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北海道大学 1980年 理系 第3問 解説

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北海道大学 1980年 理系 第3問 解説

方針・初手

直線 $NQ$ と直線 $SR$ 上の点をそれぞれ媒介変数を用いて表し、それらが一致する点として交点 $P$ の座標を $r, \theta$ で表します。その後、$P$ の座標 $(x,y,z)$ の間に成り立つ関係式(軌跡の方程式)を求め、$r>0, 0 \leqq \theta \leqq 2\pi$ という条件から軌跡の範囲を特定します。

解法1

点 $P$ は直線 $NQ$ 上にあるので、実数 $s$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OP} = (1-s)\vec{ON} + s\vec{OQ} = (1-s)(0,0,1) + s(r\cos\theta, r\sin\theta, 0) = (sr\cos\theta, sr\sin\theta, 1-s) $$

また、点 $P$ は直線 $SR$ 上にもあるので、実数 $t$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OP} = (1-t)\vec{OS} + t\vec{OR} = (1-t)(0,0,-1) + t\left(\frac{1}{r}\cos\theta, \frac{1}{r}\sin\theta, 0\right) = \left(\frac{t}{r}\cos\theta, \frac{t}{r}\sin\theta, t-1\right) $$

これら2つの式は同じ点 $P$ を表すので、各成分を比較して以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} sr\cos\theta = \frac{t}{r}\cos\theta \\ sr\sin\theta = \frac{t}{r}\sin\theta \\ 1-s = t-1 \end{cases} $$

$\cos\theta$ と $\sin\theta$ は同時には $0$ にならない($\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ より)ため、第1式と第2式から以下が成り立つ。

$$ sr = \frac{t}{r} $$

これより $t = sr^2$ となる。これを第3式 $s+t=2$ に代入する。

$$ s + sr^2 = 2 $$

$$ s(1+r^2) = 2 $$

$1+r^2 \neq 0$ であるから、

$$ s = \frac{2}{1+r^2} $$

これを $P$ の座標の式に代入し、$P(x,y,z)$ とすると、各成分は次のように表される。

$$ \begin{aligned} x &= \frac{2r}{1+r^2}\cos\theta \\ y &= \frac{2r}{1+r^2}\sin\theta \\ z &= 1 - \frac{2}{1+r^2} = \frac{r^2-1}{r^2+1} \end{aligned} $$

ここで、$x^2 + y^2 + z^2$ を計算する。

$$ \begin{aligned} x^2 + y^2 + z^2 &= \left(\frac{2r}{1+r^2}\cos\theta\right)^2 + \left(\frac{2r}{1+r^2}\sin\theta\right)^2 + \left(\frac{r^2-1}{r^2+1}\right)^2 \\ &= \frac{4r^2}{(1+r^2)^2}(\cos^2\theta + \sin^2\theta) + \frac{r^4-2r^2+1}{(1+r^2)^2} \\ &= \frac{4r^2 + r^4 - 2r^2 + 1}{(1+r^2)^2} \\ &= \frac{r^4 + 2r^2 + 1}{(1+r^2)^2} \\ &= \frac{(r^2+1)^2}{(r^2+1)^2} = 1 \end{aligned} $$

したがって、点 $P$ は原点中心、半径 $1$ の球面 $x^2 + y^2 + z^2 = 1$ 上にあることがわかる。

次に、軌跡の存在範囲を調べる。$z$ 座標の式を変形する。

$$ z = \frac{r^2-1}{r^2+1} = 1 - \frac{2}{r^2+1} $$

条件 $r > 0$ より $r^2 > 0$ であるから、$r^2+1 > 1$ となる。ゆえに、

$$ 0 < \frac{2}{r^2+1} < 2 $$

各辺に $-1$ を掛け、$1$ を加える。

$$ -1 < 1 - \frac{2}{r^2+1} < 1 $$

すなわち、$-1 < z < 1$ である。

また、任意の $r > 0$ に対して、$0 \leqq \theta \leqq 2\pi$ の範囲で $\theta$ が変化するとき、$(x, y)$ は平面 $z = \frac{r^2-1}{r^2+1}$ 上にある円を1周する。 以上より、点 $P$ は球面 $x^2 + y^2 + z^2 = 1$ の $-1 < z < 1$ の部分全体を動く。 これは、球面全体から $z=1$ となる点 $N(0,0,1)$ および $z=-1$ となる点 $S(0,0,-1)$ を除いた図形である。

解法2

空間全体で考える代わりに、点 $P$ を含む特定の平面で切断して考える。

$\theta$ を任意の値に固定する。このとき、点 $O, N, S, Q, R$ はすべて、直線 $NS$ ($z$軸)と点 $Q$ が定める同一平面上にある。この平面を $\alpha$ とし、$\alpha$ 上に新しい座標系を導入する。 $z$軸を縦軸とし、直線 $OQ$ を横軸($u$軸)と定める。$u$軸の正の方向をベクトル $\vec{OQ}$ の方向とする。

平面 $\alpha$ 上で、各点の座標は次のように表せる。 $N(0, 1)$ $S(0, -1)$ $Q(r, 0)$ $R\left(\frac{1}{r}, 0\right)$

この平面内で、直線 $NQ$ の方程式を求める。傾きは $-\frac{1}{r}$、切片は $1$ なので、

$$ z = -\frac{1}{r}u + 1 $$

同様に、直線 $SR$ の方程式を求める。点 $(0,-1)$ と $\left(\frac{1}{r}, 0\right)$ を通るので、傾きは $r$、切片は $-1$ となり、

$$ z = ru - 1 $$

交点 $P$ の $u, z$ 座標を求めるため、これらの方程式を連立する。

$$ -\frac{1}{r}u + 1 = ru - 1 $$

$$ \left(r + \frac{1}{r}\right)u = 2 $$

$$ u = \frac{2}{r + \frac{1}{r}} = \frac{2r}{r^2 + 1} $$

これを直線 $SR$ の式に代入して $z$ 座標を求める。

$$ z = r \cdot \frac{2r}{r^2 + 1} - 1 = \frac{2r^2}{r^2+1} - \frac{r^2+1}{r^2+1} = \frac{r^2 - 1}{r^2 + 1} $$

ここで、$u^2 + z^2$ を計算する。

$$ u^2 + z^2 = \left(\frac{2r}{r^2+1}\right)^2 + \left(\frac{r^2-1}{r^2+1}\right)^2 = \frac{4r^2 + r^4 - 2r^2 + 1}{(r^2+1)^2} = \frac{(r^2+1)^2}{(r^2+1)^2} = 1 $$

したがって、平面 $\alpha$ 上において、点 $P$ は原点を中心とする半径 $1$ の円周上にある。 $u$ は $\vec{OQ}$ 方向の符号付き距離であるが、$r>0$ であるため $u > 0$ となり、$z$ の値域は $-1 < z < 1$ となる。

次に固定していた $\theta$ を $0 \leqq \theta \leqq 2\pi$ の範囲で動かす。 平面 $\alpha$ は $z$ 軸を軸として空間内を $1$ 周回転する。 これにより、平面 $\alpha$ 上の円弧 $u^2+z^2=1 (-1<z<1, u>0)$ も $z$ 軸周りに回転し、半径 $1$ の球面となる。 回転によって $u=0$ に対応する $z=1$ および $z=-1$ の点は含まれないため、この2点が除外される。

解説

2つの直線の交点を地道にベクトルや座標で計算する方針(解法1)が最も素直な解法です。式の対称性が高いため、計算量はそれほど多くなりません。 一方、空間図形の問題において「特定の対称面や平面で切断して2次元の議論に帰着する」という発想(解法2)を持てると、見通しが非常に良くなります。本問では $z$ 軸を含む平面を考えることで、直線の交点計算を単純な1次関数の連立方程式に落とし込めます。

本問の背後には「立体射影(ステレオ投影)」や「反転」の幾何学的性質が隠れています。点 $Q$ と $R$ は原点からの距離が互いに逆数となる関係(円に関する反転)にあり、この条件から交点が球面上に乗るという美しい結論が導かれます。

軌跡の範囲について、$r>0$ の制約によって極である北極 $(0,0,1)$ と南極 $(0,0,-1)$ が除外される点に注意が必要です。

答え

中心が原点 $(0,0,0)$、半径が $1$ の球面 $x^2+y^2+z^2=1$。 ただし、2点 $(0,0,1)$ および $(0,0,-1)$ を除く。

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