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北海道大学 2005年 理系 第3問 解説

数学B/数列数学3/積分法数学3/極限テーマ/不等式の証明テーマ/整式の証明
北海道大学 2005年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は、関数 $y=t^m$ の単調増加性を利用して、各区間 $[k-1, k]$ における関数の最大値と最小値から積分の不等式を作り、辺々を足し合わせる定石的な手法を用いる。 (2) は、(1) で得た不等式の各辺の積分を計算し、はさみうちの原理を用いて和の極限を求める。この結果を用いて、整式 $f(x)$ の各項について極限を評価する。 (3) は、(2) の結果を利用して極限から $f(x)$ の次数を決定する解法と、与えられた等式が数列の和を含むことから $n$ と $n-1$ の場合の差をとって漸化式を導く解法の2つが考えられる。

解法1

(1)

$m$ は自然数であるから、関数 $y = t^m$ は $t \geqq 0$ において単調に増加する。 したがって、自然数 $k$ に対して区間 $k-1 \leqq t \leqq k$ を考えると、

$$ (k-1)^m \leqq t^m \leqq k^m $$

が成り立つ。また、$t \leqq k \leqq t+1$ より、

$$ t^m \leqq k^m \leqq (t+1)^m $$

である。この不等式の各辺を $t$ について区間 $[k-1, k]$ で積分すると、

$$ \int_{k-1}^k t^m dt \leqq \int_{k-1}^k k^m dt \leqq \int_{k-1}^k (t+1)^m dt $$

中央の積分は $\int_{k-1}^k k^m dt = k^m \times 1 = k^m$ であるから、

$$ \int_{k-1}^k t^m dt \leqq k^m \leqq \int_{k-1}^k (t+1)^m dt $$

となる。この不等式について、$k=1$ から $k=n$ まで辺々を加えると、

$$ \sum_{k=1}^n \int_{k-1}^k t^m dt \leqq \sum_{k=1}^n k^m \leqq \sum_{k=1}^n \int_{k-1}^k (t+1)^m dt $$

積分区間を結合して、

$$ \int_0^n t^m dt \leqq \sum_{k=1}^n k^m \leqq \int_0^n (t+1)^m dt $$

が得られ、題意は示された。

(2)

(1) の不等式の両端にある定積分を計算する。

$$ \int_0^n t^m dt = \left[ \frac{t^{m+1}}{m+1} \right]_0^n = \frac{n^{m+1}}{m+1} $$

$$ \int_0^n (t+1)^m dt = \left[ \frac{(t+1)^{m+1}}{m+1} \right]_0^n = \frac{(n+1)^{m+1} - 1}{m+1} $$

これらを(1)の不等式に代入し、各辺を $n^{m+1}$ で割ると、

$$ \frac{1}{m+1} \leqq \frac{1}{n^{m+1}} \sum_{k=1}^n k^m \leqq \frac{1}{m+1} \frac{(n+1)^{m+1} - 1}{n^{m+1}} $$

$n \to \infty$ のとき、右辺の極限は

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{m+1} \left\{ \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^{m+1} - \frac{1}{n^{m+1}} \right\} = \frac{1}{m+1} (1 - 0) = \frac{1}{m+1} $$

となる。したがって、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{m+1}} \sum_{k=1}^n k^m = \frac{1}{m+1} $$

が成り立つ。また、$m=0$ のときは $\sum_{k=1}^n k^0 = n$ であり、$\frac{1}{n^{0+1}} \sum_{k=1}^n k^0 = 1$ となるため、上の極限の式は $m$ が $0$ 以上の整数で成り立つ。

次に、$f(x)$ は最高次の係数が $1$ で次数が $r$ の整式であるから、定数 $a_1, a_2, \dots, a_r$ を用いて

$$ f(x) = x^r + a_1 x^{r-1} + a_2 x^{r-2} + \cdots + a_r $$

と表せる。これを代入して整理すると、

$$ \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n k^r + a_1 \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n k^{r-1} + \cdots + a_r \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n 1 $$

ここで、$1 \leqq j \leqq r$ なる整数 $j$ に対して、

$$ \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n k^{r-j} = \frac{1}{n^j} \cdot \frac{1}{n^{r-j+1}} \sum_{k=1}^n k^{r-j} $$

であり、先ほどの極限の結果を用いると $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{r-j+1}} \sum_{k=1}^n k^{r-j} = \frac{1}{r-j+1}$ となる。$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^j} = 0$ であるから、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n k^{r-j} = 0 \cdot \frac{1}{r-j+1} = 0 $$

となる。よって、最高次の項以外の極限はすべて $0$ となるため、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n f(k) = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n k^r = \frac{1}{r+1} $$

が示された。

(3)

条件より、すべての自然数 $n$ について

$$ \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{n}{2} f(n) $$

が成り立つ。(2) の結果を用いるため、両辺を $n^{r+1}$ で割ると、

$$ \frac{1}{n^{r+1}} \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{1}{2} \cdot \frac{f(n)}{n^r} $$

$n \to \infty$ とする極限を考える。左辺の極限は (2) より $\frac{1}{r+1}$ である。 右辺について、$f(x)$ は最高次の係数が $1$ で次数が $r$ の整式であるから、$f(n) = n^r + a_1 n^{r-1} + \dots$ と表され、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{f(n)}{n^r} = \lim_{n \to \infty} \left( 1 + \frac{a_1}{n} + \dots \right) = 1 $$

となる。したがって、右辺の極限は $\frac{1}{2} \cdot 1 = \frac{1}{2}$ である。 両辺の極限値が一致しなければならないので、

$$ \frac{1}{r+1} = \frac{1}{2} $$

これより $r = 1$ と定まる。 $f(x)$ は最高次の係数が $1$ の $1$ 次式であるから、$f(x) = x + c$ ($c$ は定数) とおける。 条件式 $\frac{1}{n} \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{1}{2} f(n)$ に代入すると、

$$ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n (k+c) = \frac{1}{2} (n+c) $$

左辺を計算すると、

$$ \frac{1}{n} \left( \frac{n(n+1)}{2} + cn \right) = \frac{n+1}{2} + c $$

となるので、

$$ \frac{n+1}{2} + c = \frac{n+c}{2} $$

整理すると $\frac{c}{2} = -\frac{1}{2}$ より、$c = -1$ を得る。 したがって、$f(x) = x - 1$ である。

解法2

(3)の別解を示す。

与えられた等式

$$ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{1}{2} f(n) $$

の両辺に $n$ を掛けると、

$$ \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{n}{2} f(n) \quad \cdots ① $$

$n=1$ のとき、$f(1) = \frac{1}{2} f(1)$ より $f(1) = 0$ となる。 $n \geqq 2$ のとき、①において $n$ を $n-1$ に置き換えると、

$$ \sum_{k=1}^{n-1} f(k) = \frac{n-1}{2} f(n-1) \quad \cdots ② $$

①から②を辺々引くと、左辺は $f(n)$ となるから、

$$ f(n) = \frac{n}{2} f(n) - \frac{n-1}{2} f(n-1) $$

両辺を $2$ 倍して整理すると、

$$ 2f(n) = n f(n) - (n-1) f(n-1) $$

$$ (n-2) f(n) = (n-1) f(n-1) \quad \cdots ③ $$

$n=2$ のとき、$0 \cdot f(2) = 1 \cdot f(1) = 0$ となり矛盾しない。 $n \geqq 3$ のとき、③より

$$ f(n) = \frac{n-1}{n-2} f(n-1) $$

これを繰り返し用いると、

$$ f(n) = \frac{n-1}{n-2} \cdot \frac{n-2}{n-3} \cdots \frac{2}{1} f(2) = (n-1)f(2) $$

この式は、$f(1) = 0$ であることから $n=1$ のときも成り立ち、また $n=2$ のときも $f(2) = 1 \cdot f(2)$ となり成り立つ。 よって、すべての自然数 $n$ に対して $f(n) = f(2)(n-1)$ である。 $f(2)$ は定数であるから、整式 $f(x)$ と 1 次式 $f(2)(x-1)$ は無限個の $x=1, 2, 3, \dots$ で一致する。 したがって、恒等式として $f(x) = f(2)(x-1)$ が成り立つ。

ここで、$f(x)$ が定数関数だとすると、最高次(0次)の係数が $1$ より $f(x)=1$ となるが、これは $f(1)=0$ に矛盾する。よって $f(x)$ の次数は $1$ 以上であり、$f(x) = f(2)(x-1)$ の最高次の係数が $1$ であることから $f(2) = 1$ を得る。 ゆえに、$f(x) = x - 1$ である。

解説

(1) は積分を用いて離散的な和の大きさを評価する典型的な手法である。 (2) は (1) の不等式からはさみうちの原理で極限を求める。さらに、多項式を極限評価する際、最高次の項以外は $n \to \infty$ のとき $0$ に収束することを示す重要な考え方が含まれている。 (3) は2つの自然なアプローチがある。解法1のように(2)の誘導に乗り大局的な極限の性質を用いて次数を決定する方針は、出題者の意図をきれいに汲み取れる。解法2のように和の記号を含む等式から階差をとって数列的に処理する方針も、関数形を直接特定できる強力な解法である。

答え

(1) $$ \int_0^n t^m\,dt \leqq \sum_{k=1}^n k^m \leqq \int_0^n (t+1)^m\,dt $$

(2) $$ \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n^{r+1}}\sum_{k=1}^n f(k)=\frac{1}{r+1} $$

(3) $f(x) = x - 1$

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