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北海道大学 1965年 理系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
北海道大学 1965年 理系 第1問 解説

方針・初手

解法1

(1)

四角形 $ABCD$ の外接円の中心を原点 $\mathrm{O}$ とし、各頂点の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}, \vec{d}$ とする。

点 $P$ は線分 $AD$ 上にあるため、実数 $s$ ($0 \leqq s \leqq 1$) を用いて $$ \overrightarrow{OP} = (1-s)\vec{a} + s\vec{d} $$ と表せる。

同様に、点 $Q$ は線分 $BC$ 上にあるため、実数 $t$ ($0 \leqq t \leqq 1$) を用いて $$ \overrightarrow{OQ} = (1-t)\vec{b} + t\vec{c} $$ と表せる。

線分 $PQ$ の中点を $M$ とすると、その位置ベクトル $\overrightarrow{OM}$ は $$ \begin{aligned} \overrightarrow{OM} &= \frac{1}{2} (\overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OQ}) \\ &= \frac{1}{2} \{ (1-s)\vec{a} + s\vec{d} + (1-t)\vec{b} + t\vec{c} \} \\ &= \frac{\vec{a}+\vec{b}}{2} + s \left( \frac{\vec{d}-\vec{a}}{2} \right) + t \left( \frac{\vec{c}-\vec{b}}{2} \right) \\ &= \frac{\vec{a}+\vec{b}}{2} + s \left( \frac{1}{2} \overrightarrow{AD} \right) + t \left( \frac{1}{2} \overrightarrow{BC} \right) \end{aligned} $$ となる。

ここで、辺 $AB$ の中点を $K$、対角線 $DB$ の中点を $L$、対角線 $AC$ の中点を $M'$、辺 $DC$ の中点を $N$ とする。 中点連結定理より $$ \overrightarrow{KL} = \frac{1}{2}\overrightarrow{AD}, \quad \overrightarrow{KM'} = \frac{1}{2}\overrightarrow{BC} $$ が成り立つ。

したがって、 $$ \overrightarrow{OM} = \overrightarrow{OK} + s\overrightarrow{KL} + t\overrightarrow{KM'} \quad (0 \leqq s \leqq 1, \quad 0 \leqq t \leqq 1) $$ と表される。

変数 $s, t$ がこの範囲を動くとき、点 $M$ の動く範囲は、点 $K$ を基準とし、2つのベクトル $\overrightarrow{KL}$ と $\overrightarrow{KM'}$ で張られる平行四辺形の周および内部である。

$s=1, t=1$ のとき、点 $M$ の位置ベクトルは $\overrightarrow{OK} + \overrightarrow{KL} + \overrightarrow{KM'}$ となり、これは点 $N$ の位置ベクトルに一致する。 よって、求める範囲は「四角形 $ABCD$ の辺 $AB, DC$ の中点、および対角線 $BD, AC$ の中点からなる平行四辺形 $KLNM'$ の周および内部」である。 図示する際は、これら4つの中点を結んだ平行四辺形の内部(境界を含む)に斜線を引く。

(2)

外接円の半径を $R$ とすると、$R=1$ である。 $\triangle BCD$ において、弦 $BD$ の長さが $BD = 2 = 2R$ であるから、$BD$ は円の直径である。 よって、円周角の定理より $\angle BCD = 90^\circ$ および $\angle BAD = 90^\circ$ である。

また、$BC = CD$ であるから、$\triangle BCD$ は直角二等辺三角形となり、 $$ BC = CD = \sqrt{2} $$ であり、$\angle BDC = 45^\circ$ である。

次に、$\triangle ACD$ において正弦定理を用いると $$ \frac{AC}{\sin \angle ADC} = 2R = 2 $$ となる。$AC = \sqrt{3}$ より $\sin \angle ADC = \frac{\sqrt{3}}{2}$ を得る。 条件より $\angle ADC$ は鈍角であるため、$\angle ADC = 120^\circ$ である。

これより、$\angle ADB = \angle ADC - \angle BDC = 120^\circ - 45^\circ = 75^\circ$ となる。

直角三角形 $ABD$ において $$ \begin{aligned} AD &= BD \cos \angle ADB \\ &= 2 \cos 75^\circ \\ &= 2 \cos(45^\circ + 30^\circ) \\ &= 2 \left( \cos 45^\circ \cos 30^\circ - \sin 45^\circ \sin 30^\circ \right) \\ &= 2 \left( \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} - \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{1}{2} \right) \\ &= \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{2} \end{aligned} $$ と求まる。

続いて、(1) の範囲の面積 $S$ を求める。 (1) で求めた領域は、隣り合う2辺の長さが $\frac{1}{2}AD, \frac{1}{2}BC$ である平行四辺形である。

四角形 $ABCD$ は円に内接するため、対角の和は $180^\circ$ であり、 $$ \angle ABC = 180^\circ - \angle ADC = 180^\circ - 120^\circ = 60^\circ $$ である。

直線 $AD$ と直線 $BC$ が交わる点を $E$ とおく。 $\angle DAB = 90^\circ, \angle ABC = 60^\circ$ より、交点 $E$ は点 $D$ を越えた直線 $AD$ 上、および点 $C$ を越えた直線 $BC$ 上にある。

$\triangle EDC$ の内角について考えると、 $$ \angle EDC = 180^\circ - 120^\circ = 60^\circ $$ $$ \angle ECD = 180^\circ - 90^\circ = 90^\circ $$ となるため、 $$ \angle E = 180^\circ - (60^\circ + 90^\circ) = 30^\circ $$ である。すなわち、直線 $AD$ と直線 $BC$ のなす鋭角は $30^\circ$ である。

したがって、平行四辺形の面積 $S$ は $$ \begin{aligned} S &= \left( \frac{1}{2} AD \right) \left( \frac{1}{2} BC \right) \sin 30^\circ \\ &= \frac{1}{4} \cdot \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{2} \cdot \sqrt{2} \cdot \frac{1}{2} \\ &= \frac{\sqrt{12}-2}{16} \\ &= \frac{2\sqrt{3}-2}{16} \\ &= \frac{\sqrt{3}-1}{8} \end{aligned} $$ となる。

解法2

(2) の面積計算について、座標平面を利用する別解を示す。

円の中心を原点 $\mathrm{O}(0,0)$ とし、直径の両端を $D(0, 1), B(0, -1)$ とおく。 $\triangle BCD$ は $\angle C = 90^\circ$ の直角二等辺三角形であるから、点 $C$ は $x$ 軸上にあり、$C(1, 0)$ としても一般性を失わない。 このとき、 $$ \overrightarrow{BC} = (1, 1) $$ である。

また、点 $A$ は $\angle ADB = 75^\circ$ を満たす円周上の点である。 $\angle ADC = 120^\circ > \angle BDC = 45^\circ$ であることから、点 $A$ は $y$ 軸(直線 $BD$)に関して点 $C$ と反対側に位置する。

円周角と中心角の定理より、弧 $AD$ に対する中心角は $2 \times 15^\circ = 30^\circ$ であるため、点 $A$ の偏角は $90^\circ + 30^\circ = 120^\circ$ となる。 よって、$A\left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ である。

これより $$ \overrightarrow{AD} = \overrightarrow{OD} - \overrightarrow{OA} = (0, 1) - \left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right) = \left(\frac{1}{2}, 1 - \frac{\sqrt{3}}{2}\right) $$ となる。

(1) で求めた平行四辺形を張る2つのベクトルを $\vec{u} = \frac{1}{2}\overrightarrow{AD}, \vec{v} = \frac{1}{2}\overrightarrow{BC}$ とすると、 $$ \vec{u} = \left( \frac{1}{4}, \frac{2-\sqrt{3}}{4} \right), \quad \vec{v} = \left( \frac{1}{2}, \frac{1}{2} \right) $$ である。

平行四辺形の面積 $S$ は、これら2つのベクトルの外積の大きさ(行列式の絶対値)に等しいため、 $$ \begin{aligned} S &= |u_x v_y - u_y v_x| \\ &= \left| \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{2} - \frac{2-\sqrt{3}}{4} \cdot \frac{1}{2} \right| \\ &= \left| \frac{1 - (2-\sqrt{3})}{8} \right| \\ &= \frac{\sqrt{3}-1}{8} \end{aligned} $$ と求まる。

解説

(1) はベクトルの媒介変数表示を用いた図形領域の典型的な問題である。2つの動くパラメータ $s, t$ を分離して式を変形することで、平行四辺形が浮かび上がる点に着目したい。 (2) は図形の計量問題である。「外接円の半径」「$BD=2$(すなわち直径)」という条件から、直ちに $\angle C = 90^\circ, \angle A = 90^\circ$ を見抜けるかが第一の鍵となる。 そこから正弦定理などを用いて残りの角を求め、(1) で得た幾何的性質(2本の直線のなす角)に結びつける解法1の初等幾何的アプローチは非常に簡明である。 一方で、角度から各頂点の座標を決定し、成分計算で面積を求める解法2も確実な手法であり、試験本番で図形的性質に気づけなかった場合の有力な手段となる。

答え

(1) の範囲は、辺 $AB, DC$ の中点、および対角線 $BD, AC$ の中点を頂点とする平行四辺形の周および内部。 (2) $AD = \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{2}$, 面積は $\frac{\sqrt{3}-1}{8}$

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