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九州大学 2010年 理系 第4問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式数学3/積分法テーマ/媒介変数テーマ/面積・体積
九州大学 2010年 理系 第4問 解説

方針・初手

サイクロイドの媒介変数表示を求め、それを用いて面積と曲線の長さを計算する定石問題である。 まずはベクトルの和を用いて、円の中心の位置とそこからの相対的な回転を別々に捉え、点 $P$ の座標を $t$ の関数として表すことから始める。

解法1

(1)

円が角 $t$ だけ回転したときの円の中心を $C_t$ とし、円と $x$ 軸との接点を $Q$ とする。 円が $x$ 軸上を滑らずに転がるので、原点から接点 $Q$ までの距離は、回転した円弧の長さ $at$ に等しい。 よって、中心 $C_t$ の座標は $(at, a)$ となる。

次に、中心 $C_t$ から見た点 $P$ の位置ベクトル $\vec{C_t P}$ を考える。 円が $x$ 軸の正の方向に角 $t$ だけ転がるとき、円上の点は中心 $C_t$ の周りを時計回りに角 $t$ だけ回転する。 点 $P$ はもともと原点にあり、このとき $\vec{C_0 P}$ の成分は $(0, -a)$ であった。 これを時計回りに角 $t$ (反時計回りに角 $-t$)だけ回転させるので、

$$ \begin{aligned} \vec{C_t P} &= \begin{pmatrix} \cos(-t) & -\sin(-t) \\ \sin(-t) & \cos(-t) \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0 \\ -a \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} \cos t & \sin t \\ -\sin t & \cos t \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0 \\ -a \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} -a\sin t \\ -a\cos t \end{pmatrix} \end{aligned} $$

したがって、点 $P$ の位置ベクトル $\vec{OP}$ は、

$$ \begin{aligned} \vec{OP} &= \vec{OC_t} + \vec{C_t P} \\ &= \begin{pmatrix} at \\ a \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} -a\sin t \\ -a\cos t \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} a(t-\sin t) \\ a(1-\cos t) \end{pmatrix} \end{aligned} $$

以上より、点 $P$ の座標は $(a(t-\sin t), a(1-\cos t))$ である。

(2)

(1) より、曲線 $C$ は $x = a(t-\sin t)$, $y = a(1-\cos t)$ と媒介変数表示される。 $t$ が $0$ から $2\pi$ まで動くとき、$x$ は $0$ から $2\pi a$ まで単調に増加し、$y \geqq 0$ である。 求める面積 $S$ は、

$$ S = \int_{0}^{2\pi a} y \, dx $$

ここで、$x = a(t-\sin t)$ より $\frac{dx}{dt} = a(1-\cos t)$ であり、$x$ と $t$ の対応は $0 \rightarrow 2\pi$ であるから、置換積分を用いると、

$$ \begin{aligned} S &= \int_{0}^{2\pi} a(1-\cos t) \cdot a(1-\cos t) \, dt \\ &= a^2 \int_{0}^{2\pi} (1 - 2\cos t + \cos^2 t) \, dt \end{aligned} $$

半角の公式 $\cos^2 t = \frac{1+\cos 2t}{2}$ を用いて変形すると、

$$ \begin{aligned} S &= a^2 \int_{0}^{2\pi} \left( 1 - 2\cos t + \frac{1}{2} + \frac{1}{2}\cos 2t \right) \, dt \\ &= a^2 \int_{0}^{2\pi} \left( \frac{3}{2} - 2\cos t + \frac{1}{2}\cos 2t \right) \, dt \\ &= a^2 \left[ \frac{3}{2}t - 2\sin t + \frac{1}{4}\sin 2t \right]_{0}^{2\pi} \\ &= a^2 \left( \frac{3}{2} \cdot 2\pi - 0 + 0 \right) \\ &= 3\pi a^2 \end{aligned} $$

(3)

曲線 $C$ の長さを $L$ とする。 媒介変数表示された曲線の長さの公式より、

$$ L = \int_{0}^{2\pi} \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2} \, dt $$

ここで、$\frac{dx}{dt} = a(1-\cos t)$, $\frac{dy}{dt} = a\sin t$ であるから、根号の中身は、

$$ \begin{aligned} \left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2 &= a^2(1-\cos t)^2 + a^2\sin^2 t \\ &= a^2(1 - 2\cos t + \cos^2 t) + a^2\sin^2 t \\ &= a^2(2 - 2\cos t) \\ &= 2a^2(1-\cos t) \end{aligned} $$

半角の公式 $1-\cos t = 2\sin^2 \frac{t}{2}$ を用いると、

$$ \sqrt{2a^2(1-\cos t)} = \sqrt{4a^2\sin^2\frac{t}{2}} = 2a\left|\sin\frac{t}{2}\right| $$

$0 \leqq t \leqq 2\pi$ において $0 \leqq \frac{t}{2} \leqq \pi$ であり、$\sin\frac{t}{2} \geqq 0$ となるため、絶対値記号はそのまま外すことができる。 したがって、

$$ \begin{aligned} L &= \int_{0}^{2\pi} 2a\sin\frac{t}{2} \, dt \\ &= 2a \left[ -2\cos\frac{t}{2} \right]_{0}^{2\pi} \\ &= 4a \left( -\cos\pi + \cos 0 \right) \\ &= 4a \left( 1 + 1 \right) \\ &= 8a \end{aligned} $$

解説

サイクロイド曲線の媒介変数表示から始まり、面積と弧長を求める微分積分の最も標準的かつ重要な問題である。 点の軌跡を追う際は、並進運動(中心の移動)と回転運動(中心からの相対位置)のベクトルの和として考えることで、幾何的なミスを防ぎやすく、他の様々なルーローの曲線などにも応用が利く。 面積計算においては $\cos^2 t$ の次数下げ、弧長計算においては根号を外すための半角の公式を利用した $\sin$ の平方への変形が必須の処理となる。 絶対値を外す際の積分区間の確認など、記述式の解答では細かい条件の確認も省略せずに書くことが望ましい。

答え

(1) $(a(t-\sin t), a(1-\cos t))$

(2) $3\pi a^2$

(3) $8a$

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