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北海道大学 2018年 理系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/存在証明
北海道大学 2018年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) 複素数 $w$ が実数となる条件は $w = \bar{w}$ が成り立つことです。これを用いて $z$ に関する方程式を整理し、条件を求めます。あるいは、極形式を用いて虚部が $0$ になる条件を考えることも有効です。

(2) (1) で求めた $D$ の条件で場合分けして方程式を処理します。特に $|z|=2$ の場合は、極形式で表すことで三角関数の式に帰着でき、$k$ の値の範囲は関数の値域や図形的な傾きとして捉えることができます。

解法1

(1) $w = z + \frac{4}{z}$ とおく。 $w$ が実数であるための条件は、$w = \bar{w}$ である。

$$ z + \frac{4}{z} = \bar{z} + \frac{4}{\bar{z}} $$

両辺に $z\bar{z}$ ($z \neq 0$ より $z\bar{z} = |z|^2 > 0$)を掛けて整理する。

$$ z^2\bar{z} + 4\bar{z} = z\bar{z}^2 + 4z $$

$$ z\bar{z}(z - \bar{z}) - 4(z - \bar{z}) = 0 $$

$$ (z - \bar{z})(|z|^2 - 4) = 0 $$

これより、$z = \bar{z}$ または $|z|^2 = 4$ が成り立つ。

$z = \bar{z}$ は $z$ が実数であることを表し、$|z|^2 = 4$ は $|z| = 2$ ($|z| > 0$ より)であることを表す。 条件より $z \neq 0$ であるから、$D$ の表す図形は「原点を除く実軸全体」および「原点を中心とする半径 $2$ の円」からなる。 これを複素数平面上に図示すると、実軸(ただし原点を除く)と、原点を中心とする半径 $2$ の円となる。

(2) $z \in D$ であるから、(1) より $z$ は $0$ でない実数、または $|z|=2$ である。 与えられた方程式を次のように考える。

$$ k \left( z + \frac{4}{z} + 8 \right) = i \left( z - \frac{4}{z} \right) $$

(i) $z$ が $0$ でない実数の場合 $\bar{z} = z$ であるから、$z - \frac{4}{z}$ も実数となる。 したがって、与式の右辺は純虚数または $0$ である。 一方、$k$ と $z + \frac{4}{z} + 8$ は実数であるから、左辺は実数となる。 実数と純虚数が等しくなるのは、両辺がともに $0$ のときに限られる。 右辺が $0$ となる条件は、

$$ z - \frac{4}{z} = 0 $$

$$ z^2 = 4 $$

$z$ は実数であるから $z = \pm 2$ である。 $z = 2$ のとき、左辺は $k(2 + 2 + 8) = 12k$ となり、これが $0$ となるから $k = 0$ である。 $z = -2$ のとき、左辺は $k(-2 - 2 + 8) = 4k$ となり、これが $0$ となるから $k = 0$ である。 よって、この場合に条件を満たす $k$ は $k = 0$ である。

(ii) $|z| = 2$ の場合 $z = 2(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($0 \le \theta < 2\pi$)とおくことができる。 ド・モアブルの定理より、

$$ \frac{4}{z} = \frac{4}{2(\cos\theta + i\sin\theta)} = 2(\cos\theta - i\sin\theta) $$

これらを与式に代入する。

$$ z + \frac{4}{z} = 4\cos\theta $$

$$ z - \frac{4}{z} = 4i\sin\theta $$

これより与式は、

$$ k(4\cos\theta + 8) = i(4i\sin\theta) $$

$$ 4k(\cos\theta + 2) = -4\sin\theta $$

$$ k(\cos\theta + 2) = -\sin\theta $$

$-1 \le \cos\theta \le 1$ より $\cos\theta + 2 \ge 1 > 0$ であるから、両辺を $\cos\theta + 2$ で割ることができる。

$$ k = -\frac{\sin\theta}{\cos\theta + 2} $$

右辺を $f(\theta)$ とおき、$0 \le \theta < 2\pi$ における値域を調べる。

$$ f'(\theta) = -\frac{\cos\theta(\cos\theta + 2) - \sin\theta(-\sin\theta)}{(\cos\theta + 2)^2} $$

$$ f'(\theta) = -\frac{\cos^2\theta + 2\cos\theta + \sin^2\theta}{(\cos\theta + 2)^2} $$

$$ f'(\theta) = -\frac{2\cos\theta + 1}{(\cos\theta + 2)^2} $$

$f'(\theta) = 0$ となるのは $\cos\theta = -\frac{1}{2}$ のときであり、$0 \le \theta < 2\pi$ の範囲では $\theta = \frac{2}{3}\pi, \frac{4}{3}\pi$ である。 増減を調べると、

$\theta = \frac{2}{3}\pi$ のとき、$\sin\theta = \frac{\sqrt{3}}{2}$ であり、$f\left(\frac{2}{3}\pi\right) = -\frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{1}{2} + 2} = -\frac{\sqrt{3}}{3}$

$\theta = \frac{4}{3}\pi$ のとき、$\sin\theta = -\frac{\sqrt{3}}{2}$ であり、$f\left(\frac{4}{3}\pi\right) = -\frac{-\frac{\sqrt{3}}{2}}{-\frac{1}{2} + 2} = \frac{\sqrt{3}}{3}$

となり、$f(\theta)$ は $-\frac{\sqrt{3}}{3} \le f(\theta) \le \frac{\sqrt{3}}{3}$ の範囲のすべての実数値をとる。 したがって、$k$ のとりうる値の範囲は $-\frac{\sqrt{3}}{3} \le k \le \frac{\sqrt{3}}{3}$ である。

(i), (ii) より、$k=0$ は (ii) の範囲に含まれるため、求める $k$ の範囲は $-\frac{\sqrt{3}}{3} \le k \le \frac{\sqrt{3}}{3}$ となる。

解法2

極形式を用いて $D$ を求め、(2) では図形的な解釈を利用する解法です。

(1) $z \neq 0$ より、$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($r > 0, 0 \le \theta < 2\pi$)とおく。

$$ z + \frac{4}{z} = r(\cos\theta + i\sin\theta) + \frac{4}{r}(\cos\theta - i\sin\theta) $$

$$ z + \frac{4}{z} = \left( r + \frac{4}{r} \right)\cos\theta + i\left( r - \frac{4}{r} \right)\sin\theta $$

これが実数となる条件は、虚部が $0$ になることであるから、

$$ \left( r - \frac{4}{r} \right)\sin\theta = 0 $$

よって、$r - \frac{4}{r} = 0$ または $\sin\theta = 0$ である。 $r > 0$ であるから、$r - \frac{4}{r} = 0 \iff r^2 = 4 \iff r = 2$ となる。 また、$\sin\theta = 0$ のときは、虚部が $0$ の複素数、すなわち $z$ は実数となる。 ゆえに、$D$ に属する $z$ は「$0$ を除く実数」または「$|z|=2$ を満たす複素数」である。 これを図示すると、実軸(原点を除く)と、原点を中心とする半径 $2$ の円となる。

(2) 解法1と同様にして $z$ が $0$ でない実数の場合、$k=0$ を得る。 $|z|=2$ のとき、$z = 2(\cos\theta + i\sin\theta)$ とおいて方程式に代入すると、次式を得る。

$$ k = -\frac{\sin\theta}{\cos\theta + 2} $$

この式を満たす $\theta$ ($0 \le \theta < 2\pi$)が存在するような $k$ の範囲を求める。 $xy$ 平面上において、点 $P(\cos\theta, \sin\theta)$ は単位円 $x^2 + y^2 = 1$ 上の点である。 また、$k$ は、定点 $A(-2, 0)$ と点 $P(\cos\theta, \sin\theta)$ を結ぶ直線 $AP$ の傾きの $-1$ 倍を表している。

$$ -k = \frac{\sin\theta - 0}{\cos\theta - (-2)} $$

直線 $AP$ の方程式は $y = -k(x + 2)$、すなわち $kx + y + 2k = 0$ と表せる。 この直線が単位円 $x^2 + y^2 = 1$ と共有点をもつための条件は、円の中心 $(0, 0)$ と直線の距離が半径 $1$ 以下になることであるから、点と直線の距離の公式より、

$$ \frac{|2k|}{\sqrt{k^2 + 1^2}} \le 1 $$

両辺は正であるから、2乗して整理する。

$$ \frac{4k^2}{k^2 + 1} \le 1 $$

$$ 4k^2 \le k^2 + 1 $$

$$ 3k^2 \le 1 $$

$$ k^2 \le \frac{1}{3} $$

これを解いて、

$$ -\frac{\sqrt{3}}{3} \le k \le \frac{\sqrt{3}}{3} $$

これは $z$ が実数のときの $k=0$ も含む。したがって、これが求める範囲である。

解説

複素数平面の標準的な問題です。 (1) は $w$ が実数である条件を $\bar{w} = w$ で処理するか、初めから極形式で置いて虚部を $0$ とするか、どちらも典型的な手法です。 (2) は (1) で求めた軌跡にしたがって場合分けをします。特に $|z|=2$ の場合の処理が鍵となります。極形式を代入することで式が整理され、三角関数の方程式に帰着できます。そこから $k$ の値域を求める際、微分法(解法1)を用いるか、図形的な傾きとして視覚化するか(解法2)で計算の手間が変わります。数学Ⅱの「図形と方程式」の知識を用いる解法2の視点は、計算ミスを防ぎやすく、見通しが良いためぜひ習得しておきたい考え方です。

答え

(1) 実軸(原点を除く)と、原点を中心とする半径 $2$ の円。

(2) $-\frac{\sqrt{3}}{3} \le k \le \frac{\sqrt{3}}{3}$

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