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京都大学 1972年 理系 第5問 解説

数学C/式と曲線数学3/積分法テーマ/媒介変数テーマ/面積・体積
京都大学 1972年 理系 第5問 解説

方針・初手

線分 $OP$ が通過した部分の面積 $S$ を、媒介変数 $u$ を用いて表すことが第一歩となる。楕円の扇形の面積をどう計算するかを考え、図形的なアプローチと解析的なアプローチの両面を探る。

$S$ を $u$ の式で表したのち、条件 $\frac{dS}{dt} = 1$ から $S$ と $t$ の関係を導き、$u$ を $t$ の関数として求める。

解法1

楕円の図形的な性質(円の拡大・縮小)を利用して面積 $S$ を求める。

座標平面上の点 $(x, y)$ を $y$ 軸方向に $\frac{a}{b}$ 倍に拡大した平面を考える。この変換により、だ円 $\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1$ 上の点 $P(a \cos u, b \sin u)$ は、円 $x^2 + y^2 = a^2$ 上の点 $P'(a \cos u, a \sin u)$ に移る。

時刻 $t=0$ で点 $P$ は $(a, 0)$ にあり、その後反時計回りに動くため、媒介変数 $u$ は $0$ から単調に増加する。このとき、対応する点 $P'$ も $(a, 0)$ から円周上を反時計回りに動く。

線分 $OP'$ が通過した部分の面積を $S'$ とすると、これは半径 $a$、中心角 $u$ の扇形の面積となるため、次のように表される。

$$ S' = \frac{1}{2} a^2 u $$

元の面積 $S$ は、上の変換の逆($y$ 軸方向に $\frac{b}{a}$ 倍)を考えればよいので、面積も $\frac{b}{a}$ 倍となる。したがって、

$$ S = \frac{b}{a} S' = \frac{b}{a} \cdot \frac{1}{2} a^2 u = \frac{1}{2} ab u $$

一方で、条件 $\frac{dS}{dt} = 1$ の両辺を $t$ で積分すると、

$$ S = t + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$

時刻 $t = 0$ から通過した面積を考えているため、$t = 0$ のとき $S = 0$ であり、積分定数は $C = 0$ となる。よって、

$$ S = t $$

求めた2つの $S$ の式を等置すると、

$$ \frac{1}{2} ab u = t $$

これを $u$ について解くことで、求める関数が得られる。

$$ u = \frac{2}{ab} t $$

解法2

極座標表示を利用して面積 $S$ を厳密に計算する。

点 $P$ の極座標を $(r, \theta)$ とする。原点 $O$ と動点 $P$ を結ぶ線分が通過した面積 $S$ は、次の公式で与えられる。

$$ S = \frac{1}{2} \int_{0}^{\theta} r^2 \, d\theta $$

直交座標 $(x, y)$ と極座標の関係から、$x = r \cos \theta$、$y = r \sin \theta$ であり、媒介変数表示と比較すると以下の関係が成り立つ。

$$ r \cos \theta = a \cos u $$

$$ r \sin \theta = b \sin u $$

$\cos u \neq 0$ かつ $\cos \theta \neq 0$ となる範囲において、辺々を割ると次式を得る。

$$ \tan \theta = \frac{b}{a} \tan u $$

この両辺を $u$ について微分すると、

$$ \frac{1}{\cos^2 \theta} \cdot \frac{d\theta}{du} = \frac{b}{a} \cdot \frac{1}{\cos^2 u} $$

ここで、両辺に $r^2 \cos^2 \theta = a^2 \cos^2 u$ を掛ける。

$$ r^2 \cos^2 \theta \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} \cdot \frac{d\theta}{du} = a^2 \cos^2 u \cdot \frac{b}{a \cos^2 u} $$

$$ r^2 \frac{d\theta}{du} = ab $$

この関係式は、分母が $0$ となる点においても極限(あるいは曲線の連続性)から成り立つ。これを用いて面積 $S$ の積分を $\theta$ から $u$ に置換する。(初期位置 $P(a,0)$ のとき $u=0, \theta=0$)

$$ S = \frac{1}{2} \int_{0}^{\theta} r^2 \, d\theta = \frac{1}{2} \int_{0}^{u} r^2 \frac{d\theta}{du} \, du = \frac{1}{2} \int_{0}^{u} ab \, du = \frac{1}{2} ab u $$

これ以降は解法1と同様である。条件 $\frac{dS}{dt} = 1$ より $S = t$ が導かれるため、

$$ \frac{1}{2} ab u = t $$

$$ u = \frac{2}{ab} t $$

解説

楕円軌道上の面積速度(単位時間あたりに線分 $OP$ が掃く面積)に関する問題であり、物理学におけるケプラーの第2法則(面積速度一定の法則)を背景としている。

この問題の要点は、だ円の扇形の面積 $S$ を媒介変数 $u$(離心近点角と呼ばれる)を用いて正しく表現できるかどうかにある。解法1のように「円を特定の軸方向に引き伸ばした(圧縮した)図形が楕円である」というアフィン変換の考え方を用いると、面倒な積分計算を回避して極めて簡潔に $S = \frac{1}{2} ab u$ を導くことができる。図形的な直感を数式化するテクニックとして非常に有用だ。

解法2の極座標を用いた置換積分は、計算力と微積分の運用能力が問われる。計算の途中で現れる $r^2 \, d\theta = ab \, du$ という関係式は、媒介変数表示された曲線の微小面積を扱う上で知っておくと見通しが良くなる。

答え

$$ u = \frac{2}{ab} t $$

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