京都大学 1973年 文系 第2問 解説

方針・初手
三次方程式の実数係数の性質に着目し、一根が $1$ であることを利用して方程式を因数分解するか、解と係数の関係を用いて立式する。 残りの二根については、実数係数方程式であることから「二根がともに実数である場合」と「互いに共役な虚数である場合」に分けて、絶対値が $1$ になる条件を求める。
解法1
方程式に $x=1$ を代入すると成立するため、
$$ 1 + p + q + r = 0 \iff r = -p - q - 1 $$
が成り立つ。これを与えられた方程式に代入して因数分解する。
$$ \begin{aligned} x^3 + px^2 + qx - p - q - 1 &= 0 \\ (x^3 - 1) + p(x^2 - 1) + q(x - 1) &= 0 \\ (x - 1)(x^2 + x + 1) + p(x - 1)(x + 1) + q(x - 1) &= 0 \\ (x - 1)\{x^2 + (p + 1)x + p + q + 1\} &= 0 \end{aligned} $$
よって、他の二根は二次方程式
$$ x^2 + (p + 1)x + p + q + 1 = 0 $$
の解となる。この方程式の判別式を $D$ とすると、
$$ D = (p + 1)^2 - 4(p + q + 1) $$
となる。実数係数の方程式であるから、解が実数か虚数かで場合分けを行う。
(i)
$D \geqq 0$ のとき
二根は実数であり、その絶対値がともに $1$ であるから、二根の組み合わせは $\{1, 1\}, \{-1, -1\}, \{1, -1\}$ のいずれかである。解と係数の関係より、以下の3つのケースが考えられる。
・二根が $1, 1$ のとき
$$ \begin{cases} -(p + 1) = 2 \\ p + q + 1 = 1 \end{cases} $$
これより $p = -3, q = 3$ となる。このとき $D = (-2)^2 - 4 \cdot 1 = 0 \geqq 0$ を満たし、また $r = -(-3) - 3 - 1 = -1$ となる。
・二根が $-1, -1$ のとき
$$ \begin{cases} -(p + 1) = -2 \\ p + q + 1 = 1 \end{cases} $$
これより $p = 1, q = -1$ となる。このとき $D = 2^2 - 4 \cdot 1 = 0 \geqq 0$ を満たし、また $r = -1 - (-1) - 1 = -1$ となる。
・二根が $1, -1$ のとき
$$ \begin{cases} -(p + 1) = 0 \\ p + q + 1 = -1 \end{cases} $$
これより $p = -1, q = -1$ となる。このとき $D = 0^2 - 4 \cdot (-1) = 4 \geqq 0$ を満たし、また $r = -(-1) - (-1) - 1 = 1$ となる。
(ii)
$D < 0$ のとき
二根は互いに共役な虚数となり、これらを $\alpha, \bar{\alpha}$ と表す。絶対値が $1$ であるから、
$$ \alpha \bar{\alpha} = |\alpha|^2 = 1 $$
解と係数の関係より、二根の積は $p + q + 1$ であるから、
$$ p + q + 1 = 1 \iff q = -p $$
また、$D < 0$ であり、$p + q + 1 = 1$ を代入すると、
$$ \begin{aligned} (p + 1)^2 - 4 \cdot 1 &< 0 \\ p^2 + 2p - 3 &< 0 \\ (p + 3)(p - 1) &< 0 \\ -3 &< p < 1 \end{aligned} $$
このとき、$r = -p - (-p) - 1 = -1$ となる。
(i), (ii) をまとめると、求める条件は 「$p = -3, q = 3, r = -1$」 または「$p = 1, q = -1, r = -1$」 または「$p = -1, q = -1, r = 1$」 または「$p + q = 0, r = -1, -3 < p < 1$」 となる。
ここで、第1の条件と第2の条件は、第4の条件の $p$ の範囲の端点に相当するため、これらを統合して「$p + q = 0, r = -1, -3 \leqq p \leqq 1$」とまとめることができる。
解法2
方程式の三根を $1, \alpha, \beta$ とおく。条件より $|\alpha| = 1, |\beta| = 1$ である。 解と係数の関係より、
$$ \begin{cases} 1 + \alpha + \beta = -p \\ \alpha + \alpha\beta + \beta = q \\ \alpha\beta = -r \end{cases} $$
方程式は実数係数であるため、$\alpha, \beta$ はともに実数であるか、互いに共役な虚数となる。
(i)
$\alpha, \beta$ がともに実数のとき
$|\alpha| = 1, |\beta| = 1$ より、$\alpha, \beta \in \{1, -1\}$ である。
・$\alpha = 1, \beta = 1$ のとき
解と係数の関係の式に代入して、
$$ \begin{cases} 3 = -p \\ 3 = q \\ 1 = -r \end{cases} $$
よって $p = -3, q = 3, r = -1$ となる。
・$\alpha = -1, \beta = -1$ のとき
代入して、
$$ \begin{cases} -1 = -p \\ -1 = q \\ 1 = -r \end{cases} $$
よって $p = 1, q = -1, r = -1$ となる。
・$\alpha = 1, \beta = -1$ または $\alpha = -1, \beta = 1$ のとき
代入して、
$$ \begin{cases} 1 = -p \\ -1 = q \\ -1 = -r \end{cases} $$
よって $p = -1, q = -1, r = 1$ となる。
(ii)
$\alpha, \beta$ が互いに共役な虚数のとき
$\beta = \bar{\alpha}$ と表せる。絶対値が $1$ の虚数であるから、$|\alpha|^2 = \alpha\bar{\alpha} = 1$ かつ $\alpha \neq \pm 1$ である。 解と係数の関係の式より、
$$ -r = \alpha\bar{\alpha} = 1 \iff r = -1 $$
$$ -p = 1 + \alpha + \bar{\alpha} \iff \alpha + \bar{\alpha} = -p - 1 $$
$$ q = \alpha + \alpha\bar{\alpha} + \bar{\alpha} = (\alpha + \bar{\alpha}) + 1 = (-p - 1) + 1 = -p $$
これより $p + q = 0$ が得られる。 また、$\alpha, \bar{\alpha}$ は実数係数二次方程式 $t^2 - (\alpha + \bar{\alpha})t + \alpha\bar{\alpha} = 0$、すなわち
$$ t^2 + (p + 1)t + 1 = 0 $$
の虚数解であるから、判別式 $D < 0$ が成り立つ。
$$ (p + 1)^2 - 4 < 0 \iff -3 < p < 1 $$
以上 (i), (ii) をまとめ、(i) の実数解で重解となるケースを (ii) の不等式条件に含めることで結論を得る。
解説
実数係数方程式が虚数解を持つ場合、それらは必ず互いに共役な複素数となる性質を利用する典型問題だ。共役な複素数どうしの積は絶対値の2乗になるため、「絶対値が1」という条件から直接的に係数の一部が定まる。
考え得るすべての解の組み合わせについて丁寧に場合分けを行い、それぞれの条件下で係数が満たすべき関係を漏れなく拾い上げることが重要だ。最後に範囲をまとめることで、解答が簡潔になる。
答え
「$p + q = 0$ かつ $r = -1$ かつ $-3 \leqq p \leqq 1$」 または 「$p = -1$ かつ $q = -1$ かつ $r = 1$」
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