京都大学 1981年 文系 第2問 解説

方針・初手
連立漸化式を $x_{n+1}, y_{n+1}$ について解くことで、次の項が有理数係数の1次式で表されることを示し、数学的帰納法を用いてすべての $n$ に対して座標が有理数になることを証明する。 また、点 $P_n$ が定円上にあることを示すには、原点からの距離の2乗 $x_n^2 + y_n^2$ が $n$ によらず一定($x_{n+1}^2 + y_{n+1}^2 = x_n^2 + y_n^2$)であることを示す。これは与えられた漸化式の形をうまく利用し、和と差の積を作ることで非常に簡潔に導くことができる。
解法1
与えられた漸化式は以下の通りである。
$$ x_{n+1} - x_n = p(y_{n+1} + y_n) \quad \cdots \text{①} $$
$$ y_{n+1} - y_n = -p(x_{n+1} + x_n) \quad \cdots \text{②} $$
まず、$x_n, y_n$ がすべての自然数 $n$ について有理数であることを数学的帰納法で示す。 ①、②を $x_{n+1}, y_{n+1}$ について整理する。
$$ x_{n+1} - p y_{n+1} = x_n + p y_n \quad \cdots \text{③} $$
$$ p x_{n+1} + y_{n+1} = -p x_n + y_n \quad \cdots \text{④} $$
③より $x_{n+1} = p y_{n+1} + x_n + p y_n$ とし、これを④に代入する。
$$ p(p y_{n+1} + x_n + p y_n) + y_{n+1} = -p x_n + y_n $$
$$ (1 + p^2) y_{n+1} = -2p x_n + (1 - p^2) y_n $$
$p$ は有理数(実数)であるから $1 + p^2 \neq 0$ であり、両辺を割ることができる。
$$ y_{n+1} = \frac{-2p}{1 + p^2} x_n + \frac{1 - p^2}{1 + p^2} y_n \quad \cdots \text{⑤} $$
同様に、④より $y_{n+1} = -p x_{n+1} - p x_n + y_n$ とし、これを③に代入する。
$$ x_{n+1} - p(-p x_{n+1} - p x_n + y_n) = x_n + p y_n $$
$$ (1 + p^2) x_{n+1} = (1 - p^2) x_n + 2p y_n $$
$$ x_{n+1} = \frac{1 - p^2}{1 + p^2} x_n + \frac{2p}{1 + p^2} y_n \quad \cdots \text{⑥} $$
$p$ は有理数であるから、式中の係数 $\frac{1 - p^2}{1 + p^2}$ および $\frac{2p}{1 + p^2}$ は有理数である。
(I)
$n = 1$ のとき 仮定より $x_1, y_1$ はともに有理数である。よって $n=1$ のとき命題は成り立つ。
(II)
$n = k$ ($k$ は自然数)のとき $x_k, y_k$ がともに有理数であると仮定する。 ⑤、⑥より、$x_{k+1}, y_{k+1}$ は有理数の四則演算のみで表されるため、ともに有理数である。 よって $n = k+1$ のときも命題は成り立つ。
(I), (II) より、すべての自然数 $n$ について $x_n, y_n$ は有理数であることが示された。
次に、点 $P_n$ が原点を中心とする定円上にあることを示す。 ①の両辺に $(x_{n+1} + x_n)$ を掛けると、
$$ (x_{n+1} - x_n)(x_{n+1} + x_n) = p(y_{n+1} + y_n)(x_{n+1} + x_n) $$
$$ x_{n+1}^2 - x_n^2 = p(x_{n+1} + x_n)(y_{n+1} + y_n) \quad \cdots \text{⑦} $$
②の両辺に $(y_{n+1} + y_n)$ を掛けると、
$$ (y_{n+1} - y_n)(y_{n+1} + y_n) = -p(x_{n+1} + x_n)(y_{n+1} + y_n) $$
$$ y_{n+1}^2 - y_n^2 = -p(x_{n+1} + x_n)(y_{n+1} + y_n) \quad \cdots \text{⑧} $$
⑦と⑧を辺々加えると、右辺は $0$ になる。
$$ (x_{n+1}^2 - x_n^2) + (y_{n+1}^2 - y_n^2) = 0 $$
すなわち、
$$ x_{n+1}^2 + y_{n+1}^2 = x_n^2 + y_n^2 $$
がすべての自然数 $n$ について成り立つ。 したがって、数列 $\{x_n^2 + y_n^2\}$ は定数列であり、
$$ x_n^2 + y_n^2 = x_1^2 + y_1^2 $$
が成り立つ。 仮定より点 $P_1(x_1, y_1)$ は原点ではないため、$x_1^2 + y_1^2 > 0$ である。 $r = \sqrt{x_1^2 + y_1^2}$ とおくと、$r > 0$ であり、すべての $n$ に対して $x_n^2 + y_n^2 = r^2$ が成り立つ。 よって、点 $P_n$ は原点を中心とする半径 $r$ の定円上にあることが示された。
解説
有理数の証明と、軌跡(円)の証明が組み合わさった数列の問題である。 前半の有理数であることの証明は、$x_{n+1}$ と $y_{n+1}$ を $x_n, y_n$ で表して帰納法を用いる典型的な手法である。連立方程式を解く要領で整理すれば迷うことはない。 後半の定円上にあることの証明は、$x_{n+1}^2 + y_{n+1}^2 = x_n^2 + y_n^2$ を示すのが目標となる。代入して計算することも可能であるが、漸化式の形から和と差の積の公式 $(A-B)(A+B) = A^2 - B^2$ を利用する工夫に気づけると、劇的に計算量を減らしてエレガントに証明を完了させることができる。
答え
略(解法1の証明を参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











