北海道大学 1975年 理系 第2問 解説

方針・初手
空間図形におけるベクトルと平面の方程式の基本的な性質を利用する。
(1) 2つのベクトルに垂直なベクトルを求めるため、求めるベクトルの成分を文字でおき、内積が0になるという条件から連立方程式を立てて解く。大きさが1であるという条件も忘れずに適用する。
(2) (1)で求めたベクトルは、3点A, B, Cを通る平面の法線ベクトルとなる。平面上の任意の点Pと点Aを結ぶベクトル $\overrightarrow{AP}$ が、法線ベクトルと垂直になる(内積が0になる)ことを用いて方程式を立てる。
(3) 点から平面への垂線の長さを求めるので、(2)で求めた平面の方程式を利用して、点と平面の距離の公式を適用するのが最も早い。
解法1
(1)
与えられた点から、ベクトル $\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{AC}$ の成分を計算する。
$$ \overrightarrow{AB} = (3-1, 4-1, 2-1) = (2, 3, 1) $$
$$ \overrightarrow{AC} = (2-1, 3-1, 2-1) = (1, 2, 1) $$
求める単位ベクトルを $\vec{e} = (a, b, c)$ とおく。単位ベクトルであるから、
$$ a^2 + b^2 + c^2 = 1 \quad \cdots \text{①} $$
$\vec{e}$ は $\overrightarrow{AB}$ に垂直であるから、内積は0となる。
$$ \vec{e} \cdot \overrightarrow{AB} = 2a + 3b + c = 0 \quad \cdots \text{②} $$
$\vec{e}$ は $\overrightarrow{AC}$ に垂直であるから、内積は0となる。
$$ \vec{e} \cdot \overrightarrow{AC} = a + 2b + c = 0 \quad \cdots \text{③} $$
②から③を引くと、
$$ a + b = 0 \implies b = -a $$
これを③に代入すると、
$$ a + 2(-a) + c = 0 \implies -a + c = 0 \implies c = a $$
$b = -a, c = a$ を①に代入すると、
$$ a^2 + (-a)^2 + a^2 = 1 $$
$$ 3a^2 = 1 \implies a = \pm \frac{1}{\sqrt{3}} $$
したがって、求める単位ベクトル $\vec{e}$ の成分は、
$$ \vec{e} = \left( \pm \frac{1}{\sqrt{3}}, \mp \frac{1}{\sqrt{3}}, \pm \frac{1}{\sqrt{3}} \right) \quad (\text{複号同順}) $$
(2)
点Pの座標を $(x, y, z)$ とする。点Pが三角形ABCを含む平面上にあるとき、ベクトル $\overrightarrow{AP}$ は平面の法線ベクトルに垂直である。
(1)より、この平面の法線ベクトルの1つとして $\vec{n} = (1, -1, 1)$ をとることができる。
$\overrightarrow{AP} = (x-1, y-1, z-1)$ であり、$\vec{n} \cdot \overrightarrow{AP} = 0$ が成り立つから、
$$ 1 \cdot (x - 1) - 1 \cdot (y - 1) + 1 \cdot (z - 1) = 0 $$
展開して整理すると、
$$ x - 1 - y + 1 + z - 1 = 0 $$
$$ x - y + z - 1 = 0 $$
これが求める関係式である。
(3)
点 $D(2, 2, 4)$ から平面 $x - y + z - 1 = 0$ に下ろした垂線の長さ $h$ は、点と平面の距離の公式より、
$$ h = \frac{|1 \cdot 2 - 1 \cdot 2 + 1 \cdot 4 - 1|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2 + 1^2}} $$
$$ h = \frac{|2 - 2 + 4 - 1|}{\sqrt{3}} = \frac{3}{\sqrt{3}} = \sqrt{3} $$
解法2
(3)の別解(垂線の足を求める方法)
平面 $x - y + z - 1 = 0$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (1, -1, 1)$ とする。
点Dから平面に下ろした垂線の足をHとすると、$\overrightarrow{DH}$ は $\vec{n}$ と平行であるから、実数 $k$ を用いて次のように表せる。
$$ \overrightarrow{DH} = k\vec{n} = (k, -k, k) $$
よって、点Hの座標は、
$$ \overrightarrow{OH} = \overrightarrow{OD} + \overrightarrow{DH} = (2, 2, 4) + (k, -k, k) = (2+k, 2-k, 4+k) $$
点Hは平面 $x - y + z - 1 = 0$ 上にあるから、座標を代入して、
$$ (2+k) - (2-k) + (4+k) - 1 = 0 $$
$$ 3k + 3 = 0 \implies k = -1 $$
したがって、$\overrightarrow{DH} = (-1, 1, -1)$ となる。求める垂線の長さは、このベクトル $\overrightarrow{DH}$ の大きさであるから、
$$ |\overrightarrow{DH}| = \sqrt{(-1)^2 + 1^2 + (-1)^2} = \sqrt{3} $$
解説
空間における平面の方程式と、その法線ベクトルの扱いに関する典型的な問題である。
(1)での連立方程式を用いた解法のほかに、2つのベクトルに垂直なベクトルを求める手段として「外積(ベクトル積)」を知っていると、計算ミスを減らし素早く法線ベクトルを導出できる。$\overrightarrow{AB} \times \overrightarrow{AC}$ を計算し、その大きさを1に調整すればよい。
(3)は点と平面の距離の公式を使うのが最も簡潔だが、公式を忘れてしまった場合や、垂線の足の座標自体を問われる問題への応用を見据えて、解法2のように法線ベクトル定数倍を用いて垂線の足を設定するアプローチも習得しておきたい。
答え
(1) $\left( \frac{1}{\sqrt{3}}, -\frac{1}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}} \right), \left( -\frac{1}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}}, -\frac{1}{\sqrt{3}} \right)$
(2) $x - y + z - 1 = 0$
(3) $\sqrt{3}$
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