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京都大学 1976年 文系 第1問 解説

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京都大学 1976年 文系 第1問 解説

方針・初手

(i) は、指定された区間における関数 $|f(x)| = |x^n|$ の最大値を考え、それが $\frac{1}{1000}$ 未満となるための $n$ の条件を不等式で立式する。 (ii) は、(i) の結果を誘導として利用する。区間 $0 \leqq x \leqq 1$ を平行移動し、中央の値である $x = \frac{1}{2}$ を中心とした多項式 $g(x) = \left(x - \frac{1}{2}\right)^n$ を考えることで、前半の不等式条件を容易に満たすことができる。その後、もう一つの条件を満たす $n$ の値を具体的に計算して探す。

解法1

(i)

$n$ は多項式 $f(x) = x^n$ の次数であるから、非負整数である。$n=0$ のときは $f(x)=1$ となり条件を満たさないため、$n$ は自然数としてよい。 区間 $-\frac{1}{2} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において、$|x| \leqq \frac{1}{2}$ である。 したがって、この区間における $|f(x)| = |x|^n$ の最大値は $\left(\frac{1}{2}\right)^n$ となる。 不等式 $|f(x)| < \frac{1}{1000}$ が区間内のすべての $x$ で成り立つための条件は、

$$ \left(\frac{1}{2}\right)^n < \frac{1}{1000} $$

すなわち、

$$ 2^n > 1000 $$

となることである。 $2^9 = 512$、$2^{10} = 1024$ であるから、この不等式を満たす自然数 $n$ は、

$$ n \geqq 10 $$

である。

(ii)

(i) の結果を利用するため、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ を平行移動して、$-\frac{1}{2} \leqq x - \frac{1}{2} \leqq \frac{1}{2}$ と考える。 ここで、$n$ を $10$ 以上の自然数とし、

$$ g(x) = \left(x - \frac{1}{2}\right)^n $$

とおく。この $g(x)$ は最高次の係数が $1$ の多項式であり、(i) の結果から、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において

$$ |g(x)| = \left| \left(x - \frac{1}{2}\right)^n \right| < \frac{1}{1000} $$

を満たす。 次に、この $g(x)$ が $10000 < |g(3)| < 100000$ を満たすかどうかを調べる。

$$ |g(3)| = \left| \left(3 - \frac{1}{2}\right)^n \right| = \left(\frac{5}{2}\right)^n $$

であるから、条件は

$$ 10000 < \left(\frac{5}{2}\right)^n < 100000 $$

となる。各 $n$ について値を評価する。 $n=10$ のとき、

$$ \left(\frac{5}{2}\right)^{10} = \frac{5^{10}}{2^{10}} = \frac{(5^5)^2}{1024} = \frac{3125^2}{1024} = \frac{9765625}{1024} \approx 9536.7 $$

となり、$10000$ より小さいため不適である。 $n=11$ のとき、

$$ \left(\frac{5}{2}\right)^{11} = \frac{5}{2} \left(\frac{5}{2}\right)^{10} \approx 2.5 \times 9536.7 \approx 23841.7 $$

となり、これは $10000 < \left(\frac{5}{2}\right)^{11} < 100000$ を満たすと推測できる。 厳密に確認すると、

$$ \left(\frac{5}{2}\right)^{11} = \frac{48828125}{2048} $$

であり、$2048 \times 10000 = 20480000$、$2048 \times 100000 = 204800000$ との大小関係を比較すると、

$$ 20480000 < 48828125 < 204800000 $$

が成り立つため、確かに条件を満たしている。 よって、求める多項式の例の1つは $g(x) = \left(x - \frac{1}{2}\right)^{11}$ である。

解説

(i) は $2^{10} \approx 10^3$ であるという有名な事実を用いれば、すぐに答えが求まる基本的な問題である。 (ii) は (i) の誘導に素直に乗れるかがポイントとなる。区間 $[0, 1]$ を区間 $[-\frac{1}{2}, \frac{1}{2}]$ に帰着させるため、$x$ を $x - \frac{1}{2}$ に置き換えた多項式を構築することで、前半の条件を自動的にクリアできる。あとは後半の条件に合うように次数 $n$ を具体的にしらみつぶしに探せばよい。 なお、$n=12$ のときも $\left(\frac{5}{2}\right)^{12} \approx 59604$ となり条件を満たすため、$g(x) = \left(x - \frac{1}{2}\right)^{12}$ などを答えとしても正解である。

答え

(i)

$10$ 以上の整数にすればよい。 ($n \geqq 10$)

(ii)

$g(x) = \left(x - \frac{1}{2}\right)^{11}$ (※一例)

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