北海道大学 2012年 理系 第5問 解説

方針・初手
$A$ が先に $k$ 勝して優勝する事象は、「ちょうど $n$ 試合目に $A$ が $k$ 勝目を挙げて優勝する」という互いに排反な事象の和事象として考えられる。 ちょうど $n$ 試合目に $A$ が $k$ 勝目を挙げる条件は、以下の2つを同時に満たすことである。 ・第 $(n-1)$ 試合までに、$A$ が $(k-1)$ 勝、$B$ が $(n-k)$ 勝する。 ・第 $n$ 試合目に $A$ が勝つ。
各試合で $A$ が勝つ確率は $p$、$B$ が勝つ確率は $q$ であるため、反復試行の確率を用いて立式し、それぞれの試合数 $n$ について足し合わせる。
解法1
(1)
$A$ が先に $2$ 勝して優勝するのは、試合が $2$ 試合目、または $3$ 試合目で終了する場合である。
・$2$ 試合目で終了する場合 $A$ が $2$ 連勝する確率なので、 $$ p^2 $$
・$3$ 試合目で終了する場合 $2$ 試合目までに $A$ が $1$ 勝、$B$ が $1$ 勝し、$3$ 試合目に $A$ が勝つ確率なので、 $$ {}_2\text{C}_1 p q \times p = 2p^2q $$
これらは互いに排反であるから、 $$ P_2 = p^2 + 2p^2q $$
(2)
$A$ が先に $3$ 勝して優勝するのは、試合が $3$ 試合目、$4$ 試合目、$5$ 試合目で終了する場合である。
・$3$ 試合目で終了する場合 確率:$p^3$
・$4$ 試合目で終了する場合 $3$ 試合目までに $A$ が $2$ 勝、$B$ が $1$ 勝し、$4$ 試合目に $A$ が勝つ確率: $$ {}_3\text{C}_2 p^2 q \times p = 3p^3q $$
・$5$ 試合目で終了する場合 $4$ 試合目までに $A$ が $2$ 勝、$B$ が $2$ 勝し、$5$ 試合目に $A$ が勝つ確率: $$ {}_4\text{C}_2 p^2 q^2 \times p = 6p^3q^2 $$
これらは互いに排反であるから、 $$ P_3 = p^3 + 3p^3q + 6p^3q^2 $$
(3)
$A$ が先に $4$ 勝して優勝するのは、試合が $4$ 試合目、$5$ 試合目、$6$ 試合目、$7$ 試合目で終了する場合である。
・$4$ 試合目で終了する場合 確率:$p^4$
・$5$ 試合目で終了する場合 $4$ 試合目までに $A$ が $3$ 勝、$B$ が $1$ 勝し、$5$ 試合目に $A$ が勝つ確率: $$ {}_4\text{C}_3 p^3 q \times p = 4p^4q $$
・$6$ 試合目で終了する場合 $5$ 試合目までに $A$ が $3$ 勝、$B$ が $2$ 勝し、$6$ 試合目に $A$ が勝つ確率: $$ {}_5\text{C}_3 p^3 q^2 \times p = 10p^4q^2 $$
・$7$ 試合目で終了する場合 $6$ 試合目までに $A$ が $3$ 勝、$B$ が $3$ 勝し、$7$ 試合目に $A$ が勝つ確率: $$ {}_6\text{C}_3 p^3 q^3 \times p = 20p^4q^3 $$
これらは互いに排反であるから、 $$ P_4 = p^4 + 4p^4q + 10p^4q^2 + 20p^4q^3 $$
(4)
(2), (3) より $P_3 - P_4$ を計算する。
$$ \begin{aligned} P_3 - P_4 &= \left( p^3 + 3p^3q + 6p^3q^2 \right) - \left( p^4 + 4p^4q + 10p^4q^2 + 20p^4q^3 \right) \\ &= p^3(1 + 3q + 6q^2) - p^4(1 + 4q + 10q^2 + 20q^3) \\ &= p^3 \left\{ (1 + 3q + 6q^2) - p(1 + 4q + 10q^2 + 20q^3) \right\} \end{aligned} $$
ここで $p+q=1$ より $p=1-q$ であるから、波括弧の中身は次のように変形できる。
$$ \begin{aligned} &(1 + 3q + 6q^2) - (1-q)(1 + 4q + 10q^2 + 20q^3) \\ &= (1 + 3q + 6q^2) - (1 + 4q + 10q^2 + 20q^3 - q - 4q^2 - 10q^3 - 20q^4) \\ &= (1 + 3q + 6q^2) - (1 + 3q + 6q^2 + 10q^3 - 20q^4) \\ &= -10q^3 + 20q^4 \\ &= 10q^3(-1 + 2q) \end{aligned} $$
したがって、差は以下のように表される。
$$ P_3 - P_4 = 10p^3q^3(2q - 1) $$
$\frac{1}{2} < q < 1$ のとき、各因数の符号を調べる。 ・$p = 1 - q > 0$ であるから、$p^3 > 0$ ・$q > \frac{1}{2} > 0$ であるから、$q^3 > 0$ ・$2q - 1 > 2 \cdot \frac{1}{2} - 1 = 0$ であるから、$2q - 1 > 0$
以上より、$10p^3q^3(2q - 1) > 0$ となるため、$P_3 - P_4 > 0$ が成り立つ。 よって、$P_4 < P_3$ であることが示された。
解説
シリーズ戦における優勝確率を求める典型問題である。「優勝が決まる試合数」で場合分けをして足し合わせる解法が基本となる。(4) では大小関係を比較するため、差 $P_3 - P_4$ を計算して因数分解を行い、各因数の符号を判定する方針をとればよい。計算の際は、すべてを $p$ または $q$ のみで表して展開するよりも、$p$ と $q$ を残したまま括り出しを行うと計算ミスを防ぎやすい。
なお、別解として「$A$ が先に $k$ 勝する事象は、$2k-1$ 回の独立試行で $A$ が $k$ 回以上勝つ事象と同値である」という有名事実を用いて計算することも可能である。(例:$P_2 = {}_3\text{C}_2 p^2 q + {}_3\text{C}_3 p^3 = 3p^2q + p^3$) しかし、本問においては (4) で $P_k = p^k ( \cdots )$ という形でくくられている方が差の計算の見通しが良いため、上記のように場合分けで足し上げる自然な解法が最適である。
答え
(1) $P_2 = p^2 + 2p^2q$ (2) $P_3 = p^3 + 3p^3q + 6p^3q^2$ (3) $P_4 = p^4 + 4p^4q + 10p^4q^2 + 20p^4q^3$ (4) $\frac{1}{2} < q < 1$ のとき、$P_3 - P_4 = 10p^3q^3(2q-1) > 0$ となることから示された。
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