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北海道大学 2023年 文系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小
北海道大学 2023年 文系 第3問 解説

方針・初手

$K_n$ の式が絶対値の和で表されていることに着目する。数直線上の点間の距離の和と捉えるか、あるいは三角不等式 $|x| + |y| \ge |x + y|$ を繰り返し用いることで、$K_n$ のとりうる最小値とそのときの条件が見えてくる。この性質を理解できれば、(1)、(2)、(3) 全てが「特定の大小関係を満たす目の出方」を数える問題に帰着される。

解法1

(1)

与えられた式 $K_2$ は以下のようになる。

$$ K_2 = |1 - a_1| + |a_1 - a_2| + |a_2 - 6| $$

ここで、実数 $x, y, z$ について成り立つ三角不等式 $|x - y| + |y - z| \ge |x - z|$ を用いる。この等号成立条件は、$y$ が $x$ と $z$ の間にあること、すなわち $x \le y \le z$ または $z \le y \le x$ である。これを繰り返し適用すると、

$$ \begin{aligned} K_2 &\ge |1 - a_2| + |a_2 - 6| \\ &\ge |1 - 6| \\ &= 5 \end{aligned} $$

したがって、$K_2 \ge 5$ が成り立つ。

$K_2 = 5$ となるのは、上記2つの不等式で等号が成立するときであり、その条件は

$$ 1 \le a_1 \le a_2 \le 6 $$

となる($a_1, a_2$ はさいころの目なので、常に $1$ 以上 $6$ 以下の整数である)。

これを満たす整数の組 $(a_1, a_2)$ の個数は、$1$ から $6$ までの $6$ 個の整数から重複を許して $2$ 個選ぶ重複組合せ ${}_6\text{H}_2$ に等しい。

$$ {}_6\text{H}_2 = {}_{6+2-1}\text{C}_2 = {}_7\text{C}_2 = \frac{7 \cdot 6}{2 \cdot 1} = 21 $$

さいころを $2$ 回投げるときの目の出方の総数は $6^2 = 36$ 通りである。

よって、求める確率は

$$ \frac{21}{36} = \frac{7}{12} $$

(2)

(1) と同様に、$K_3$ について考える。

$$ K_3 = |1 - a_1| + |a_1 - a_2| + |a_2 - a_3| + |a_3 - 6| $$

三角不等式を繰り返し用いると、

$$ \begin{aligned} K_3 &\ge |1 - a_2| + |a_2 - a_3| + |a_3 - 6| \\ &\ge |1 - a_3| + |a_3 - 6| \\ &\ge |1 - 6| \\ &= 5 \end{aligned} $$

となり、$K_3 \ge 5$ が成り立つ。

$K_3 = 5$ となる条件は、すべての不等号で等号が成立することであり、それは

$$ 1 \le a_1 \le a_2 \le a_3 \le 6 $$

である。

これを満たす整数の組 $(a_1, a_2, a_3)$ の個数は、$1$ から $6$ までの $6$ 個の整数から重複を許して $3$ 個選ぶ重複組合せ ${}_6\text{H}_3$ に等しい。

$$ {}_6\text{H}_3 = {}_{6+3-1}\text{C}_3 = {}_8\text{C}_3 = \frac{8 \cdot 7 \cdot 6}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 56 $$

さいころを $3$ 回投げるときの目の出方の総数は $6^3 = 216$ 通りである。

よって、求める確率は

$$ \frac{56}{216} = \frac{7}{27} $$

(3)

一般の $n$ の場合について考える。

$$ K_n = |1 - a_1| + |a_1 - a_2| + \cdots + |a_{n-1} - a_n| + |a_n - 6| $$

三角不等式を順次適用すると、

$$ \begin{aligned} K_n &\ge |1 - a_2| + |a_2 - a_3| + \cdots + |a_n - 6| \\ &\ge |1 - a_3| + |a_3 - a_4| + \cdots + |a_n - 6| \\ &\ \ \vdots \\ &\ge |1 - 6| \\ &= 5 \end{aligned} $$

となる。したがって、任意の $n$ 個のさいころの目 $a_1, a_2, \dots, a_n$ に対して $K_n \ge 5$ が成り立つ。

また、例えば $a_1 = a_2 = \cdots = a_n = 1$ のとき、

$$ K_n = |1 - 1| + |1 - 1| + \cdots + |1 - 1| + |1 - 6| = 5 $$

となり、実際に値 $5$ をとることができる。

したがって、$K_n$ のとりうる値の最小値 $q_n$ は

$$ q_n = 5 $$

である。

さらに、$K_n = 5$ となる必要十分条件は、三角不等式を適用したすべての段階で等号が成立することである。

これは、数直線上において点 $1, a_1, a_2, \dots, a_n, 6$ がこの順に(同じ位置にあってもよい)並ぶことと同値である。

したがって、求める必要十分条件は

$$ 1 \le a_1 \le a_2 \le \cdots \le a_{n-1} \le a_n \le 6 $$

となる。ここで、$a_k$ はさいころの目であり $1 \le a_k \le 6$ を常に満たすため、条件は単に

$$ a_1 \le a_2 \le \cdots \le a_n $$

と記述しても十分である。

解説

絶対値の和の最小値を考える典型的な問題である。数直線上で座標 $1$ の点から出発し、$a_1, a_2, \dots, a_n$ を経由して座標 $6$ の点に至るまでの「道のり」の合計が $K_n$ である。スタートの $1$ からゴールの $6$ まで、戻ることなく進み続けるとき、道のりは最短距離の $5$ となる。後戻りをする(すなわち大小関係が逆転する箇所がある)と、その分だけ道のりが長くなる。この図形的な解釈を持っていれば、等号成立条件(必要十分条件)も容易に導き出すことができる。

等号成立条件が $a_1 \le a_2 \le \cdots \le a_n$ であると分かれば、あとは重複組合せ ${}_n\text{H}_r$ の計算をするだけになる。

答え

(1) $\frac{7}{12}$

(2) $\frac{7}{27}$

(3) $q_n = 5$、必要十分条件は $a_1 \le a_2 \le \cdots \le a_n$

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