北海道大学 2022年 理系 第5問 解説

方針・初手
複素数平面における図形の方程式の基本定理を用いる。 (1) では、方程式 $z\bar{z}=r^2$ が原点を中心とする半径 $r$ の円を表すこと、方程式 $|z-\alpha|=|z-\beta|$ が $2$ 点 $\alpha, \beta$ を結ぶ線分の垂直二等分線を表すことを利用する。または、実数 $x, y$ を用いて $z = x+yi$ と置き換え、座標平面上の図形として方程式を導出する方法も有効である。 (2) では、(1) で求めた $2$ つの図形の交点に対応する複素数を求める。 (3) では、複素数の積の累乗を扱うため、(2) で求めた $w$ を極形式で表し、ド・モアブルの定理を利用する。
解法1
(1)
$z = x+yi$ ($x, y$ は実数)とおき、複素数平面上の点 $(x, y)$ の軌跡として考える。
①の方程式について $z\bar{z}=4$ より、$|z|^2 = 4$ であるから、 $$ x^2 + y^2 = 4 $$ が成り立つ。 これは、原点を中心とする半径 $2$ の円を表す。
②の方程式について $|z| = |z - (\sqrt{3} - i)|$ より、 $$ \sqrt{x^2 + y^2} = \sqrt{(x-\sqrt{3})^2 + (y+1)^2} $$ 両辺を $2$ 乗して展開する。 $$ x^2 + y^2 = (x-\sqrt{3})^2 + (y+1)^2 $$ $$ x^2 + y^2 = x^2 - 2\sqrt{3}x + 3 + y^2 + 2y + 1 $$ 整理すると、 $$ 0 = -2\sqrt{3}x + 2y + 4 $$ $$ 2y = 2\sqrt{3}x - 4 $$ $$ y = \sqrt{3}x - 2 $$ となる。 これは、実軸との交点が $\left(\frac{2}{\sqrt{3}}, 0\right)$、虚軸との交点が $(0, -2)$ の直線を意味する。幾何学的には、原点 $\text{O}(0)$ と点 $\text{A}(\sqrt{3} - i)$ を結ぶ線分の垂直二等分線である。
以上より、①の解全体が表す図形は原点を中心とする半径 $2$ の円であり、②の解全体が表す図形は直線 $y = \sqrt{3}x - 2$ である。これらを複素数平面上に図示したものが求める図形となる。
(2)
①、②の共通解は、(1) で求めた円と直線の交点に対応する。 $$ x^2 + y^2 = 4 $$ $$ y = \sqrt{3}x - 2 $$ を連立して解く。
第 $2$ 式を第 $1$ 式に代入して $y$ を消去する。 $$ x^2 + (\sqrt{3}x - 2)^2 = 4 $$ $$ x^2 + 3x^2 - 4\sqrt{3}x + 4 = 4 $$ $$ 4x^2 - 4\sqrt{3}x = 0 $$ $$ 4x(x - \sqrt{3}) = 0 $$
これを解くと、$x = 0, \sqrt{3}$ を得る。
(i) $x = 0$ のとき $y = -2$ となる。 対応する複素数は $z = -2i$ である。
(ii) $x = \sqrt{3}$ のとき $y = \sqrt{3} \cdot \sqrt{3} - 2 = 1$ となる。 対応する複素数は $z = \sqrt{3} + i$ である。
したがって、共通解は $z = -2i, \sqrt{3} + i$ である。
(3)
(2) より、$w$ は以下のように計算できる。 $$ w = (\sqrt{3} + i)(-2i) $$ $$ w = -2\sqrt{3}i - 2i^2 = 2 - 2\sqrt{3}i $$
これを極形式で表す。 $$ w = 4 \left( \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) $$ $$ w = 4 \left\{ \cos\left(-\frac{\pi}{3}\right) + i\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right) \right\} $$
ド・モアブルの定理より、$w^n$ は次のように表される。 $$ w^n = 4^n \left\{ \cos\left(-\frac{n\pi}{3}\right) + i\sin\left(-\frac{n\pi}{3}\right) \right\} $$
$w^n$ が負の実数となるための必要十分条件は、虚部が $0$ かつ実部が負となることである。 すなわち、 $$ \sin\left(-\frac{n\pi}{3}\right) = 0 \quad \text{かつ} \quad \cos\left(-\frac{n\pi}{3}\right) < 0 $$ が成り立つことである。
これを満たす偏角は $\pi + 2k\pi$ ($k$ は整数)と表せるため、以下の等式が成り立つ。 $$ -\frac{n\pi}{3} = \pi + 2k\pi $$
両辺を $\pi$ で割り、式を整理する。 $$ -\frac{n}{3} = 2k + 1 $$ $$ n = -6k - 3 $$ $$ n = 6(-k-1) + 3 $$
$k$ は任意の整数であるから、$-k-1$ もまた任意の整数である。 これを新たに整数 $m$ とおくことで、$n$ の条件が定まる。
解説
複素数平面における図形の方程式の基本と、極形式を用いた累乗の計算(ド・モアブルの定理)を問う標準的な問題である。 (1) では図形的な意味を直接読み取ることも可能だが、$z = x+yi$ とおいて実数 $x, y$ の関係式(座標平面上の軌跡)に帰着させることで、(2) の連立方程式の処理へスムーズに接続できる。 (3) で「負の実数」となる条件を考える際、「偏角が $\pi + 2k\pi$」となることを正確に立式することが重要である。「実数となる」条件(偏角が $k\pi$)と混同して条件を緩めないように注意したい。
答え
(1) ①の解全体が表す図形は、原点を中心とする半径 $2$ の円である。②の解全体が表す図形は、直線 $y = \sqrt{3}x - 2$ である。(図は省略) (2) $z = -2i, \sqrt{3} + i$ (3) $n = 6m + 3$ ($m$ は整数)
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