 2ey \iff x = \sqrt{2ey} \quad (x \geqq 0 \text{ より}) $$
したがって、面積 $S$ は次のように立式できる。
$$ S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( e^y - \sqrt{2ey} \right) \,dy $$
これを計算する。
$$ \begin{aligned} S &= \left[ e^y - \sqrt{2e} \cdot \frac{2}{3}y^{\frac{3}{2}} \right]_{0}^{\frac{1}{2}} \\ &= \left( e^{\frac{1}{2}} - \frac{2\sqrt{2e}}{3} \cdot \frac{1}{2\sqrt{2}} \right) - \left( e^0 - 0 \right) \\ &= \sqrt{e} - \frac{\sqrt{e}}{3} - 1 \\ &= \frac{2\sqrt{e}}{3} - 1 \end{aligned} $$
解説
「2曲線が接する」という条件を正しく数式に翻訳できるかがポイントである。単に共有点をもつだけでなく、その点での微分係数が一致することを連立方程式として処理する。
面積の計算においては、$x$ 軸方向での積分と $y$ 軸方向での積分の両方が考えられる。本問において $x$ 軸方向で積分する場合、関数が $x$ 軸より上にあるか下にあるか、またどの曲線が上側にあるかが途中の $x=1$ で切り替わるように見えるが、図を正確に描けば「放物線の積分から対数関数の積分をくり抜く」という解釈で立式できる。 一方、$y$ 軸方向の積分(解法2)を用いると、区間内で常に右側から左側を引くという1つの定積分で表せるため、立式がよりシンプルになる。複数のアプローチを持っておくことで、計算ミスを防ぎやすくなる。
答え
$$ a = \frac{1}{2e}, \quad 面積: \frac{2\sqrt{e}}{3} - 1 $$
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