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北海道大学 1983年 理系 第5問 解説

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北海道大学 1983年 理系 第5問 解説

方針・初手

まずは1回の試行において事象 $A$ が起こる確率を求める。

(1) は反復試行の確率から不等式を立て、常用対数を用いて解く典型的な問題である。

(2) は確率変数の和の期待値である。期待値の線形性を利用するか、確率変数 $S$ の従う確率分布を考えて期待値を計算する。

解法1

1回の試行 $T$ で、大小2個のさいころの目がどちらも偶数となる事象 $A$ の起こる確率を $P(A)$ とおく。

$$ P(A) = \frac{3}{6} \times \frac{3}{6} = \frac{1}{4} $$

事象 $A$ が起こらない確率は、余事象の確率より $1 - \frac{1}{4} = \frac{3}{4}$ である。

(1)

$n$ 回目にはじめて事象 $A$ が起こるのは、$1$ 回目から $n-1$ 回目まで事象 $A$ が起こらず、$n$ 回目に事象 $A$ が起こる場合である。この確率を $P_n$ とすると、

$$ P_n = \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \times \frac{1}{4} $$

$P_n \leqq 0.01$ となる条件は

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \times \frac{1}{4} \leqq \frac{1}{100} $$

両辺に $4$ を掛けて整理すると

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \leqq \frac{1}{25} $$

両辺の常用対数をとると、底の $10$ は $1$ より大きいため不等号の向きは変わらず、

$$ \log_{10} \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} \leqq \log_{10} \frac{1}{25} $$

$$ (n-1) (\log_{10} 3 - \log_{10} 4) \leqq \log_{10} 1 - \log_{10} 25 $$

ここで、

$$ \begin{aligned} \log_{10} 4 &= 2 \log_{10} 2 \\ \log_{10} 25 &= \log_{10} \frac{100}{4} = 2 - 2 \log_{10} 2 \end{aligned} $$

であるから、与えられた $\log_{10} 2 = 0.301$, $\log_{10} 3 = 0.477$ を代入して各値を計算すると、

$$ \begin{aligned} \log_{10} 3 - \log_{10} 4 &= 0.477 - 2 \times 0.301 \\ &= 0.477 - 0.602 \\ &= -0.125 \end{aligned} $$

$$ \begin{aligned} \log_{10} 1 - \log_{10} 25 &= 0 - (2 - 2 \times 0.301) \\ &= -2 + 0.602 \\ &= -1.398 \end{aligned} $$

これらを不等式に代入すると

$$ -0.125 (n-1) \leqq -1.398 $$

両辺を $-0.125$ で割ると、負の数で割るため不等号の向きが変わり、

$$ n-1 \geqq \frac{1.398}{0.125} = 11.184 $$

$$ n \geqq 12.184 $$

$n$ は自然数であるから、これを満たす最小の $n$ は $13$ である。

(2)

確率変数 $X_k \ (k=1, 2, 3, 4)$ は、事象 $A$ が起これば $1$、起こらなければ $0$ をとる。したがって、$X_k$ の期待値 $E(X_k)$ は次のように計算できる。

$$ E(X_k) = 1 \times P(A) + 0 \times (1 - P(A)) = 1 \times \frac{1}{4} + 0 \times \frac{3}{4} = \frac{1}{4} $$

求める期待値 $E(S)$ は、期待値の線形性(加法性)を用いると、

$$ \begin{aligned} E(S) &= E(X_1 + X_2 + X_3 + X_4) \\ &= E(X_1) + E(X_2) + E(X_3) + E(X_4) \\ &= \frac{1}{4} + \frac{1}{4} + \frac{1}{4} + \frac{1}{4} \\ &= 1 \end{aligned} $$

解法2

(2)の別解

確率変数 $S = X_1 + X_2 + X_3 + X_4$ は、$4$ 回の試行において事象 $A$ が起こる回数を表している。

1回の試行で事象 $A$ が起こる確率は $\frac{1}{4}$ であるから、$S$ は二項分布 $B\left(4, \frac{1}{4}\right)$ に従う。

二項分布 $B(n, p)$ に従う確率変数の期待値は $np$ であるから、求める期待値 $E(S)$ は

$$ E(S) = 4 \times \frac{1}{4} = 1 $$

解説

(1) は「$n$ 回目に初めて起こる」確率の立式と、対数不等式の計算を問う標準的な問題である。対数をとった後に負の数で割る際の不等号の向きの反転や、$\log_{10} 25$ を $2 - 2\log_{10} 2$ と変形する典型的な処理を正確に行えるかが鍵となる。

(2) は期待値の性質を問う問題である。確率変数 $X_k$ のように、事象が起これば $1$、起こらなければ $0$ をとる変数を指示変数と呼ぶ。指示変数の期待値は、その事象が起こる確率そのものに等しい。解法1のように期待値の線形性 $E(X+Y)=E(X)+E(Y)$ を用いると各試行の独立性に依存せず計算量が少なく済む。また、解法2のように $S$ の意味を「事象 $A$ の起こる回数」と捉え直し、二項分布の期待値の公式を用いるのも非常に有効な視点である。

答え

(1) $n = 13$

(2) $E(S) = 1$

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