北海道大学 1972年 文系 第4問 解説

方針・初手
複素数 $z$ とその共役複素数 $\overline{z}$ を、実部 $x$ と虚部 $y$ を用いて表す基本的な変換がテーマである。 (1) では $z = x+yi, \overline{z} = x-yi$ の連立方程式から $x, y$ を $z, \overline{z}$ で表し、与えられた直線の方程式に代入する。 (2) では $(z+\overline{c})$ と $(\overline{z}+c)$ が互いに共役であることに着目して絶対値の式にするか、成分を直接代入して式を整理することで図形の形を明らかにする。
解法1
(1)
$z = x+yi$, $\overline{z} = x-yi$ であるから、辺々を足し引きすることで $x, y$ は以下のように表せる。
$$ x = \frac{z+\overline{z}}{2} $$
$$ y = \frac{z-\overline{z}}{2i} = -\frac{i(z-\overline{z})}{2} $$
これらを条件式 $lx+my=n$ に代入する。
$$ l \left( \frac{z+\overline{z}}{2} \right) - mi \left( \frac{z-\overline{z}}{2} \right) = n $$
両辺を $2$ 倍して展開・整理する。
$$ l(z+\overline{z}) - mi(z-\overline{z}) = 2n $$
$$ (l-mi)z + (l+mi)\overline{z} = 2n $$
これが求める関係式である。
(2)
与えられた方程式は以下の通りである。
$$ (z+\overline{c})(\overline{z}+c)=r $$
共役複素数の性質より $\overline{z+c} = \overline{z}+\overline{c}$ であり、$c$ の共役複素数の共役複素数は元に戻る($\overline{\overline{c}} = c$)ため、$\overline{z+\overline{c}} = \overline{z}+c$ が成り立つ。 したがって、与式は次のように変形できる。
$$ (z+\overline{c})\overline{(z+\overline{c})} = r $$
複素数 $w$ について $w\overline{w} = |w|^2$ であるから、
$$ |z+\overline{c}|^2 = r $$
ここで、$z = x+yi$、$c = a+bi$ であるため、$\overline{c} = a-bi$ となる。これを代入する。
$$ |(x+yi) + (a-bi)|^2 = r $$
$$ |(x+a) + (y-b)i|^2 = r $$
絶対値の定義より、実部と虚部の2乗の和となる。
$$ (x+a)^2 + (y-b)^2 = r $$
$r$ は正の定数であるから、これは $xy$ 平面上の円を表す。 これを図示すると、$xy$ 平面において点 $(-a, b)$ を中心とし、半径が $\sqrt{r}$ の円となる。 (図は省略)
解法2
(2) のみ別解
方程式に $z = x+yi$ と $c = a+bi, \overline{c} = a-bi$ を直接代入して計算することもできる。
与式は以下の通り。
$$ (z+\overline{c})(\overline{z}+c)=r $$
代入して整理する。
$$ \{ (x+yi) + (a-bi) \} \{ (x-yi) + (a+bi) \} = r $$
$$ \{ (x+a) + (y-b)i \} \{ (x+a) - (y-b)i \} = r $$
左辺は $(A+Bi)(A-Bi) = A^2+B^2$ の形をしているため、次のように展開できる。
$$ (x+a)^2 + (y-b)^2 = r $$
$r>0$ より、これは点 $(-a, b)$ を中心とする半径 $\sqrt{r}$ の円を表す。 図示すると、$xy$ 平面上に中心 $(-a, b)$、半径 $\sqrt{r}$ の円が描かれる。 (図は省略)
解説
複素数平面における図形の方程式の基本問題である。 (1) の結果 $(l-mi)z + (l+mi)\overline{z} = 2n$ は、複素数平面における直線の方程式の一般形である。 (2) は、複素数平面上の円の方程式 $|z-\alpha|^2 = r^2$ が $xy$ 平面上の円の方程式 $(x-a)^2+(y-b)^2 = r^2$ と対応していることを確認する問題である。 解法1のように共役複素数の性質 $(z+\overline{c})\overline{(z+\overline{c})} = |z+\overline{c}|^2$ を見抜けると、計算ミスを減らしつつ見通しよく解くことができる。直接代入する解法2も、本問のように式が単純であれば有効かつ確実である。
答え
(1) $$ (l-mi)z + (l+mi)\overline{z} = 2n $$
(2) 関係式: $$ (x+a)^2 + (y-b)^2 = r $$
図示: $xy$ 平面において、点 $(-a, b)$ を中心とする半径 $\sqrt{r}$ の円となる。(図の描画は省略)
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