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大阪大学 1969年 文系 第3問 解説

数学2/指数対数数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
大阪大学 1969年 文系 第3問 解説

方針・初手

対数不等式を解く問題である。まず何よりも先に、すべての対数に対する「真数条件」を確認し、点 $(x, y)$ の存在しうる大前提となる範囲を特定する。 次に、与式は「2つの因数の積が正」という形をしているため、底の変換公式を用いて底を統一し、それぞれの因数の符号を評価する。片方の因数の符号が確定すれば、もう片方の因数が満たすべき不等式が導かれる。 最後に、得られた複数の不等式が表す領域を図示し、積分や図形の性質を用いてその面積を計算する。

解法1

真数条件の確認

対数の真数は正であるから、以下の条件がすべて成り立つ必要がある。 $x^2+y^2 > 0$ $x^3-y^3 > 0$ $y > 0$ $x^2-2y+y^2 > 0$

$y > 0$ のとき、$x^3-y^3 > 0 \iff (x-y)(x^2+xy+y^2) > 0$ において、

$$ x^2+xy+y^2 = \left(x+\frac{1}{2}y\right)^2 + \frac{3}{4}y^2 > 0 $$

であるため、$x-y > 0 \iff x > y$ が得られる。 $x > y > 0$ のとき、自明に $x^2+y^2 > 0$ は満たされる。 また、$x^2-2y+y^2 > 0 \iff x^2+(y-1)^2 > 1$ である。 したがって、真数条件は以下の連立不等式で表される。

$$ \begin{cases} x > y > 0 \quad \cdots \text{①} \\ x^2+(y-1)^2 > 1 \quad \cdots \text{②} \end{cases} $$

第1因数の評価

与式の第1因数について、底を2に揃えて評価する。

$$ \begin{aligned} \log_4(x^2+y^2) - \log_8(x^3-y^3) &= \frac{\log_2(x^2+y^2)}{2} - \frac{\log_2(x^3-y^3)}{3} \\ &= \frac{1}{6} \left\{ 3\log_2(x^2+y^2) - 2\log_2(x^3-y^3) \right\} \\ &= \frac{1}{6} \log_2 \frac{(x^2+y^2)^3}{(x^3-y^3)^2} \end{aligned} $$

ここで、真数部分の分子と分母の大小を比較するために差をとる。

$$ \begin{aligned} (x^2+y^2)^3 - (x^3-y^3)^2 &= (x^6+3x^4y^2+3x^2y^4+y^6) - (x^6-2x^3y^3+y^6) \\ &= 3x^4y^2 + 2x^3y^3 + 3x^2y^4 \\ &= x^2y^2(3x^2+2xy+3y^2) \end{aligned} $$

条件①より $x>0, y>0$ であるから、$x^2y^2 > 0$ である。 また、$3x^2+2xy+3y^2 = 2x^2 + 2y^2 + (x+y)^2 > 0$ である。 よって、$(x^2+y^2)^3 - (x^3-y^3)^2 > 0 \iff (x^2+y^2)^3 > (x^3-y^3)^2$ が成り立つ。 ゆえに、$\frac{(x^2+y^2)^3}{(x^3-y^3)^2} > 1$ となるため、第1因数は常に正である。

第2因数の評価

第1因数が正であるため、与えられた不等式が成り立つ条件は、第2因数も正になることである。

$$ \log_2 y - \log_4(x^2-2y+y^2) > 0 $$

底を2に揃えると、

$$ \begin{aligned} \log_2 y &> \frac{\log_2(x^2-2y+y^2)}{2} \\ 2\log_2 y &> \log_2(x^2-2y+y^2) \\ \log_2 y^2 &> \log_2(x^2-2y+y^2) \end{aligned} $$

底 $2$ は $1$ より大きいから、真数の大小関係はそのまま保たれ、

$$ \begin{aligned} y^2 &> x^2-2y+y^2 \\ 2y &> x^2 \\ y &> \frac{1}{2}x^2 \quad \cdots \text{③} \end{aligned} $$

領域の特定

求める領域は、不等式①、②、③を同時に満たす $(x,y)$ の集合である。 境界となる図形は以下の3つである。

これらの交点や位置関係を調べる。 直線 $y=x$ と放物線 $y=\frac{1}{2}x^2$ の交点は、$(0,0)$ と $(2,2)$ である。 直線 $y=x$ と円 $x^2+y^2-2y=0$ の交点は、$(0,0)$ と $(1,1)$ である。 円 $x^2+y^2-2y=0$ と放物線 $y=\frac{1}{2}x^2$ の交点は、$x^2=2y$ を円の方程式に代入すると $2y+y^2-2y=0 \implies y=0, x=0$ となり、原点でのみ接する。

また、$x^2 < 2y$(放物線の上側)と $x^2+y^2-2y < 0 \implies x^2 < 2y-y^2$(円の内部)の関係を見ると、$y>0$ のとき常に $2y-y^2 < 2y$ であるため、円の内部はすべて放物線の上側に含まれる。 したがって、求める領域は「放物線 $y=\frac{1}{2}x^2$ の上側かつ直線 $y=x$ の下側にある部分のうち、円 $x^2+(y-1)^2 \le 1$ の内部(および境界)を除いた部分」となる。境界線はすべて含まない。

面積の計算

求める面積 $S$ は、放物線 $y=\frac{1}{2}x^2$ と直線 $y=x$ で囲まれた部分の面積 $S_1$ から、円 $x^2+(y-1)^2 \le 1$ と直線 $y=x$ によって切り取られる円の内部(弓形)の面積 $S_2$ を引いた値となる。

放物線と直線で囲まれた面積 $S_1$ は、

$$ \begin{aligned} S_1 &= \int_0^2 \left( x - \frac{1}{2}x^2 \right) dx \\ &= \left[ \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{6}x^3 \right]_0^2 \\ &= 2 - \frac{4}{3} = \frac{2}{3} \end{aligned} $$

次に、弓形の面積 $S_2$ を求める。 円の中心を $C(0,1)$、直線 $y=x$ との交点を $O(0,0), A(1,1)$ とする。 ベクトル $\vec{CO} = (0, -1)$、$\vec{CA} = (1, 0)$ について、内積 $\vec{CO} \cdot \vec{CA} = 0 \cdot 1 + (-1) \cdot 0 = 0$ であるため、中心角 $\angle OCA = \frac{\pi}{2}$ である。 したがって、扇形 $OCA$ の面積は $\frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \frac{\pi}{2} = \frac{\pi}{4}$ となる。 また、直角二等辺三角形 $\triangle OCA$ の面積は $\frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 = \frac{1}{2}$ である。 ゆえに、弓形の面積 $S_2$ は、

$$ S_2 = \frac{\pi}{4} - \frac{1}{2} $$

以上より、求める面積 $S$ は、

$$ \begin{aligned} S &= S_1 - S_2 \\ &= \frac{2}{3} - \left( \frac{\pi}{4} - \frac{1}{2} \right) \\ &= \frac{7}{6} - \frac{\pi}{4} \end{aligned} $$

解説

本問は対数不等式、領域の図示、および面積計算を組み合わせた総合問題である。 最初に取り組むべきは、対数の「真数条件」の確認である。これを忘れると、$y>0$ や $x>y$ などの領域を決定づける重要な条件が抜け落ちてしまう。 次に、底の異なる対数を含む式の評価では、底の変換公式を用いて底を統一することが定石である。第1因数が常に正であることを示す過程では、多項式の展開と平方完成(あるいは因数分解)を利用して式の正負を厳密に判定する必要がある。 領域の図示においては、境界となる図形同士の交点や接する関係を正確に把握することが求められる。特に、円と放物線が原点で接していること、円が直線と原点および $(1,1)$ で交わることを確認し、図形の位置関係を明確にすることが面積計算の正確な立式につながる。

答え

点 $(x, y)$ の存在する範囲は、連立不等式 $x > y > 0$ $x^2+(y-1)^2 > 1$ $y > \frac{1}{2}x^2$ を満たす領域である。(図示は解答本文の「領域の特定」を参照。境界線を含まない。) 面積は $\frac{7}{6} - \frac{\pi}{4}$

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