北海道大学 1980年 理系 第2問 解説

方針・初手
関数を微分して導関数 $f'(x)$ を求め、$x > 0$ の範囲において $f'(x) = 0$ となる解の個数と、その前後での符号変化を調べます。$f'(x)$ の分子が $x^2$ をまとまりとする2次関数と見なせるため、変数を置き換えて2次方程式の解の配置問題に帰着させます。後半の極限計算では、求めた極大値の座標を用いて式を立て、ルート内の不定形を解消するために分子の有理化を行います。その際、文字式の符号に注意して式変形を行うことが重要です。
解法1
(1)
$x > 0$ において、関数 $f(x)$ を微分すると以下のようになる。
$$ f'(x) = 3x^2 + 2a - \frac{b}{x^2} = \frac{3x^4 + 2ax^2 - b}{x^2} $$
$x > 0$ において $f(x)$ が極大値と極小値を1つずつもつための条件は、$x > 0$ において $f'(x)$ の符号が「正から負」に変わる点と「負から正」に変わる点がそれぞれ1つずつ存在することである。$x > 0$ において分母 $x^2 > 0$ であるから、$f'(x)$ の符号は分子 $3x^4 + 2ax^2 - b$ の符号と一致する。
$X = x^2$ とおくと、$x > 0$ において $x$ と $X$ は1対1に対応し、$X > 0$ となる。 $X$ の2次関数 $h(X)$ を次のように定める。
$$ h(X) = 3X^2 + 2aX - b $$
$f'(x)$ の符号変化の条件を満たすためには、$X > 0$ において $h(X) = 0$ が異なる2つの実数解 $X_1, X_2$ ($0 < X_1 < X_2$)をもてばよい。なぜなら、放物線 $Y = h(X)$ は下に凸であり、$0 < X < X_1$ で正、$X_1 < X < X_2$ で負、$X > X_2$ で正となるため、$x = \sqrt{X_1}$ の前後で $f'(x)$ は正から負(極大)へ、$x = \sqrt{X_2}$ の前後で負から正(極小)へと符号を変えるからである。
2次方程式 $3X^2 + 2aX - b = 0$ が $X > 0$ の範囲に異なる2つの実数解をもつ条件は、判別式を $D$ とすると、以下の3つをすべて満たすことである。
(i) $D/4 = a^2 - 3(-b) = a^2 + 3b > 0$
(ii) 軸の位置 $X = -\frac{a}{3} > 0$ より、$a < 0$
(iii) $h(0) = -b > 0$ より、$b < 0$
以上より、求める $a, b$ の条件は、
$$ a < 0 \text{ かつ } b < 0 \text{ かつ } a^2 + 3b > 0 $$
(2)
(1) の条件のもとで、極大値を与える正の $x$ の値 $\alpha$ は、$h(X) = 0$ の小さい方の正の解 $X_1$ を用いて $\alpha = \sqrt{X_1}$ と表される。
$$ X_1 = \frac{-a - \sqrt{a^2 + 3b}}{3} $$
したがって、
$$ \alpha = \sqrt{\frac{-a - \sqrt{a^2 + 3b}}{3}} $$
ここで、根号の中の分子について、分子の有理化を行う。
$$ \begin{aligned} \frac{-a - \sqrt{a^2 + 3b}}{3} &= \frac{(-a)^2 - (a^2 + 3b)}{3(-a + \sqrt{a^2 + 3b})} \\ &= \frac{-3b}{3(-a + \sqrt{a^2 + 3b})} \\ &= \frac{-b}{-a + \sqrt{a^2 + 3b}} \end{aligned} $$
よって、
$$ \alpha = \sqrt{\frac{-b}{-a + \sqrt{a^2 + 3b}}} $$
次に求める極限の式を計算する。(1) より $a < 0, b < 0$ であるため、$\frac{a}{b} > 0$ であり、$\left| \frac{a}{b} \right| = \frac{a}{b}$ となる。
$$ \begin{aligned} \alpha \sqrt{\left| \frac{a}{b} \right|} &= \sqrt{\frac{-b}{-a + \sqrt{a^2 + 3b}}} \sqrt{\frac{a}{b}} \\ &= \sqrt{\frac{-b}{-a + \sqrt{a^2 + 3b}} \cdot \frac{a}{b}} \\ &= \sqrt{\frac{-a}{-a + \sqrt{a^2 + 3b}}} \end{aligned} $$
根号内の分母分子を正の数である $-a$ で割る。
$$ \alpha \sqrt{\left| \frac{a}{b} \right|} = \sqrt{\frac{1}{1 + \frac{1}{-a}\sqrt{a^2 + 3b}}} $$
ここで、$a < 0$ であるから、$-a = \sqrt{(-a)^2} = \sqrt{a^2}$ となることに注意して、根号の中に $a^2$ を入れる。
$$ \begin{aligned} \frac{1}{-a}\sqrt{a^2 + 3b} &= \frac{1}{\sqrt{a^2}}\sqrt{a^2 + 3b} \\ &= \sqrt{\frac{a^2 + 3b}{a^2}} \\ &= \sqrt{1 + 3\frac{b}{a^2}} \end{aligned} $$
これを代入すると、以下の式が得られる。
$$ \alpha \sqrt{\left| \frac{a}{b} \right|} = \sqrt{\frac{1}{1 + \sqrt{1 + 3\frac{b}{a^2}}}} $$
$\frac{b}{a^2}$ が $0$ に近づくとき、この値は次のように近づく。
$$ \sqrt{\frac{1}{1 + \sqrt{1 + 0}}} = \sqrt{\frac{1}{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} $$
解説
(1) は、4次関数の極値に関する条件を、偶数次のみで構成されていることに着目して $x^2 = X$ と置き換え、2次方程式の解の配置問題(正の2実数解条件)に帰着させる典型的な問題です。
(2) は、無理式の極限計算において、そのまま代入すると生じる $0/0$ の不定形を避けるため、「分子の有理化」を行うのがポイントです。また、式変形の過程で $a < 0$ という条件から $\frac{1}{-a} = \frac{1}{\sqrt{a^2}}$ と変換して根号の中に入れ込む処理は、符号のミスを誘発しやすいため慎重な計算が求められます。
答え
(1) $a < 0$ かつ $b < 0$ かつ $a^2 + 3b > 0$
(2) $\frac{\sqrt{2}}{2}$
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