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京都大学 1964年 文系 第5問 解説

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京都大学 1964年 文系 第5問 解説

方針・初手

対数の底と真数の条件を先に整理し、式中の対数を $\log_a b = t$ にまとめて考える。 (イ) は2次方程式の解の位置関係として整理する。 (ロ) は解と係数の関係で対称式を $t$ の式に直し、定義域の中で値の変化を調べる。

解法1

(イ)

$t = \log_a b$ とおく。 底の条件と真数条件から $a > 0, a \neq 1, b > 0, b \neq 1$ であり、とくに $b \neq 1$ より $t \neq 0$ である。

与えられた方程式の係数を $t$ を用いて表す。 第2項の係数は $-(\log_a b)^2 = -t^2$ 定数項は $\log_a \left(\frac{1}{b^2}\right) = -2 \log_a b = -2t$ したがって、2次方程式は以下のように書き換えられる。

$$ x^2 - t^2 x - 2t = 0 $$

また、基準となる値は底の変換公式より以下のように表せる。

$$ \log_b \left(\frac{1}{a}\right) = -\log_b a = -\frac{1}{\log_a b} = -\frac{1}{t} $$

$f(x) = x^2 - t^2 x - 2t$ とおく。 方程式 $f(x) = 0$ が $-\frac{1}{t}$ より大きい2根(重根を含む)をもつための条件は、放物線 $y = f(x)$ について以下の3つが同時に成り立つことである。

(i) 判別式 $D \ge 0$

$$ D = (-t^2)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-2t) = t^4 + 8t \ge 0 $$

$$ t(t^3 + 8) \ge 0 $$

$$ t(t+2)(t^2 - 2t + 4) \ge 0 $$

ここで $t^2 - 2t + 4 = (t - 1)^2 + 3 > 0$ であるから、$t(t+2) \ge 0$ が成り立つ。 $t \neq 0$ であることを考慮すると、

$$ t \le -2 \quad \text{または} \quad t > 0 $$

(ii) 軸の位置 $x = \frac{t^2}{2} > -\frac{1}{t}$

$$ \frac{t^2}{2} + \frac{1}{t} > 0 $$

$$ \frac{t^3 + 2}{2t} > 0 $$

$t > 0$ のとき、分子は $t^3 + 2 > 0$ となり常に成り立つ。 $t < 0$ のとき、分母が負であるから分子も負となり、$t^3 + 2 < 0$ すなわち $t < -\sqrt[3]{2}$ となる。

(iii) 端点での値 $f\left(-\frac{1}{t}\right) > 0$

$$ f\left(-\frac{1}{t}\right) = \left(-\frac{1}{t}\right)^2 - t^2\left(-\frac{1}{t}\right) - 2t = \frac{1}{t^2} + t - 2t = \frac{1}{t^2} - t > 0 $$

$$ \frac{1 - t^3}{t^2} > 0 $$

$t \neq 0$ より $t^2 > 0$ であるから、$1 - t^3 > 0$ すなわち $t < 1$ となる。

(i), (ii), (iii) の共通範囲を求める。 $t > 0$ の範囲では、(i), (ii) を満たし、(iii) より $0 < t < 1$ となる。 $t < 0$ の範囲では、(i) より $t \le -2$ であり、これは (ii) の $t < -\sqrt[3]{2}$ を満たす($-\sqrt[3]{2} \approx -1.26$ であるため)。また (iii) の $t < 1$ も満たす。 したがって、$t$ の満たすべき条件は以下のようになる。

$$ t \le -2 \quad \text{または} \quad 0 < t < 1 $$

これを $a, b$ の関係に戻す。

$$ \log_a b \le -2 \quad \text{または} \quad 0 < \log_a b < 1 $$

底 $a$ の大きさで場合分けをする。

(ア) $a > 1$ のとき 不等号の向きは変わらない。 $\log_a b \le -2$ より $\log_a b \le \log_a a^{-2}$ すなわち $b \le \frac{1}{a^2}$ $0 < \log_a b < 1$ より $\log_a 1 < \log_a b < \log_a a$ すなわち $1 < b < a$ $b > 0$ に注意してまとめると、 $0 < b \le \frac{1}{a^2}$ または $1 < b < a$

(イ) $0 < a < 1$ のとき 不等号の向きが反転する。 $\log_a b \le -2$ より $\log_a b \le \log_a a^{-2}$ すなわち $b \ge \frac{1}{a^2}$ $0 < \log_a b < 1$ より $\log_a 1 > \log_a b > \log_a a$ すなわち $a < b < 1$ まとめると、 $b \ge \frac{1}{a^2}$ または $a < b < 1$

以上より、求める点 $(a, b)$ の領域は、$ab$ 平面において $a > 1$ のとき、$0 < b \le \frac{1}{a^2}$ または $1 < b < a$ $0 < a < 1$ のとき、$b \ge \frac{1}{a^2}$ または $a < b < 1$ を満たす部分となる。 (境界線は、曲線 $b = \frac{1}{a^2}$ の部分は含み、直線 $b = a$, $b = 1$, $a = 1$ および座標軸は含まない)

(ロ)

方程式 $x^2 - t^2 x - 2t = 0$ の2根が $\alpha, \beta$ であるから、解と係数の関係より以下の式が成り立つ。

$$ \alpha + \beta = t^2 $$

$$ \alpha\beta = -2t $$

求める式の値を $K$ とすると、対称式の変形により $K$ は次のように計算できる。

$$ K = 12\alpha + 12\beta - \alpha^2\beta - \alpha\beta^2 $$

$$ K = 12(\alpha + \beta) - \alpha\beta(\alpha + \beta) $$

$$ K = 12t^2 - (-2t)t^2 $$

$$ K = 2t^3 + 12t^2 $$

$K$ を $t$ の関数とみなし、$h(t) = 2t^3 + 12t^2$ とおく。 (イ) より、$t$ の定義域は $t \le -2$ または $0 < t < 1$ である。 この関数を微分すると、

$$ h'(t) = 6t^2 + 24t = 6t(t + 4) $$

$h'(t) = 0$ とすると、$t = 0, -4$ となる。

$t \le -2$ の範囲において、増減表を考えると、$h(t)$ は $t = -4$ で極大かつ最大となる。 $t < -4$ のとき $h'(t) > 0$ (単調増加) $-4 < t \le -2$ のとき $h'(t) < 0$ (単調減少)

$t = -4$ のときの極大値は、

$$ h(-4) = 2(-4)^3 + 12(-4)^2 = 2(-64) + 12(16) = -128 + 192 = 64 $$

一方、$0 < t < 1$ の範囲においては、常に $h'(t) > 0$ であるため $h(t)$ は単調増加する。 $t \to 1$ のときの極限を考えると、

$$ \lim_{t \to 1} h(t) = 2(1)^3 + 12(1)^2 = 14 $$

したがって、$0 < t < 1$ における $h(t)$ の値は $14$ より常に小さい。 両方の範囲を比較すると、最大値は $t = -4$ のときの $64$ である。

解説

まず底と真数の条件を整理し、$t=\log_a b$ とおくことで式全体を1変数の問題として扱える。 (イ) では、放物線と基準点 $-\frac{1}{t}$ の位置関係を調べることで条件がまとまる。 最後に $(a,b)$ に戻す段階では、底が $1$ より大きいか小さいかで不等号の向きが変わることに注意する。

答え

(イ)

$ab$ 平面で

$a > 1$ のとき、$0 < b \le \frac{1}{a^2}$ または $1 < b < a$

$0 < a < 1$ のとき、$b \ge \frac{1}{a^2}$ または $a < b < 1$

を満たす領域である。 境界は曲線 $b = \frac{1}{a^2}$ の部分を含み、直線 $b = a$, $b = 1$, $a = 1$ および座標軸は含まない。

(ロ)

$64$

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