北海道大学 1983年 文系 第2問 解説

方針・初手
1回の試行 $T$ において、事象 $A$ (さいころが2個とも偶数の目が出る)が起こる確率を求めることがすべての基礎となる。 (1)は反復試行において特定の回数で初めて事象が起こる確率を立式し、対数不等式を解く問題である。 (2)は反復試行において事象 $A$ が起こった回数に着目し、$S<0$ となる条件を事象 $A$ の起こる回数に帰着させる。
解法1
1回の試行 $T$ において、大小2つのさいころの目はそれぞれ独立に $1$ から $6$ まで等確率で出る。 偶数の目は $2, 4, 6$ の $3$ 通りであるから、事象 $A$ が起こる確率 $P(A)$ は
$$ P(A) = \frac{3}{6} \times \frac{3}{6} = \frac{1}{4} $$
事象 $A$ が起こらない確率は
$$ 1 - P(A) = 1 - \frac{1}{4} = \frac{3}{4} $$
となる。
(1)
$n$ 回目にはじめて事象 $A$ が起こる確率は、$1$ 回目から $n-1$ 回目までは事象 $A$ が起こらず、$n$ 回目に事象 $A$ が起こる確率であるから、これを $p_n$ とおくと
$$ p_n = \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \times \frac{1}{4} $$
この確率が $0.01$ 以下となるので、
$$ \frac{1}{4} \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \le 0.01 $$
$$ \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \le 0.04 = \frac{1}{25} $$
両辺の常用対数をとる。底 $10$ は $1$ より大きいため、不等号の向きは変わらない。
$$ (n-1) \log_{10} \frac{3}{4} \le \log_{10} \frac{1}{25} $$
ここで、それぞれの対数部分を計算する。
$$ \begin{aligned} \log_{10} \frac{3}{4} &= \log_{10} 3 - \log_{10} 2^2 \\ &= \log_{10} 3 - 2 \log_{10} 2 \\ &= 0.477 - 2 \times 0.301 \\ &= 0.477 - 0.602 \\ &= -0.125 \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} \log_{10} \frac{1}{25} &= \log_{10} (100^{-1} \cdot 4) \\ &= \log_{10} 4 - \log_{10} 100 \\ &= 2 \log_{10} 2 - 2 \\ &= 2 \times 0.301 - 2 \\ &= 0.602 - 2 \\ &= -1.398 \end{aligned} $$
これらを不等式に代入する。
$$ -0.125(n-1) \le -1.398 $$
両辺を $-0.125$ で割ると、負の数で割るため不等号の向きが逆転する。
$$ n-1 \ge \frac{1.398}{0.125} = \frac{1398}{125} = 11.184 $$
$$ n \ge 12.184 $$
$n$ は自然数であるから、これを満たす最小の $n$ は $13$ である。
(2)
$4$ 回の試行において、事象 $A$ が起こる回数を $k$ ( $k = 0, 1, 2, 3, 4$ )とする。 事象 $A$ が起こったとき $X_i = 1$、起こらなかったとき $X_i = -1$ となるため、$4$ 回の試行のうち事象 $A$ が $k$ 回起こった場合、$S$ の値は
$$ \begin{aligned} S &= k \times 1 + (4-k) \times (-1) \\ &= 2k - 4 \end{aligned} $$
となる。 $S < 0$ となる条件は
$$ 2k - 4 < 0 $$
$$ k < 2 $$
$k$ は $0$ 以上の整数であるから、$k = 0, 1$ である。 したがって、$S < 0$ となるのは、事象 $A$ が $0$ 回または $1$ 回起こる場合である。
事象 $A$ が $0$ 回起こる確率は
$$ \left(\frac{3}{4}\right)^4 = \frac{81}{256} $$
事象 $A$ がちょうど $1$ 回起こる確率は
$$ {}_4\mathrm{C}_1 \left(\frac{1}{4}\right)^1 \left(\frac{3}{4}\right)^3 = 4 \times \frac{1}{4} \times \frac{27}{64} = \frac{108}{256} $$
これらは互いに排反であるから、求める確率は
$$ \frac{81}{256} + \frac{108}{256} = \frac{189}{256} $$
となる。
解説
(1)は反復試行の確率と対数計算の融合問題として典型的な形である。「 $n$ 回目に初めて」という条件を正しく数式化できるか、常用対数を用いた不等式の処理において、負の数で割る際に不等号の向きを正しく反転させられるかが問われている。 (2)は確率変数 $X_n$ の和 $S$ を、事象 $A$ が起こる回数 $k$ の関数として表すことで、見通しよく解くことができる。各回の $X_n$ の組み合わせをすべて書き出すことも可能であるが、事象の回数に注目する方が計算の負担を減らしミスを防ぎやすい。
答え
(1) $n = 13$
(2) $\frac{189}{256}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











