北海道大学 2006年 文系 第1問 解説

方針・初手
- 2次方程式の2つの解が設定されているため、「解と係数の関係」を利用するのが定石である。
- (1)は、解と係数の関係から導かれる積 $\alpha \beta$ の値と、問題文の条件を照らし合わせて示す。
- (2)は、与えられた解の比を基本対称式($\alpha + \beta$ と $\alpha \beta$)で表すことを目標に変形する。または、比の条件から1つの文字を消去する方針を取る。
解法1
(1)
2次方程式 $x^2 + bx + c = 0$ の解が $\alpha, \beta$ であるから、解と係数の関係より以下の式が成り立つ。
$$ \begin{cases} \alpha + \beta = -b \\ \alpha \beta = c \end{cases} $$
問題の条件より $c \neq 0$ であるから、
$$ \alpha \beta \neq 0 $$
したがって、$\alpha \neq 0$ かつ $\beta \neq 0$ である。ゆえに、$\alpha, \beta$ はともに $0$ でないことが示された。
(2)
$\frac{\alpha}{\beta}$ と $\frac{\beta}{\alpha}$ は互いに逆数の関係にある。したがって、どちらが実数 $r$ に等しい場合でも、他方は $\frac{1}{r}$ となる。
これより、両者の和をとると常に以下の等式が成り立つ。
$$ \frac{\alpha}{\beta} + \frac{\beta}{\alpha} = r + \frac{1}{r} $$
なお、(1)より $\alpha \neq 0, \beta \neq 0$ であるため左辺の分母は $0$ にならない。また、$c \neq 0$ より $\frac{\alpha}{\beta} = 0$ とはならず、$r \neq 0$ である。
この式の左辺を、基本対称式を用いて変形する。
$$ \frac{\alpha}{\beta} + \frac{\beta}{\alpha} = \frac{\alpha^2 + \beta^2}{\alpha \beta} = \frac{(\alpha + \beta)^2 - 2\alpha \beta}{\alpha \beta} $$
これに解と係数の関係 $\alpha + \beta = -b$, $\alpha \beta = c$ を代入する。
$$ \frac{(-b)^2 - 2c}{c} = r + \frac{1}{r} $$
$$ \frac{b^2}{c} - 2 = \frac{r^2 + 1}{r} $$
$$ \frac{b^2}{c} = \frac{r^2 + 1}{r} + 2 = \frac{r^2 + 2r + 1}{r} = \frac{(r+1)^2}{r} $$
両辺に $c$ を掛けて、求める式を得る。
$$ b^2 = \frac{(r+1)^2}{r} c $$
解法2
(2)の別解を示す。
対称性より、$\frac{\alpha}{\beta} = r$ としても一般性を失わない。このとき、以下の関係が成り立つ。
$$ \alpha = r \beta $$
これを解と係数の関係 $\alpha + \beta = -b$, $\alpha \beta = c$ に代入すると、以下の連立方程式を得る。
$$ \begin{cases} r \beta + \beta = -b \\ (r \beta) \beta = c \end{cases} $$
整理すると次のようになる。
$$ \begin{cases} (r + 1)\beta = -b \\ r \beta^2 = c \end{cases} $$
上の式を両辺2乗する。
$$ (r + 1)^2 \beta^2 = b^2 $$
ここで、$c \neq 0$ より $r \beta^2 = c \neq 0$ であるから、$r \neq 0$ となる。よって、下の式から $\beta^2 = \frac{c}{r}$ と表せる。
これを2乗した式に代入する。
$$ (r + 1)^2 \frac{c}{r} = b^2 $$
したがって、求める式は以下のようになる。
$$ b^2 = \frac{(r+1)^2}{r} c $$
解説
- 2次方程式の解に関する問題において、「解と係数の関係」を真っ先に思い浮かべることが重要である。
- (2)の解法1のように、$\frac{\alpha}{\beta}$ と $\frac{\beta}{\alpha}$ が互いに逆数であることを利用して「和」を作ることで、基本対称式で容易に表現でき、見通しの良い計算が可能になる。
- 解法2のような「1文字消去」の代入法も自然な発想であり、十分に実用的である。どちらの解法を採用した場合でも、$c \neq 0$ に起因する $r \neq 0$ の確認($0$ で割らないことの保証)を怠らないように意識したい。
答え
(1) 解と係数の関係より $\alpha \beta = c \neq 0$ であるため、$\alpha \neq 0$ かつ $\beta \neq 0$ となり、ともに $0$ でない。
(2) $b^2 = \frac{(r+1)^2}{r} c$
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