北海道大学 1986年 理系 第4問 解説

方針・初手
微分法を用いて曲線の接線の方程式を立て、それが原点を通る条件から接点の座標を求める。接点が求まれば、それがどのような直線上にあるか、間隔はどうなるかが自然と定まる。面積計算においては、グラフの概形を描き、積分する方向($x$ 軸方向か $y$ 軸方向か)を適切に選ぶと計算の見通しが良くなる。
解法1
(1)
曲線 $C_n$ の方程式は $y = \log \frac{x}{n}$ であり、真数条件より $x > 0$ である。これを微分すると、
$$ y' = \frac{1}{\frac{x}{n}} \cdot \frac{1}{n} = \frac{1}{x} $$
接点 $A_n$ の $x$ 座標を $t$ ($t > 0$)とおくと、$A_n \left( t, \log \frac{t}{n} \right)$ における接線の方程式は、
$$ y - \log \frac{t}{n} = \frac{1}{t}(x - t) $$
この接線が原点 $O(0, 0)$ を通るので、
$$ 0 - \log \frac{t}{n} = \frac{1}{t}(0 - t) $$
$$ -\log \frac{t}{n} = -1 $$
$$ \log \frac{t}{n} = 1 $$
$$ \frac{t}{n} = e $$
$$ t = ne $$
したがって、接点 $A_n$ の座標は $(ne, 1)$ となる。
このとき、$A_n$ の $y$ 座標は $n$ の値によらず常に $1$ である。よって、点 $A_n$ は $n$ に関係のない定直線 $y = 1$ 上にある。
また、隣り合う2点 $A_n(ne, 1)$ と $A_{n+1}((n+1)e, 1)$ の距離は、
$$ \sqrt{\{ (n+1)e - ne \}^2 + (1 - 1)^2} = \sqrt{e^2} = e $$
よって、$A_n$ は定直線 $y = 1$ 上において等間隔 $e$ で並んでいることが示された。
(2)
曲線 $C_n: y = \log \frac{x}{n}$ を $x$ について解くと、
$$ \frac{x}{n} = e^y $$
$$ x = ne^y $$
原点 $O(0,0)$ と $A_n(ne, 1)$ を結ぶ線分の方程式は $y = \frac{1}{ne}x$ より、
$$ x = ney $$
図形的な位置関係を考えると、求める面積は、$y$ 軸方向に積分することで、曲線 $x = ne^y$ と線分 $x = ney$ の間で $0 \leqq y \leqq 1$ となる領域の面積として計算できる。
求める面積を $S$ とすると、
$$ \begin{aligned} S &= \int_0^1 (ne^y - ney) \, dy \\ &= \left[ ne^y - \frac{ne}{2}y^2 \right]_0^1 \\ &= \left( ne^1 - \frac{ne}{2} \cdot 1^2 \right) - (ne^0 - 0) \\ &= ne - \frac{ne}{2} - n \\ &= \frac{ne}{2} - n \end{aligned} $$
解法2
(2) の別解 ($x$ 軸方向の積分)
曲線 $C_n: y = \log \frac{x}{n}$ と $x$ 軸の交点は、$y = 0$ とすると $\log \frac{x}{n} = 0$ より $x = n$ である。
求める領域は、線分 $OA_n$ ($0 \leqq x \leqq ne$)と $x$ 軸および直線 $x = ne$ で囲まれる直角三角形から、曲線 $C_n$ ($n \leqq x \leqq ne$)と $x$ 軸および直線 $x = ne$ で囲まれる部分を除いたものに等しい。
したがって、求める面積 $S$ は、
$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \cdot ne \cdot 1 - \int_n^{ne} \log \frac{x}{n} \, dx \\ &= \frac{ne}{2} - \int_n^{ne} (\log x - \log n) \, dx \\ &= \frac{ne}{2} - \left[ x \log x - x - x \log n \right]_n^{ne} \\ &= \frac{ne}{2} - \left[ x \left( \log \frac{x}{n} - 1 \right) \right]_n^{ne} \\ &= \frac{ne}{2} - \left\{ ne(\log e - 1) - n(\log 1 - 1) \right\} \\ &= \frac{ne}{2} - \{ ne(1 - 1) - n(0 - 1) \} \\ &= \frac{ne}{2} - n \end{aligned} $$
解説
接線の方程式を文字で置いて条件から決定する、典型的な微分の問題である。(2) の面積計算では、境界となる曲線を $y$ の関数 $x = g(y)$ と見て $y$ 軸方向に積分すると、対数関数の積分を避けられるため計算の手間を減らすことができる。対数関数の積分に慣れていれば $x$ 軸方向の積分でも問題なく答えに辿り着けるため、自身の計算しやすい方針を選ぶとよい。
答え
(1) 示した(定直線は $y = 1$、間隔は $e$) (2) $\frac{ne}{2} - n$
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