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東京大学 1989年 理系 第4問 解説

数学A/整数問題数学2/式と証明テーマ/整数の証明
東京大学 1989年 理系 第4問 解説

方針・初手

$10^{10}$ を文字 $x$ と置き、分子の $x^{21}$ を分母の $x+3$ で割る多項式の除法を考える。商が整数となる部分と、分数として残る部分に分けることで、全体の整数部分を特定する。

解法1

$x = 10^{10}$ とおく。与えられた数は $\frac{x^{21}}{x+3}$ と表せる。

因数分解の公式 $a^{21} + b^{21} = (a+b)(a^{20} - a^{19}b + a^{18}b^2 - \cdots + b^{20})$ を用いると、

$$ x^{21} + 3^{21} = (x+3)(x^{20} - 3x^{19} + 3^2 x^{18} - \cdots + 3^{20}) $$

となる。ここで、

$$ M = x^{20} - 3x^{19} + 3^2 x^{18} - \cdots + 3^{20} $$

とおくと、$x = 10^{10}$ は整数であるから、$M$ も整数である。

この式から $x^{21} = (x+3)M - 3^{21}$ となるため、与式は次のように変形できる。

$$ \frac{x^{21}}{x+3} = M - \frac{3^{21}}{x+3} = M - \frac{3^{21}}{10^{10} + 3} $$

ここで、分数部分の大きさを評価する。条件より $3^{21} = 10460353203$ であり、分母は $10^{10} + 3 = 10000000003$ であるから、

$$ \frac{3^{21}}{10^{10} + 3} = \frac{10460353203}{10000000003} = 1 + \frac{460353200}{10000000003} $$

となる。したがって、

$$ 1 < \frac{3^{21}}{10^{10} + 3} < 2 $$

が成り立つ。

これより、求める数の値は

$$ M - \left(1 + \frac{460353200}{10^{10} + 3}\right) = (M - 2) + \left(1 - \frac{460353200}{10^{10} + 3}\right) $$

と表せる。$0 < 1 - \frac{460353200}{10^{10} + 3} < 1$ であるため、与えられた数の整数部分は $M - 2$ である。

次に、この $M - 2$ の桁数と1の位の数字を求める。

(i) 桁数について

$M$ の式を次のように2項ずつペアにして変形する。

$$ M = x^{19}(x - 3) + 3^2 x^{17}(x - 3) + \cdots + 3^{18} x(x - 3) + 3^{20} $$

$x = 10^{10}$ であり各項は正となるため、

$$ M > x^{19}(x - 3) = 10^{190}(10^{10} - 3) = 10^{200} - 3 \times 10^{190} > 10^{199} $$

が成り立つ。

一方で、引き算の形にペアを作ると、

$$ M = x^{20} - 3x^{18}(x - 3) - 3^3 x^{16}(x - 3) - \cdots - 3^{19}(x - 3) $$

となり、引く項はすべて正であるから、

$$ M < x^{20} = 10^{200} $$

が成り立つ。

よって、$10^{199} < M < 10^{200}$ となり、$M$ は200桁の整数である。

また、上限と下限の評価から $M$ の最上位の数字は $9$ となる($10^{200} - 3 \times 10^{190} = 9999999997 \times 10^{190}$ であるため)。したがって、$M$ から $2$ を引いた $M - 2$ も桁数は変わらず、200桁である。

(ii) 1の位の数字について

$M$ の1の位の数字は、$M$ を10で割った余りと等しい。

$x = 10^{10}$ は10の倍数であるため、$x$ を因数に含む項はすべて10で割り切れる。したがって、

$$ M \equiv 3^{20} \pmod{10} $$

となる。3の累乗を10で割った余りは、

$3^1 \equiv 3 \pmod{10}$

$3^2 \equiv 9 \pmod{10}$

$3^3 \equiv 7 \pmod{10}$

$3^4 \equiv 1 \pmod{10}$

と、周期4で繰り返される。$20 = 4 \times 5$ であるから、

$$ 3^{20} \equiv (3^4)^5 \equiv 1^5 \equiv 1 \pmod{10} $$

よって、$M$ の1の位の数字は 1 である。

整数部分は $M - 2$ であるから、その1の位の数字は、繰り下がりを考慮して $11 - 2 = 9$ となる。

解説

巨大な数の分数の整数部分を求める問題である。そのまま計算することは不可能なので、定数の一部を文字に置き換えて多項式の割り算に帰着させるのが定石となる。

分子を分母で割ったときの商(整数となる部分)と余り(分数となる部分)に分け、分数部分が具体的にどの範囲にあるかを評価することが最大のポイントである。与えられた $3^{21}$ の近似値をここで用いることで、引くべき分数が「1より大きく2より小さい」ことがわかり、全体の整数部分が商から2を引いたものになることが確定する。

桁数の評価においては、すべての項を計算するのではなく、項の括り方を工夫して上下から挟み撃ちにする手法が有効である。

答え

けた数:200、1の位の数字:9

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