北海道大学 1970年 文系 第1問 解説

方針・初手
放物線と直線が交わってできる弦の長さに関する問題である。放物線 $y=f(x)$ と直線 $y=mx+b$ の交点の $x$ 座標は方程式 $f(x)=mx+b$ の実数解であり、その解を $\alpha, \beta$ とすると、弦の長さは $\sqrt{1+m^2}|\beta-\alpha|$ で表される。解と係数の関係、または解の公式を用いて $|\beta-\alpha|$ を計算し、与えられた弦の長さの比の条件式を立てる。また、弦が切り取られるためには放物線と直線が異なる2点で交わる必要があるため、判別式 $D>0$ の条件を忘れないことが重要である。
解法1
(1), (2)
放物線 $2y = x^2 - 12x + 33$ を $C_1$、放物線 $y = -x^2$ を $C_2$、直線 $y = mx + b$ を $l$ とする。
$C_1$ と $l$ の交点の $x$ 座標は、次の方程式の実数解である。
$$ \frac{x^2 - 12x + 33}{2} = mx + b $$
これを整理して、
$$ x^2 - 2(m + 6)x + 33 - 2b = 0 \quad \cdots \text{①} $$
$C_1$ と $l$ が異なる2点で交わる条件は、①の判別式 $D_1$ について $D_1 > 0$ である。
$$ \frac{D_1}{4} = (m + 6)^2 - (33 - 2b) > 0 \quad \cdots \text{②} $$
このとき、①の2つの解を $\alpha_1, \beta_1$ とすると、解の公式より
$$ |\beta_1 - \alpha_1| = \frac{2\sqrt{\frac{D_1}{4}}}{1} = 2\sqrt{(m + 6)^2 - 33 + 2b} $$
よって、$C_1$ が $l$ から切り取る弦の長さ $L_1$ は、
$$ L_1 = \sqrt{1 + m^2} |\beta_1 - \alpha_1| = 2\sqrt{1 + m^2}\sqrt{(m + 6)^2 - 33 + 2b} $$
次に、$C_2$ と $l$ の交点の $x$ 座標は、次の方程式の実数解である。
$$ -x^2 = mx + b $$
整理して、
$$ x^2 + mx + b = 0 \quad \cdots \text{③} $$
$C_2$ と $l$ が異なる2点で交わる条件は、③の判別式 $D_2$ について $D_2 > 0$ である。
$$ D_2 = m^2 - 4b > 0 \quad \cdots \text{④} $$
このとき、③の2つの解を $\alpha_2, \beta_2$ とすると、解の公式より
$$ |\beta_2 - \alpha_2| = \sqrt{D_2} = \sqrt{m^2 - 4b} $$
よって、$C_2$ が $l$ から切り取る弦の長さ $L_2$ は、
$$ L_2 = \sqrt{1 + m^2} |\beta_2 - \alpha_2| = \sqrt{1 + m^2}\sqrt{m^2 - 4b} $$
問題の条件より、$L_1 = 2L_2$ であるから、
$$ 2\sqrt{1 + m^2}\sqrt{(m + 6)^2 - 33 + 2b} = 2\sqrt{1 + m^2}\sqrt{m^2 - 4b} $$
$m$ は実数であり $\sqrt{1 + m^2} \neq 0$ であるから、両辺を $2\sqrt{1 + m^2}$ で割って、
$$ \sqrt{(m + 6)^2 - 33 + 2b} = \sqrt{m^2 - 4b} $$
両辺を2乗して整理する。
$$ \begin{aligned} (m + 6)^2 - 33 + 2b &= m^2 - 4b \\ m^2 + 12m + 36 - 33 + 2b &= m^2 - 4b \\ 12m + 3 + 6b &= 0 \\ 2m + 1 + 2b &= 0 \end{aligned} $$
これを $b$ について解くと、
$$ b = -m - \frac{1}{2} $$
これが (2) の答えである。
さらに、弦が存在するためには、直線が各放物線と交点を持つ条件である ② かつ ④ を満たす必要がある。上の等式変形において、平方根の中身が等しいことを導いたため、$(m + 6)^2 - 33 + 2b = m^2 - 4b$ が成り立っている。したがって、④ が成り立てば自動的に ② も成り立つ。よって ④ のみを考えればよい。
$b = -m - \frac{1}{2}$ を ④ に代入する。
$$ \begin{aligned} m^2 - 4\left(-m - \frac{1}{2}\right) &> 0 \\ m^2 + 4m + 2 &> 0 \end{aligned} $$
これを解いて、
$$ m < -2 - \sqrt{2}, \quad -2 + \sqrt{2} < m $$
これが (1) の答えである。
(3)
直線 $l$ の方程式 $y = mx + b$ に、(2) で求めた $b = -m - \frac{1}{2}$ を代入する。
$$ y = mx - m - \frac{1}{2} $$
$m$ について整理すると、
$$ m(x - 1) - \left( y + \frac{1}{2} \right) = 0 $$
これが $m$ の値にかかわらず恒等的に成り立つ条件は、
$$ \begin{cases} x - 1 = 0 \\ y + \frac{1}{2} = 0 \end{cases} $$
これを解いて、
$$ x = 1, \quad y = -\frac{1}{2} $$
したがって、この直線は $m$ の値によらず、つねに定点 $\left( 1, -\frac{1}{2} \right)$ を通る。
解説
2つの放物線と直線が切り取る弦の長さに関する標準的な問題である。2次関数のグラフが直線から切り取る弦の長さを求める際は、交点の $x$ 座標を求めて2点間の距離の公式を使うのが定石である。交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ とすると、弦の長さは $\sqrt{1+m^2}|\beta-\alpha|$ となることを活用すると計算量が減る。
本問で最も注意すべき点は「弦が存在する条件」、すなわち「放物線と直線が異なる2点で交わる条件」である。方程式を立てて等式変形をするだけでなく、判別式 $D>0$ の条件を確認し、そこから $m$ の範囲を絞り込む過程を忘れないようにしたい。(1) の $m$ の範囲の導出が (2) の等式の成立を前提としているため、実戦では (1) と (2) を並行して考える必要がある。
答え
(1) $m < -2 - \sqrt{2}, \quad -2 + \sqrt{2} < m$
(2) $b = -m - \frac{1}{2}$
(3) 証明は上記の通り。定点 $P$ の座標は $\left( 1, -\frac{1}{2} \right)$
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