大阪大学 1963年 文系 第3問 解説

方針・初手
対数が実数として定義されるための真数条件と、与えられた $x+y$ の不等式から、点 $(x, y)$ の存在する範囲を連立不等式として定式化する。 後半の式の値の最大化については、対数の底が $2$ であり $1$ より大きいことから、真数が最大のときに全体も最大となることを利用する。真数の式を $x+y$ と $y$ を用いた形に変形し、与えられた条件のもとで最大値を評価する。
解法
式 $(\text{A})$ の対数 $\log_2(x^2 + 2xy - 3y^2)$ が定義されるための条件(真数条件)は、真数が正であることなので、
$$ x^2 + 2xy - 3y^2 > 0 $$
左辺を因数分解して、
$$ (x+3y)(x-y) > 0 $$
これが成り立つ条件は、以下の (i) または (ii) のいずれかである。
(i) $x+3y > 0$ かつ $x-y > 0$ これを $y$ について整理すると、 $y > -\frac{1}{3}x$ かつ $y < x$
(ii) $x+3y < 0$ かつ $x-y < 0$ これを $y$ について整理すると、 $y < -\frac{1}{3}x$ かつ $y > x$
また、問題文で与えられた条件 $-2 \leqq x+y < 2$ は、$y$ について整理すると、
$$ -x - 2 \leqq y < -x + 2 $$
となる。
したがって、求める点 $(x, y)$ の存在する範囲は、直線 $y = -x - 2$ と $y = -x + 2$ に挟まれた領域のうち、真数条件 (i) または (ii) を満たす部分である。 これを図示するための領域の詳細は以下の通りである。
座標平面上において以下の4直線を考える。 $l_1: x+y = -2$ $l_2: x+y = 2$ $l_3: y = x$ $l_4: y = -\frac{1}{3}x$
求める領域は、$l_1$ と $l_2$ に挟まれた帯状の領域のうち、 ・$l_3$ の下側かつ $l_4$ の上側にあたる部分(第1象限方向) ・$l_3$ の上側かつ $l_4$ の下側にあたる部分(第3象限方向) の和集合となる。
各直線の交点は、以下のようになる。 $l_2$ と $l_3$ の交点: $(1, 1)$ $l_2$ と $l_4$ の交点: $(3, -1)$ $l_1$ と $l_3$ の交点: $(-1, -1)$ $l_1$ と $l_4$ の交点: $(-3, 1)$ また、原点 $(0,0)$ において $l_3$ と $l_4$ が交わる。
境界線については、直線 $l_1$ 上の点 $(-1, -1)$ と $(-3, 1)$ を結ぶ線分(両端点は含まない)のみ領域に含まれ、他のすべての境界線および原点 $(0,0)$ は含まれない。
次に、式 $(\text{A})$ の値が最大となる $x, y$ を求める。 対数の底は $2$ であり、$2 > 1$ であるから、真数 $x^2 + 2xy - 3y^2$ が最大となるとき、式 $(\text{A})$ の値も最大となる。 真数を $K$ とおくと、次のように変形できる。
$$ \begin{aligned} K &= x^2 + 2xy - 3y^2 \\ &= x^2 + 2xy + y^2 - 4y^2 \\ &= (x+y)^2 - 4y^2 \end{aligned} $$
ここで、点 $(x, y)$ は与えられた条件 $-2 \leqq x+y < 2$ を満たすので、これを2乗して、
$$ 0 \leqq (x+y)^2 \leqq 4 $$
が成り立つ。 また、$y$ は実数であるから $y^2 \geqq 0$ であり、
$$ -4y^2 \leqq 0 $$
が成り立つ。 これらを足し合わせることで、$K$ の取りうる値の範囲は以下のように評価できる。
$$ K = (x+y)^2 - 4y^2 \leqq 4 - 0 = 4 $$
この等号が成立するのは、$(x+y)^2 = 4$ かつ $y=0$ のときである。 条件 $-2 \leqq x+y < 2$ より、$x+y = -2$ のみが適する。 これと $y=0$ を連立して解くと、
$$ x = -2, \quad y = 0 $$
となる。 この点 $(-2, 0)$ は、真数条件 $K = 4 > 0$ を満たし、かつ $-2 \leqq x+y < 2$ の条件も満たしているため、図示した領域内に存在する点である。 したがって、$K$ は $x = -2, y = 0$ のとき最大値 $4$ をとる。
このときの式 $(\text{A})$ の値は、
$$ \log_2 4 = 2 $$
となる。
解説
前半の領域図示において、真数条件を忘れないことが最も重要である。対数関数を含む方程式・不等式や関数の問題では、常に「真数 $> 0$」と「底 $> 0$ かつ 底 $\neq 1$」を第一に確認する習慣をつける必要がある。
後半の最大値の導出では、$x$ と $y$ の2変数関数を扱う。与えられた制約条件 $-2 \leqq x+y < 2$ に着目し、対象の式の中に $x+y$ の塊を作り出す変形($x^2+2xy-3y^2 = (x+y)^2 - 4y^2$)に気づけるかがポイントとなる。これにより、$(x+y)^2$ と $-4y^2$ それぞれの取りうる値の範囲から全体の最大値を評価し、それらが同時に最大となる点が存在するか(等号成立条件が両立するか)を確認することで、論理の飛躍なく簡潔に解答を導くことができる。
答え
領域の図示:直線 $x+y=-2$ と $x+y=2$ の間で、直線 $y=x$ と $y=-\frac{1}{3}x$ によって作られる対頂角の内部(解説の解法に詳述した通り)。境界線は $x+y=-2$ 上の線分 $(-1,-1)$ から $(-3,1)$ まで(両端点を除く)のみ含み、他は含まない。
最大となる $x, y$ の値:$x = -2, \ y = 0$
そのときの式 $(\text{A})$ の値:$2$
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