北海道大学 1996年 文系 第4問 解説

方針・初手
与えられた関係式はすべての整数 $m, n \geqq 1$ で成り立つため、特定の値を代入して数列 $\{a_n\}$ の隣接項間の漸化式を導きます。扱いやすいように $m=1$ を代入し、$a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式を作り、そこから一般項を求める方針をとります。また、求めた一般項がすべての $m, n$ に対して関係式を満たすか(十分性)の確認も行います。
解法1
与えられた関係式 $$ (n + 2m)a_n - (m + 2n)a_m + (m - n)a_{n+m} = 0 \quad \cdots (*) $$ はすべての $m, n \geqq 1$ で成り立つ。 $(*)$ に $m = 1$ を代入すると、 $$ (n + 2)a_n - (1 + 2n)a_1 + (1 - n)a_{n+1} = 0 $$ 整理すると、 $$ (n - 1)a_{n+1} = (n + 2)a_n - (2n + 1)a_1 \quad \cdots (1) $$ となる。これはすべての $n \geqq 1$ に対して成り立つ。
(1) $a_1 = 0, a_2 = 6$ のとき
(1)式に $a_1 = 0$ を代入すると、 $$ (n - 1)a_{n+1} = (n + 2)a_n $$ $n \geqq 2$ のとき $n - 1 \neq 0$ であるから、両辺を $(n-1)n(n+1)$ で割ると、 $$ \frac{a_{n+1}}{(n+2)(n+1)n} = \frac{a_n}{(n+1)n(n-1)} $$ 数列 $\left\{ \frac{a_n}{(n+1)n(n-1)} \right\}$ は $n \geqq 2$ において定数数列となる。したがって、$n \geqq 2$ のとき $$ \frac{a_n}{(n+1)n(n-1)} = \frac{a_2}{3 \cdot 2 \cdot 1} = \frac{6}{6} = 1 $$ これより、 $$ a_n = (n-1)n(n+1) = n^3 - n $$ となる。この式は $n=1$ のとき $a_1 = 1^3 - 1 = 0$ となり、$n=1$ の場合も満たす。
次に、この $a_n$ がすべての $m, n \geqq 1$ に対して元の関係式 $(*)$ を満たすか確認する。 $a_k = k^3 - k$ を $(*)$ の左辺に代入すると、 $$ \begin{aligned} (\text{左辺}) &= (n+2m)(n^3-n) - (m+2n)(m^3-m) + (m-n)\{(n+m)^3 - (n+m)\} \\ &= (n^4 + 2mn^3 - n^2 - 2mn) - (m^4 + 2nm^3 - m^2 - 2nm) + (m-n)(n^3 + 3n^2m + 3nm^2 + m^3 - n - m) \\ &= n^4 - m^4 + 2mn^3 - 2nm^3 - n^2 + m^2 + mn^3 + 3n^2m^2 + 3nm^3 + m^4 - mn - m^2 \\ &\quad - n^4 - 3n^3m - 3n^2m^2 - nm^3 + n^2 + nm \\ &= n^4(1-1) + m^4(-1+1) + mn^3(2+1-3) + nm^3(-2+3-1) \\ &\quad + n^2m^2(3-3) + n^2(-1+1) + m^2(1-1) + mn(-2+2-1+1) \\ &= 0 \end{aligned} $$ となり、すべての $m, n \geqq 1$ で成立することが確認できる。 よって、求める一般項は $a_n = n^3 - n$ である。
(2) $a_1 = 1, a_2 = 2$ のとき
(1)式に $a_1 = 1$ を代入すると、 $$ (n - 1)a_{n+1} = (n + 2)a_n - (2n + 1) \quad \cdots (2) $$ (2)式の特解として $a_n = pn + q$ ($p, q$ は定数)の形を仮定して代入すると、 $$ (n-1)\{p(n+1)+q\} = (n+2)(pn+q) - (2n+1) $$ $$ pn^2 + qn - (p+q) = pn^2 + (2p+q-2)n + 2q - 1 $$ 係数を比較して、 $$ \begin{cases} q = 2p + q - 2 \\ -(p+q) = 2q - 1 \end{cases} $$ 第1式より $p = 1$。第2式に代入して $-(1+q) = 2q - 1$ より $q = 0$。 よって $a_n = n$ が特解の1つである。 これを用いて(2)式を変形する。特解の式 $(n-1)(n+1) = (n+2)n - (2n+1)$ を(2)式から辺々引くと、 $$ (n - 1)\{a_{n+1} - (n+1)\} = (n + 2)(a_n - n) $$ ここで $b_n = a_n - n$ とおくと、 $$ (n - 1)b_{n+1} = (n + 2)b_n $$ となり、(1)と全く同じ形の漸化式が得られる。 $n \geqq 2$ のとき、両辺を $(n-1)n(n+1)$ で割ると、 $$ \frac{b_{n+1}}{(n+2)(n+1)n} = \frac{b_n}{(n+1)n(n-1)} $$ 数列 $\left\{ \frac{b_n}{(n+1)n(n-1)} \right\}$ は $n \geqq 2$ において定数数列である。 したがって、$n \geqq 2$ のとき $$ \frac{b_n}{(n+1)n(n-1)} = \frac{b_2}{3 \cdot 2 \cdot 1} $$ ここで、$b_2 = a_2 - 2 = 2 - 2 = 0$ であるから、 $$ \frac{b_n}{(n+1)n(n-1)} = 0 $$ すなわち $b_n = 0$ となる。 これより、$n \geqq 2$ のとき $a_n = n$ である。この式は $n=1$ のとき $a_1 = 1$ となり、$n=1$ の場合も満たす。
最後に、この $a_n$ が元の関係式 $(*)$ を満たすか確認する。 $a_k = k$ を $(*)$ の左辺に代入すると、 $$ \begin{aligned} (\text{左辺}) &= (n+2m)n - (m+2n)m + (m-n)(n+m) \\ &= n^2 + 2mn - m^2 - 2mn + m^2 - n^2 \\ &= 0 \end{aligned} $$ となり、すべての $m, n \geqq 1$ で成立することが確認できる。 よって、求める一般項は $a_n = n$ である。
解説
2つの独立な変数 $m, n$ を含む漸化式の問題です。すべての $m, n$ で成り立つ恒等的な関係式が与えられた場合、一方の変数(本問では $m$)に特定の具体的な数値($m=1$ など)を代入することで、1変数 $n$ のみの隣接2項間の漸化式に帰着させるのが有効な定石です。
両辺を $n$ の式で割って階差数列や等比数列を作る変形 $\frac{a_{n+1}}{(n+2)(n+1)n} = \frac{a_n}{(n+1)n(n-1)}$ は、式に含まれる因数から規則性を見出す典型的な処理です。
また、本問で導いた漸化式は「$m=1$ のときに成り立つ」という必要条件に過ぎないため、求めた $a_n$ が元の関係式(すべての $m, n$ で成立)を満たすことの十分性の確認を行う必要があります。この論理の接続を忘れないように記述することが、記述試験において非常に重要です。
答え
(1) $a_n = n^3 - n$ (2) $a_n = n$
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