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北海道大学 2023年 文系 第4問 解説

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北海道大学 2023年 文系 第4問 解説

方針・初手

2つの曲線が接するという条件を数式に落とし込む問題である。2曲線がある点で接するための条件は、「共有点をもつこと」かつ「その共有点における接線が一致すること」である。まずは接点の座標を文字でおき、それぞれの接線の方程式を立式して一致する条件から文字の値を定めていく。領域の面積計算では、図形的な位置関係を把握し、定積分と円の面積(扇形と三角形の面積)を組み合わせて効率よく計算する。

解法1

(1)

円 $C: x^2 + y^2 = 1$ と放物線 $P: y = x^2 + q$ の接点を $(s, t)$ とおく。 この点は円 $C$ と放物線 $P$ の両方の上にあるから、次の2式が成り立つ。

$$ s^2 + t^2 = 1 $$

$$ t = s^2 + q $$

点 $(s, t)$ における円 $C$ の接線の方程式は、

$$ sx + ty = 1 $$

である。一方で、放物線 $P$ について $y' = 2x$ であるから、点 $(s, t)$ における接線の傾きは $2s$ となる。 問題の条件より接線の傾きは正であるから、

$$ 2s > 0 \iff s > 0 $$

である。この放物線の接線の方程式は、

$$ y - t = 2s(x - s) $$

$$ 2sx - y - 2s^2 + t = 0 $$

円 $C$ の接線 $sx + ty - 1 = 0$ と放物線 $P$ の接線が一致するためには、それぞれの法線ベクトル $(s, t)$ と $(2s, -1)$ が平行であればよい。したがって、

$$ s \cdot (-1) - t \cdot 2s = 0 $$

$$ -s(1 + 2t) = 0 $$

$s > 0$ であるから、

$$ 1 + 2t = 0 \iff t = -\frac{1}{2} $$

これを $s^2 + t^2 = 1$ に代入すると、

$$ s^2 + \left(-\frac{1}{2}\right)^2 = 1 \iff s^2 = \frac{3}{4} $$

$s > 0$ より $s = \frac{\sqrt{3}}{2}$ となり、接点の座標は $\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{1}{2}\right)$ である。 さらに、この接点が放物線 $P$ 上にある条件 $t = s^2 + q$ に代入して、

$$ -\frac{1}{2} = \frac{3}{4} + q \iff q = -\frac{5}{4} $$

(2)

(1)の結果より、$q_1 = -\frac{5}{4}$、$y_1 = -\frac{1}{2}$ である。与えられた連立不等式は、

$$ \begin{cases} x^2 + y^2 \geqq 1 \\ y \geqq x^2 - \frac{5}{4} \\ y \leqq -\frac{1}{2} \end{cases} $$

となる。この連立不等式が表す領域の面積を $S$ とする。 直線 $y = -\frac{1}{2}$ と円 $x^2 + y^2 = 1$ の交点の $x$ 座標は、

$$ x^2 + \left(-\frac{1}{2}\right)^2 = 1 \iff x^2 = \frac{3}{4} \iff x = \pm\frac{\sqrt{3}}{2} $$

であり、直線 $y = -\frac{1}{2}$ と放物線 $y = x^2 - \frac{5}{4}$ の交点の $x$ 座標は、

$$ -\frac{1}{2} = x^2 - \frac{5}{4} \iff x^2 = \frac{3}{4} \iff x = \pm\frac{\sqrt{3}}{2} $$

であるから、これらの交点は一致し、(1)で求めた接点およびそれと $y$ 軸に関して対称な点である。 したがって、求める領域は「放物線 $y = x^2 - \frac{5}{4}$ と直線 $y = -\frac{1}{2}$ で囲まれた領域」から「円 $x^2 + y^2 = 1$ と直線 $y = -\frac{1}{2}$ で囲まれた領域(ただし $y \leqq -\frac{1}{2}$ の部分)」を除いたものになる。

まず、放物線と直線で囲まれた領域の面積 $S_1$ は、

$$ \begin{aligned} S_1 &= \int_{-\frac{\sqrt{3}}{2}}^{\frac{\sqrt{3}}{2}} \left\{ -\frac{1}{2} - \left(x^2 - \frac{5}{4}\right) \right\} dx \\ &= \int_{-\frac{\sqrt{3}}{2}}^{\frac{\sqrt{3}}{2}} \left( \frac{3}{4} - x^2 \right) dx \\ &= \frac{1}{6} \left\{ \frac{\sqrt{3}}{2} - \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right) \right\}^3 \\ &= \frac{1}{6} (\sqrt{3})^3 \\ &= \frac{\sqrt{3}}{2} \end{aligned} $$

次に、円と直線で囲まれた弓形の領域の面積 $S_2$ を求める。 円と直線の交点を $\mathrm{A}\left(-\frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{1}{2}\right)$、$\mathrm{B}\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{1}{2}\right)$ とし、原点を $\mathrm{O}$ とすると、$\mathrm{OA} = \mathrm{OB} = 1$、直線 $\mathrm{AB}$ と原点との距離は $\frac{1}{2}$ である。 したがって、$\triangle\mathrm{OAB}$ は内角が $\frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{6}, \frac{2}{3}\pi$ の二等辺三角形となる。 弓形の面積 $S_2$ は、中心角 $\frac{2}{3}\pi$ の扇形の面積から $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を引いたものであるから、

$$ \begin{aligned} S_2 &= \frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \frac{2}{3}\pi - \frac{1}{2} \cdot \sqrt{3} \cdot \frac{1}{2} \\ &= \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{4} \end{aligned} $$

以上より、求める面積 $S$ は、

$$ \begin{aligned} S &= S_1 - S_2 \\ &= \frac{\sqrt{3}}{2} - \left( \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{4} \right) \\ &= \frac{3\sqrt{3}}{4} - \frac{\pi}{3} \end{aligned} $$

解説

(1)の「2つの曲線が接する」という条件の処理がポイントである。方程式を連立して重解をもつ条件(判別式 $D=0$)に帰着させる方法もあるが、本問のように円と放物線の場合は、接点を設定して共通接線をもつ(接線の法線ベクトルが平行になる)と考えるか、微分係数が等しくなることを利用する方が自然かつ簡明な計算で済む。 (2)の面積計算では、領域の形状を正確に把握することが重要である。(1)で求めた接点が領域の端点となっていることに気づけば、定積分と幾何的知識(扇形と三角形の面積)を組み合わせて容易に計算できる。円が絡む面積は無理関数の積分を避けて図形的に処理するのが定石である。

答え

(1) $q = -\frac{5}{4}$ 接点の座標は $\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{1}{2}\right)$

(2) $\frac{3\sqrt{3}}{4} - \frac{\pi}{3}$

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