京都大学 1980年 文系 第2問 解説

方針・初手
動点が一定速度で動くため、時刻 $t$ における各点の位置は、それぞれの辺を $t : (1-t)$ に内分する点として表すことができる。 四辺形 $PQRS$ の面積を直接求めるのは難しいため、全体(四辺形 $ABCD$)の面積から、四隅の三角形($\triangle APS, \triangle BPQ, \triangle CQR, \triangle DRS$)の面積を引き算するアプローチをとる。 四隅の三角形の面積は、元の四辺形を対角線で2つに分けた三角形の面積と関連付けると、非常に美しく計算をまとめることができる。
解法1
元の凸四辺形 $ABCD$ の面積を $S$ とする。 条件より、動点 $P, Q, R, S$ はそれぞれ一定速度で動くため、時刻 $t \ (0 \leqq t \leqq 1)$ において、各点は各辺を $t : (1-t)$ に内分する。 ($t=0, 1$ のときは端点に一致すると考える)
頂点 $A$ に着目し、四隅の1つである $\triangle APS$ の面積を考える。 $AP = t AB$、$AS = (1-t) AD$ であるから、
$$ \begin{aligned} \triangle APS &= \frac{1}{2} \cdot AP \cdot AS \sin A \\ &= \frac{1}{2} (t AB) \{ (1-t) AD \} \sin A \\ &= t(1-t) \left( \frac{1}{2} AB \cdot AD \sin A \right) \\ &= t(1-t) \triangle ABD \end{aligned} $$
同様の考え方で、他の3つの角にある三角形の面積も次のように表せる。
$$ \triangle BPQ = t(1-t) \triangle ABC $$
$$ \triangle CQR = t(1-t) \triangle BCD $$
$$ \triangle DRS = t(1-t) \triangle CDA $$
ここで、対角にある三角形の面積の和をとると、四辺形 $ABCD$ は凸四辺形であるため、
$$ \triangle APS + \triangle CQR = t(1-t)(\triangle ABD + \triangle BCD) = t(1-t)S $$
$$ \triangle BPQ + \triangle DRS = t(1-t)(\triangle ABC + \triangle CDA) = t(1-t)S $$
となる。 したがって、四隅の三角形の面積の合計は
$$ t(1-t)S + t(1-t)S = 2t(1-t)S $$
となる。
四辺形 $PQRS$ の面積は、全体の面積 $S$ からこの四隅の面積の合計を引いたものであるから、これを $f(t)$ とおくと
$$ \begin{aligned} f(t) &= S - 2t(1-t)S \\ &= S(1 - 2t + 2t^2) \\ &= (2t^2 - 2t + 1)S \end{aligned} $$
これが四辺形 $PQRS$ の面積を $t$ の関数として表したものである。
次に、この関数の最小値について調べる。 $f(t)$ を平方完成すると、
$$ f(t) = S \left\{ 2\left(t - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{2} \right\} $$
$t$ の変域は $0 \leqq t \leqq 1$ であるため、この関数は $t = \frac{1}{2}$ のとき最小値をとる。 そのときの最小値は $\frac{1}{2}S$ である。
解説
四角形の各辺を同じ比で分割した点を結んでできる図形の面積に関する、非常にエレガントな幾何の問題である。 座標やベクトルを導入して泥臭く計算することも可能であるが、本解法のように「向かい合う角の三角形の面積を足すと、全体の面積を $t(1-t)$ 倍したものになる」という図形的性質(対角線分割)に気づけると、あっという間に答えを導くことができる。 なお、$t=\frac{1}{2}$ のとき、各点は各辺の中点となる。「任意の四角形の各辺の中点を結んでできる四角形は平行四辺形になり、その面積は元の四角形の半分になる」という有名な定理(ヴァリニョンの定理)を、動点を用いて一般化して証明させた問題と言える。
答え
元の四辺形 $ABCD$ の面積を $S$ としたとき、 四辺形 $PQRS$ の面積: $(2t^2 - 2t + 1)S$
最小値について: $t = \frac{1}{2}$ のとき(すなわち各点が各辺の中点に達したとき)に最小となり、その最小値は元の四辺形 $ABCD$ の面積の半分($\frac{1}{2}S$)である。
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