名古屋大学 1972年 文系 第3問 解説

注意
問題画像には「解答欄の表に番号を記入せよ」とありますが、表および番号の選択肢の記載が画像に含まれていません。そのため、本解説では「収束・発散の判定」および「その理由(極限の計算過程)」についてのみ論じます。
方針・初手
各小問で与えられた数列の一般項 $a_n$ に対して $n \to \infty$ としたときの極限を調べます。 極限の基本手技である「はさみうちの原理」「式の変形による不定形の解消」「二項定理を用いた不等式評価」「部分列による振動の証明」などを適切に選択して適用します。
解法1
(1)
$-1 \leqq \sin n \leqq 1$ であるから、すべての自然数 $n$ について辺々を $n$ で割ると
$$ -\frac{1}{n} \leqq \frac{1}{n} \sin n \leqq \frac{1}{n} $$
が成り立ちます。
$$ \lim_{n \to \infty} \left(-\frac{1}{n}\right) = 0, \quad \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0 $$
であるから、はさみうちの原理により
$$ \lim_{n \to \infty} a_n = 0 $$
よって、この数列は $0$ に収束します。
(2)
対数の性質を用いて式を変形します。
$$ a_n = \log(n+1) - \log n = \log \frac{n+1}{n} = \log \left(1 + \frac{1}{n}\right) $$
$n \to \infty$ のとき、$\frac{1}{n} \to 0$ であるから $1 + \frac{1}{n} \to 1$ となります。対数関数の連続性より
$$ \lim_{n \to \infty} a_n = \log 1 = 0 $$
よって、この数列は $0$ に収束します。
(3)
数列の部分列を考えます。$k$ を自然数とします。 $n = 8k$ のとき
$$ a_{8k} = 8k \cos \frac{8k\pi}{4} = 8k \cos 2k\pi = 8k $$
$k \to \infty$ のとき、$8k \to \infty$ となります。 一方、$n = 8k+4$ のとき
$$ a_{8k+4} = (8k+4) \cos \frac{(8k+4)\pi}{4} = (8k+4) \cos(2k\pi + \pi) = -(8k+4) $$
$k \to \infty$ のとき、$-(8k+4) \to -\infty$ となります。 $n \to \infty$ としたときの極限が一意に定まらないため、この数列は振動します。すなわち、発散します。
(4)
$n$ でくくって式を変形します。
$$ a_n = \sqrt{2n} - n = n \left( \frac{\sqrt{2n}}{n} - 1 \right) = n \left( \sqrt{\frac{2}{n}} - 1 \right) $$
$n \to \infty$ のとき、$\sqrt{\frac{2}{n}} \to 0$ であるから、$\sqrt{\frac{2}{n}} - 1 \to -1$ となります。 また、$n \to \infty$ であるから
$$ \lim_{n \to \infty} a_n = -\infty $$
よって、この数列は負の無限大に発散します。
(5)
$n \geqq 3$ のとき、二項定理を用いると
$$ 2^n = (1+1)^n = 1 + n + \frac{n(n-1)}{2} + \frac{n(n-1)(n-2)}{6 \cdot 2 \cdot 1} + \cdots $$
展開式の各項は正であるから
$$ 2^n > \frac{n(n-1)(n-2)}{6} $$
が成り立ちます。よって、$n \geqq 3$ において
$$ a_n = \frac{2^n}{n^2} > \frac{n(n-1)(n-2)}{6n^2} = \frac{1}{6} \left(1 - \frac{1}{n}\right)(n - 2) $$
$n \to \infty$ のとき、$1 - \frac{1}{n} \to 1$、$n - 2 \to \infty$ であるから、右辺は $\infty$ に発散します。 追い出しの原理により
$$ \lim_{n \to \infty} a_n = \infty $$
よって、この数列は正の無限大に発散します。
(6)
与えられた数列の一般項は、$n+1$ 個の項の和です。すべての項は正であるから、$a_n > 0$ です。 また、各項の分母において $n^2 \leqq (n+k)^2$ ($k=0, 1, \dots, n$)が成り立つため、各項について $\frac{1}{(n+k)^2} \leqq \frac{1}{n^2}$ と評価できます。したがって
$$ a_n = \frac{1}{n^2} + \frac{1}{(n+1)^2} + \cdots + \frac{1}{(2n)^2} \leqq \underbrace{\frac{1}{n^2} + \frac{1}{n^2} + \cdots + \frac{1}{n^2}}_{n+1 \text{ 個}} = \frac{n+1}{n^2} $$
よって
$$ 0 < a_n \leqq \frac{1}{n} + \frac{1}{n^2} $$
が成り立ちます。
$$ \lim_{n \to \infty} \left( \frac{1}{n} + \frac{1}{n^2} \right) = 0 $$
であるから、はさみうちの原理により
$$ \lim_{n \to \infty} a_n = 0 $$
よって、この数列は $0$ に収束します。
解説
数列の極限を調べる基本的な手法を網羅した問題です。 (1) や (6) のように、極限値が直接求めにくい場合は、不等式を作って「はさみうちの原理」を利用します。(6) は項数が $n+1$ 個であることに注意し、最も大きい項 $\frac{1}{n^2}$ に置き換えて上から評価することがポイントです。 (3) のように、三角関数が含まれていて極限が存在しないと予想される場合は、具体的な部分列を取り出して異なる極限を持つこと(または両極へ発散すること)を示します。 (5) は「指数関数と多項式の極限の強さ」を比較する典型問題です。高校数学では、二項定理を用いて分母の次数よりも高い次数で下から評価し、追い出しの原理に持ち込む手法が王道となります。
答え
(1) 収束する(極限値:$0$) (2) 収束する(極限値:$0$) (3) 発散する(振動する) (4) 発散する(負の無限大に発散) (5) 発散する(正の無限大に発散) (6) 収束する(極限値:$0$)
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