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北海道大学 1972年 文系 第5問 解説

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北海道大学 1972年 文系 第5問 解説

方針・初手

(1) は極限の基本問題です。分子が $n$ の多項式、分母が指数関数であるため、分母のほうが発散スピードが速く極限は $0$ になることが予想できます。証明には、分母を二項定理で展開して不等式を作り、はさみうちの原理を用います。

(2) は「(等差数列) $\times$ (等比数列)」の形をした数列の和を含む無限級数です。部分和を $S_n$ とおき、$S_n - rS_n$ ($r$ は等比数列の公比) を計算することで $S_n$ を $n$ の式で表し、最後に $n \to \infty$ の極限をとります。極限の計算では (1) の結果を利用します。

解法1

(1)

$n \geqq 2$ のとき、二項定理より以下が成り立つ。

$$ (1+a)^n = 1 + na + \frac{n(n-1)}{2}a^2 + \cdots + a^n $$

$a > 0$ であるから、右辺の項はすべて正である。したがって、右辺の第3項までを残すことで次の不等式が得られる。

$$ (1+a)^n > \frac{n(n-1)}{2}a^2 $$

両辺は正であるため、逆数をとると大小関係が反転して以下が成り立つ。

$$ 0 < \frac{1}{(1+a)^n} < \frac{2}{n(n-1)a^2} $$

各辺に $n \ (> 0)$ を掛けると、次の不等式を得る。

$$ 0 < \frac{n}{(1+a)^n} < \frac{2n}{n(n-1)a^2} = \frac{2}{(n-1)a^2} $$

ここで、$n \to \infty$ のときの右辺の極限を考える。

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{2}{(n-1)a^2} = 0 $$

したがって、はさみうちの原理より以下が成り立つ。

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{n}{(1+a)^n} = 0 $$

なお、$n=1$ のときは $\frac{1}{1+a}$ となり極限には影響しないため、上記の結果は示された。

(2)

無限級数の第 $n$ 項までの部分和を $S_n$ とおく。

$$ S_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{3k+4}{2^k} = \frac{7}{2} + \frac{10}{2^2} + \frac{13}{2^3} + \cdots + \frac{3n+4}{2^n} $$

両辺に公比にあたる $\frac{1}{2}$ を掛けると、以下となる。

$$ \frac{1}{2}S_n = \frac{7}{2^2} + \frac{10}{2^3} + \cdots + \frac{3n+1}{2^n} + \frac{3n+4}{2^{n+1}} $$

辺々を引くと、中央の項が等比数列の和になる。

$$ \begin{aligned} S_n - \frac{1}{2}S_n &= \frac{7}{2} + \left( \frac{3}{2^2} + \frac{3}{2^3} + \cdots + \frac{3}{2^n} \right) - \frac{3n+4}{2^{n+1}} \\ \frac{1}{2}S_n &= \frac{7}{2} + \frac{\frac{3}{4}\left\{ 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1} \right\}}{1 - \frac{1}{2}} - \frac{3n+4}{2^{n+1}} \\ &= \frac{7}{2} + \frac{3}{2} \left( 1 - \frac{1}{2^{n-1}} \right) - \frac{3n+4}{2^{n+1}} \\ &= 5 - \frac{3}{2^n} - \frac{3n+4}{2^{n+1}} \\ &= 5 - \frac{6}{2^{n+1}} - \frac{3n+4}{2^{n+1}} \\ &= 5 - \frac{3n+10}{2^{n+1}} \end{aligned} $$

両辺を $2$ 倍して $S_n$ を求める。

$$ S_n = 10 - \frac{3n+10}{2^n} = 10 - 3 \cdot \frac{n}{2^n} - 10 \cdot \frac{1}{2^n} $$

ここで、(1) の結果において $a=1 \ (> 0)$ とすると、以下の極限が成り立つ。

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{n}{2^n} = 0 $$

また、公比が $-1 < \frac{1}{2} < 1$ であるから、以下の極限も成り立つ。

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{2^n} = 0 $$

したがって、無限級数の和は部分和 $S_n$ の極限であるから、以下のように求まる。

$$ \lim_{n \to \infty} S_n = 10 - 3 \cdot 0 - 10 \cdot 0 = 10 $$

解説

(1) は極限 $\lim_{n \to \infty} \frac{n^k}{r^n} = 0 \ (r > 1)$ を証明する代表的な手法です。二項定理を用いて分母を多項式で評価し、はさみうちの原理につなげる流れは頻出なので確実に押さえておきましょう。評価する際、分子の次数よりも高くなるように二項定理の項を拾うのがポイントです。今回は分子が $1$ 次式($n$)であるため、分母の $2$ 次の項($n^2$ を含む項)で評価しました。

(2) は「等差数列 $\times$ 等比数列」の和を求める典型問題です。公比を掛けてずらして引くという $S_n - rS_n$ の計算手法を用います。最後に極限をとる際、(1) で証明した事実を $a=1$ の場合として適切に適用できるかが問われています。

答え

(1) 略(証明は解法1を参照)

(2) $10$

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