北海道大学 1986年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は与えられた関数 $f(x)$ に $g(t)$ を代入し、地道に計算して $g(t+a)$ の形になることを確認します。計算を簡単にするため、分母・分子をそれぞれ整理するとよいでしょう。
(2) は (1) の結果を利用します。漸化式 $x_{n+1} = f(x_n)$ に $x_1 = g(a)$ を代入して $x_2, x_3, \dots$ を求めていくと、$x_n = g(na)$ と表せる規則性が見えてきます。これを数学的帰納法で証明し、その後に極限を計算します。
解法1
(1)
$f(x) = \frac{g(a)+x}{1+g(a)x}$ に $x = g(t)$ を代入すると、
$$ f(g(t)) = \frac{g(a)+g(t)}{1+g(a)g(t)} $$
ここで、$g(x) = \frac{e^{2x}-1}{e^{2x}+1}$ であるから、分子と分母をそれぞれ計算する。
分子は、
$$ \begin{aligned} g(a)+g(t) &= \frac{e^{2a}-1}{e^{2a}+1} + \frac{e^{2t}-1}{e^{2t}+1} \\ &= \frac{(e^{2a}-1)(e^{2t}+1) + (e^{2t}-1)(e^{2a}+1)}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \\ &= \frac{(e^{2a+2t} + e^{2a} - e^{2t} - 1) + (e^{2a+2t} + e^{2t} - e^{2a} - 1)}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \\ &= \frac{2e^{2(a+t)} - 2}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \end{aligned} $$
分母は、
$$ \begin{aligned} 1+g(a)g(t) &= 1 + \frac{e^{2a}-1}{e^{2a}+1} \cdot \frac{e^{2t}-1}{e^{2t}+1} \\ &= \frac{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1) + (e^{2a}-1)(e^{2t}-1)}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \\ &= \frac{(e^{2a+2t} + e^{2a} + e^{2t} + 1) + (e^{2a+2t} - e^{2a} - e^{2t} + 1)}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \\ &= \frac{2e^{2(a+t)} + 2}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} \end{aligned} $$
よって、
$$ \begin{aligned} f(g(t)) &= \frac{ \frac{2e^{2(a+t)} - 2}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} }{ \frac{2e^{2(a+t)} + 2}{(e^{2a}+1)(e^{2t}+1)} } \\ &= \frac{2e^{2(a+t)} - 2}{2e^{2(a+t)} + 2} \\ &= \frac{e^{2(t+a)} - 1}{e^{2(t+a)} + 1} \end{aligned} $$
これは $g(t+a)$ の定義そのものである。したがって、すべての実数 $t$ に対して、
$$ f(g(t)) = g(t+a) $$
が成り立つ。
(2)
数列 $\{x_n\}$ の一般項が $x_n = g(na)$ であることを、数学的帰納法を用いて証明する。
(i) $n=1$ のとき 与えられた条件より $x_1 = g(a)$ であり、これは $n=1$ のときの $x_n = g(na)$ と一致する。よって成り立つ。
(ii) $n=k$ のとき $x_k = g(ka)$ が成り立つと仮定する。 漸化式 $x_{k+1} = f(x_k)$ に仮定を代入すると、
$$ x_{k+1} = f(g(ka)) $$
(1) で示した等式 $f(g(t)) = g(t+a)$ において、$t = ka$ とすると、
$$ \begin{aligned} x_{k+1} &= g(ka+a) \\ &= g((k+1)a) \end{aligned} $$
よって、$n=k+1$ のときも成り立つ。
(i)、(ii) より、すべての自然数 $n$ について $x_n = g(na)$ である。 すなわち、
$$ x_n = \frac{e^{2na}-1}{e^{2na}+1} $$
ここで、$a > 0$ であるから、$\lim_{n \to \infty} 2na = \infty$ となり、$\lim_{n \to \infty} e^{2na} = \infty$ である。 極限を求めるために、分母と分子を $e^{2na}$ で割ると、
$$ x_n = \frac{1 - \frac{1}{e^{2na}}}{1 + \frac{1}{e^{2na}}} $$
$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{e^{2na}} \to 0$ となるため、
$$ \lim_{n \to \infty} x_n = \frac{1 - 0}{1 + 0} = 1 $$
解説
本問は双曲線関数 $\tanh x = \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}} = \frac{e^{2x}-1}{e^{2x}+1}$ を題材にした問題です。
(1) は関数の合成の計算問題です。式が煩雑になりやすいため、解答のように分子と分母を別々に計算して整理すると、計算ミスを防ぐことができます。本質的には $\tanh(a+t) = \frac{\tanh a + \tanh t}{1 + \tanh a \tanh t}$ という加法定理を示しています。
(2) は (1) の結果が誘導になっています。$x_{n+1} = f(x_n)$ という漸化式において、$x_n$ が $g(t)$ の形で表されていれば、(1) を適用して添え字を進めることができます。数項書き出して一般項を推測し、数学的帰納法で証明するという数列の極限における王道のアプローチをとります。最後の極限計算では、$\frac{\infty}{\infty}$ の不定形となるため、分母の最高位の項である $e^{2na}$ で分母分子を割る定石処理を忘れずに行いましょう。
答え
(1) 略(解答内の証明を参照)
(2) $\lim_{n \to \infty} x_n = 1$
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