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京都大学 1968年 文系 第5問 解説

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京都大学 1968年 文系 第5問 解説

方針・初手

(1) 与えられた $f(i-1)=0$ という条件から、複素数 $i-1$ が方程式 $f(x)=0$ の解の1つであることがわかる。係数がすべて実数であるため、共役複素数も解となる性質を利用するか、実際に代入して因数を特定する方針をとる。

(2)

$f(x)=0$ の3つの解を複素平面上の点としてとらえ、$f'(x)=0$ の解がその3点を頂点とする三角形の内部にあることを確かめる。内部判定には、直線の方程式や位置関係を用いればよい。

解法1

(1)

与えられた関数は $f(x) = 2x^3 + 3x^2 + 2x - 2$ である。係数がすべて実数であるから、複素数 $\alpha = i-1$ が $f(\alpha)=0$ を満たすとき、その共役複素数 $\bar{\alpha} = -i-1$ も $f(x)=0$ の解である。

これら2つの解を根に持つ2次式を $g(x)$ とすると、

$$ \begin{aligned} g(x) &= \{x - (-1+i)\}\{x - (-1-i)\} \\ &= \{(x+1) - i\}\{(x+1) + i\} \\ &= (x+1)^2 + 1 \\ &= x^2 + 2x + 2 \end{aligned} $$

となる。$f(x)$ を $g(x)$ で割ると、

$$ f(x) = (x^2 + 2x + 2)(2x - 1) $$

と因数分解できる。したがって、$f(x)=0$ の根は、

$$ x = \frac{1}{2}, \quad -1 \pm i $$

である。

(2)

$f(x)=0$ の3根を $\alpha = -1+i, \beta = -1-i, \gamma = \frac{1}{2}$ とし、これらを頂点とする複素平面上の三角形を $T$ とする。

次に、$f(x)$ の導関数 $f'(x)$ を求めると、

$$ f'(x) = 6x^2 + 6x + 2 $$

である。$f'(x)=0$ の根を $z$ とすると、解の公式より、

$$ \begin{aligned} z &= \frac{-6 \pm \sqrt{36 - 48}}{12} \\ &= \frac{-6 \pm 2\sqrt{3}i}{12} \\ &= -\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{6}i \end{aligned} $$

となる。2つの根を $z_1 = -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{6}i, z_2 = -\frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{6}i$ とおく。これらは互いに共役であるため、片方が $T$ の内部にあることを示せば、実軸対称な $T$ の形状からもう一方も内部にあることが従う。

$z_1$ について考える。三角形 $T$ の各頂点の座標は $A(-1, 1), B(-1, -1), C(\frac{1}{2}, 0)$ である。 $z_1$ に対応する点を $P(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{6})$ とする。

直線 $AB$ の方程式は $x = -1$ であり、$P$ の $x$ 座標 $-\frac{1}{2}$ は $-1 < -\frac{1}{2} < \frac{1}{2}$ を満たすため、$P$ は直線 $AB$ より右側($C$ 側)にある。

直線 $AC$ の方程式は、傾きが $\frac{0 - 1}{1/2 - (-1)} = -\frac{2}{3}$ であるから、 $y - 0 = -\frac{2}{3}(x - \frac{1}{2})$ より $y = -\frac{2}{3}x + \frac{1}{3}$、すなわち $2x + 3y - 1 = 0$ である。 点 $P(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{6})$ を左辺に代入すると、 $2(-\frac{1}{2}) + 3(\frac{\sqrt{3}}{6}) - 1 = -1 + \frac{\sqrt{3}}{2} - 1 = \frac{\sqrt{3}-4}{2} < 0$ となり、原点($AB$ 側)と同じ領域にある。

直線 $BC$ の方程式は、対称性より $2x - 3y - 1 = 0$ である。 点 $P$ を代入すると、$2(-\frac{1}{2}) - 3(\frac{\sqrt{3}}{6}) - 1 = -2 - \frac{\sqrt{3}}{2} < 0$ であり、これもまた三角形の内部側の領域($A$ 側)にある。

以上より、点 $P$ は三角形 $T$ の内部にある。$z_2$ についても同様に(または共役性による対称性から)内部にある。

解説

本問は、多項式の根と導関数の根の関係に関する「ガウス・リュカの定理」の具体例を扱っている。

(1) では、実係数多項式の虚数解が共役ペアになることを利用するのが最も効率的である。代入して計算することも可能だが、計算ミスを防ぐために因数定理の活用を推奨する。

(2) では、導関数の根が元の多項式の根の凸包(この場合は三角形)に含まれることを具体的に計算して示す。内部であることを判定する方法として、本解では直線の方程式を利用したが、複素数 $z$ を $z = s\alpha + t\beta + u\gamma \quad (s+t+u=1, s>0, t>0, u>0)$ の形で表す重心座標の考え方を用いてもよい。

答え

(1)

$x = \frac{1}{2}, -1 \pm i$

(2)

$f(x)=0$ の3根を頂点とする三角形の内部に $f'(x)=0$ の2根 $z = -\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{6}i$ が存在することを、境界線の方程式との位置関係により示した。

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