東京大学 1988年 理系 第6問 解説

方針・初手
四面体 $ABCD$ の体積を最大化する問題である。点 $O$ から各頂点への距離が与えられているため、底面と高さを分けて考えるのが基本方針となる。
点 $B, C, D$ は点 $O$ を中心とする半径 $4$ の球面上にあり、点 $A$ は点 $O$ を中心とする半径 $1$ の球面上にある。四面体の体積 $V$ は $V = \frac{1}{3} \times (\text{底面 } BCD \text{ の面積}) \times (\text{高さ})$ で求まる。したがって、平面 $BCD$ の位置を固定したうえで、底面積と高さがそれぞれ最大になる条件を考察すればよい。
解法1
点 $O$ から平面 $BCD$ に下ろした垂線の足を $H$ とする。
直角三角形 $\triangle OBH, \triangle OCH, \triangle ODH$ において、斜辺は $OB=OC=OD=4$ で等しく、辺 $OH$ は共通であるから、これら3つの三角形は合同である。 したがって $HB = HC = HD$ となり、点 $H$ は $\triangle BCD$ の外接円の中心であることがわかる。
ここで、$OH = x$ $(0 \le x < 4)$ とおく。 $\triangle BCD$ が内接する円の半径を $r$ とすると、三平方の定理より以下の式が成り立つ。
$$ r^2 = OB^2 - OH^2 = 16 - x^2 $$
半径 $r$ の円に内接する三角形の面積が最大となるのは、その三角形が正三角形のときである。このときの底面 $BCD$ の面積を $S$ とすると、次のように表される。
$$ S = \frac{1}{2} r \cdot r \sin 60^\circ \times 3 = \frac{3\sqrt{3}}{4} r^2 = \frac{3\sqrt{3}}{4} (16 - x^2) $$
次に、四面体の高さ(点 $A$ と平面 $BCD$ との距離)を $h$ とする。 点 $A$ は $O$ を中心とする半径 $1$ の球面上の点であるから、$A$ が直線 $OH$ 上にあり、かつ平面 $BCD$ に関して $O$ と反対側にあるとき、すなわち $A, O, H$ の順に一直線に並ぶとき、高さ $h$ は最大値 $x + 1$ をとる。
したがって、四面体 $ABCD$ の体積の最大値は、各 $x$ に対して面積と高さを最大化したときの体積を $x$ の関数 $V(x)$ として、その最大値を求めればよい。
$$ \begin{aligned} V(x) &= \frac{1}{3} S h \\ &= \frac{1}{3} \cdot \frac{3\sqrt{3}}{4} (16 - x^2) (x + 1) \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} (16 - x^2) (x + 1) \end{aligned} $$
ここで、$f(x) = (16 - x^2)(x + 1) = -x^3 - x^2 + 16x + 16$ とおき、$0 \le x < 4$ における最大値を求める。 $f(x)$ を $x$ で微分すると、以下のようになる。
$$ f'(x) = -3x^2 - 2x + 16 = -(3x + 8)(x - 2) $$
$0 \le x < 4$ の範囲において、$f'(x) = 0$ となるのは $x = 2$ のときのみである。 $0 \le x < 2$ では $f'(x) > 0$、$2 < x < 4$ では $f'(x) < 0$ となるため、$f(x)$ は $x = 2$ で極大かつ最大となる。
$x = 2$ のときの $f(x)$ の値は、以下の通りである。
$$ f(2) = (16 - 2^2)(2 + 1) = 12 \times 3 = 36 $$
よって、求める体積の最大値は次のように計算される。
$$ V_{max} = \frac{\sqrt{3}}{4} \times 36 = 9\sqrt{3} $$
解法2
空間座標を導入し、厳密に代数的な評価を行う。
点 $O$ を原点 $(0,0,0)$ とする。対称性から、点 $A$ を $z$ 軸上の点 $A(0,0,1)$ に固定しても一般性を失わない。 点 $B, C, D$ を含む平面を $\alpha$ とし、その方程式を $px + qy + rz = t$ とする。ただし、$p^2 + q^2 + r^2 = 1$、$t \ge 0$ とする。
このとき、原点 $O$ と平面 $\alpha$ の距離は $t$ であり、四面体を形成するためには $0 \le t < 4$ が必要である。 点 $B, C, D$ は平面 $\alpha$ と球面 $x^2 + y^2 + z^2 = 16$ の交線である円周上にある。この円の半径は $\sqrt{16 - t^2}$ である。 円に内接する三角形の面積は正三角形のときに最大となるため、底面 $\triangle BCD$ の面積 $S$ は以下の不等式を満たす。
$$ S \le \frac{3\sqrt{3}}{4} (16 - t^2) $$
一方、四面体の高さ $h$ は点 $A(0,0,1)$ と平面 $\alpha: px + qy + rz - t = 0$ の距離であるから、点と平面の距離の公式より以下のように表される。
$$ h = \frac{|p \cdot 0 + q \cdot 0 + r \cdot 1 - t|}{\sqrt{p^2 + q^2 + r^2}} = |r - t| $$
したがって、四面体の体積 $V$ は以下の不等式を満たす。
$$ V = \frac{1}{3} S h \le \frac{\sqrt{3}}{4} (16 - t^2) |r - t| $$
ここで、$t$ を固定して $|r - t|$ の最大値を考える。 $p^2 + q^2 + r^2 = 1$ より $-1 \le r \le 1$ であり、$t \ge 0$ であるため、$|r - t|$ は $r = -1$ のときに最大値 $|-1 - t| = t + 1$ をとる。 (等号成立は $p = q = 0, r = -1$ のときであり、これは平面 $\alpha$ が $z = -t$ に平行であることを意味する。)
よって、体積 $V$ は以下の式で評価できる。
$$ V \le \frac{\sqrt{3}}{4} (16 - t^2) (t + 1) $$
以後の最大化の計算は解法1と同様であり、$t=2$ のときに $(16 - t^2)(t + 1)$ は最大値 $36$ をとる。 したがって、体積の最大値は $9\sqrt{3}$ である。
解説
空間図形の最大・最小問題における典型的なアプローチを問う問題である。 各頂点が球面上にあることから、幾何学的な考察によって「底面を正三角形にする」「高さを中心を通る直線上に配置する」という最大化の条件を直感的に見つけることができる。
解法1は幾何学的な直感に基づいて図形の配置を決定し、1変数の関数の最大化に帰着させる自然な発想である。一方、解法2のように座標空間を設定することで、「面積」と「高さ」を別々に最大化してよいのかという疑問に対し、法線ベクトルの成分($r$)と原点からの距離($t$)という独立した変数を用いた不等式評価により、論理的な裏付けを与えることができる。
答え
$9\sqrt{3}$
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