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北海道大学 1974年 理系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学A/整数問題テーマ/整数の証明テーマ/図形総合
北海道大学 1974年 理系 第2問 解説

方針・初手

ド・モアブルの定理と複素数の積の性質を用いて、与えられた方程式の左辺を1つの極形式にまとめ、偏角の条件に帰着させる。(1)では得られた偏角の一般角から、指定された範囲に含まれるものの個数を数える。(2)では数列の和(部分分数分解)を計算して偏角を求める。(3)では複素数が純虚数となる条件を偏角から立式し、整数問題(不定方程式)として処理する。

解法1

(1)

複素数の積の極形式に関する性質から、左辺の偏角はそれぞれの複素数の偏角の和となる。

$$ (\cos\theta + i\sin\theta)(\cos 2\theta + i\sin 2\theta)\cdots(\cos n\theta + i\sin n\theta) = \cos\left( \sum_{k=1}^n k\theta \right) + i\sin\left( \sum_{k=1}^n k\theta \right) $$

ここで、偏角の和を計算すると

$$ \sum_{k=1}^n k\theta = \frac{n(n+1)}{2}\theta $$

となる。右辺は $1 = \cos 0 + i\sin 0$ であるから、与えられた方程式は

$$ \cos\left( \frac{n(n+1)}{2}\theta \right) + i\sin\left( \frac{n(n+1)}{2}\theta \right) = 1 $$

となる。したがって、$k$ を整数として、偏角について次の式が成り立つ。

$$ \frac{n(n+1)}{2}\theta = 2k\pi $$

これを $\theta$ について解くと

$$ \theta = \frac{4k\pi}{n(n+1)} $$

条件より $0 < \theta \leqq 2\pi$ であるから

$$ 0 < \frac{4k\pi}{n(n+1)} \leqq 2\pi $$

各辺に $\frac{n(n+1)}{4\pi}$ を掛けて

$$ 0 < k \leqq \frac{n(n+1)}{2} $$

$n$ は自然数であり、連続する2つの整数の積 $n(n+1)$ は偶数であるため、$\frac{n(n+1)}{2}$ は自然数である。よって、この不等式を満たす整数 $k$ は $1, 2, \dots, \frac{n(n+1)}{2}$ の $\frac{n(n+1)}{2}$ 個存在する。$\theta$ の値は $k$ の値に1対1で対応するため、条件を満たす $\theta$ の個数も $\frac{n(n+1)}{2}$ 個である。

(2)

(1)より、$\theta$ が最小となるのは $k=1$ のときである。したがって

$$ \theta_n = \frac{4\pi}{n(n+1)} $$

$z_n$ を複素数の積の性質を用いて1つの極形式にまとめる。$z_n$ の偏角は $\theta_1, \theta_2, \dots, \theta_n$ の和となる。

$$ z_n = \cos\left( \sum_{k=1}^n \theta_k \right) + i\sin\left( \sum_{k=1}^n \theta_k \right) $$

ここで、偏角の和の部分分数分解を利用して計算する。

$$ \sum_{k=1}^n \theta_k = \sum_{k=1}^n \frac{4\pi}{k(k+1)} $$

$$ = 4\pi \sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{k} - \frac{1}{k+1} \right) $$

$$ = 4\pi \left\{ \left( \frac{1}{1} - \frac{1}{2} \right) + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{3} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{n} - \frac{1}{n+1} \right) \right\} $$

$$ = 4\pi \left( 1 - \frac{1}{n+1} \right) = \frac{4n\pi}{n+1} $$

したがって、$z_n$ を極形式で表すと

$$ z_n = \cos\left( \frac{4n\pi}{n+1} \right) + i\sin\left( \frac{4n\pi}{n+1} \right) $$

(3)

$z_n$ が純虚数となる条件は、$z_n$ の偏角が $\frac{\pi}{2} + m\pi$ ($m$ は整数) と表せることである。すなわち

$$ \frac{4n\pi}{n+1} = \frac{\pi}{2} + m\pi $$

両辺を $\pi$ で割り、変形する。

$$ \frac{4n}{n+1} = \frac{2m+1}{2} $$

$$ 8n = (2m+1)(n+1) $$

$$ 8n = 2mn + n + 2m + 1 $$

$$ (7-2m)n = 2m+1 $$

ここで、もし $7-2m=0$ であれば $0=8$ となり不合理であるから、$7-2m \neq 0$ である。両辺を $7-2m$ で割ると

$$ n = \frac{2m+1}{7-2m} $$

右辺の分子を分母の形を作り出して変形する。

$$ n = \frac{-(7-2m)+8}{7-2m} = -1 + \frac{8}{7-2m} $$

$n$ は自然数であるから、$n \geqq 1$ である。ゆえに

$$ -1 + \frac{8}{7-2m} \geqq 1 $$

$$ \frac{8}{7-2m} \geqq 2 $$

また、$m$ は整数であるから、$7-2m$ は奇数である。さらに、$n$ が整数になるためには、$7-2m$ は $8$ の約数でなければならない。 $8$ の約数である奇数は $1$ と $-1$ のみである。

(i) $7-2m = 1$ のとき $m = 3$ であり、このとき $n = -1 + 8 = 7$ となり、自然数となるため適する。

(ii) $7-2m = -1$ のとき $m = 4$ であり、このとき $n = -1 - 8 = -9$ となり、自然数ではないため不適である。

以上より、$n = 7$ である。 このとき、偏角は

$$ \frac{4 \cdot 7}{7+1}\pi = \frac{28}{8}\pi = \frac{7}{2}\pi $$

となる。したがって

$$ z_n = \cos\left( \frac{7}{2}\pi \right) + i\sin\left( \frac{7}{2}\pi \right) = \cos\left( 3\pi + \frac{\pi}{2} \right) + i\sin\left( 3\pi + \frac{\pi}{2} \right) = -i $$

解説

複素平面上の点の乗法が偏角の加法に結びつくこと、そしてその和が $\Sigma$ 計算や部分分数分解によって整理できるかを問う、複素数平面と数列の典型的な融合問題である。 (3)では方程式から未知数 $n$ と $m$ の関係式を導き、分数式の形にしてから「分子の次数を下げる」という整数問題の定石を用いると、見通しよく解くことができる。

答え

(1) $\frac{n(n+1)}{2}$ 個 (2) $z_n = \cos\left( \frac{4n\pi}{n+1} \right) + i\sin\left( \frac{4n\pi}{n+1} \right)$ (3) $n = 7, \quad z_n = -i$

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