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京都大学 1980年 理系 第6問 解説

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京都大学 1980年 理系 第6問 解説

方針・初手

(i) $f(x)$ の式に $x=0$ を代入すると $f(0)=1$ となることに着目する。$f(x) = g(x)h(x)$ であることから $g(0)h(0)=1$ が導かれ、これらが整数であることを利用する。

(ii) (i) と同様の考え方で、$x=1, a, b$ のときも $f(x)=1$ となることを利用する。これにより、4つの異なる $x$ の値において $g(x) = h(x)$ となることがわかる。 一方、$g(x), h(x)$ はともに定数ではないため、それぞれの次数は最大でも3次である。多項式の次数の性質(3次以下の多項式が4つ以上の点で一致するなら、恒等的に等しい)から証明できる。

(iii) (ii) の結果から、$f(x) = \{g(x)\}^2$ と表せるはずである。$g(x)$ を2次式 $x^2+px+q$ とおいて両辺を展開し、係数を比較することで条件を満たす整数 $a, b$ を逆算する。


解法

(i) $f(x) = x(x-1)(x-a)(x-b) + 1$ より、$f(0) = 1$ である。 条件より $f(x) = g(x)h(x)$ であるから、

$$ g(0)h(0) = f(0) = 1 $$

が成り立つ。 $g(x), h(x)$ は整数係数の多項式であるから、$g(0), h(0)$ はともに整数である。 積が $1$ になる整数の組は $(1, 1)$ または $(-1, -1)$ しか存在しないため、いずれの場合も $g(0) = h(0)$ が成り立つ。(証明終)

(ii) $f(x)$ は最高次の係数が $1$ である4次多項式である。 $f(x) = g(x)h(x)$ であり、$g(x), h(x)$ のどちらも定数でない(すなわち次数が $1$ 以上である)ため、$g(x)$ と $h(x)$ の次数の組み合わせは $(1, 3), (2, 2), (3, 1)$ のいずれかである。 したがって、$g(x)$ と $h(x)$ の次数はいずれも $3$ 以下である。 ここで、多項式 $P(x) = g(x) - h(x)$ を考えると、$P(x)$ の次数も $3$ 以下である。

一方、$f(x)$ に $x = 0, 1, a, b$ を代入すると、すべて $f(x) = 1$ となる。 (i) と全く同様の議論により、 $f(0) = 1 \implies g(0) = h(0) \implies P(0) = 0$ $f(1) = 1 \implies g(1) = h(1) \implies P(1) = 0$ $f(a) = 1 \implies g(a) = h(a) \implies P(a) = 0$ $f(b) = 1 \implies g(b) = h(b) \implies P(b) = 0$ が成り立つ。

$0, 1, a, b$ はすべて異なる4つの値である。 3次以下の多項式 $P(x)$ が4つの異なる実数解を持つためには、$P(x)$ は恒等的に $0$ でなければならない。 よって、すべての $x$ について $P(x) = 0$、すなわち $g(x) = h(x)$ であることが示された。(証明終)

(iii) (ii) の場合が起こるとき、$f(x) = \{g(x)\}^2$ と表せる。 $f(x)$ はモニック(最高次係数が1)な4次式であるから、$g(x)$ はモニックな2次式(または最高次係数が $-1$ の2次式だが、2乗するためモニックとしてよい)である。 $g(x) = x^2 + px + q$ ($p, q$ は整数)とおく。

$$ \{g(x)\}^2 = (x^2 + px + q)^2 = x^4 + 2px^3 + (p^2 + 2q)x^2 + 2pqx + q^2 $$

一方、

$$ f(x) = x(x-1)(x-a)(x-b) + 1 = x^4 - (a+b+1)x^3 + (ab+a+b)x^2 - abx + 1 $$

各次数の係数を比較して、以下の連立方程式を得る。

  1. $2p = -(a+b+1)$
  2. $p^2 + 2q = ab + a + b$
  3. $2pq = -ab$
  4. $q^2 = 1$

4)より、$q = 1$ または $q = -1$ である。 ここで $q = 1$ の場合を考える。 3)より $ab = -2p$ これを1)に用いて変形すると、$a+b = -2p - 1$ これらを2)に代入して、

$$ p^2 + 2(1) = -2p + (-2p - 1) $$

$$ p^2 + 4p + 3 = 0 \iff (p+1)(p+3) = 0 $$

よって $p = -1, -3$

$p = -3$ のとき、$ab = 6, a+b = 5$ となる。 これを満たす $a, b$ は、二次方程式 $t^2 - 5t + 6 = 0$ の解であり、$t = 2, 3$ である。 $a = 2, b = 3$ (または $a = 3, b = 2$)とすれば、「$0, 1$ のいずれとも異なり、互いに異なる2整数」という条件をすべて満たす。 (※ちなみに $p = -1$ のときは $ab = 2, a+b = 1$ となり整数解を持たない)

よって、求める組の一つは $a = 2, b = 3$ である。 (※ $q=-1$ から導かれる $a=-1, b=-2$ や $a=2, b=-1$ も正解となる)


解説

多項式の恒等式と整数条件を組み合わせた、非常に有名で美しい問題である。 (i) は代入して積が $1$ になる整数の性質を使うだけである。 (ii) は「多項式が恒等的に等しい」ことを示すための強力な手筋である、「(次数)+1 個以上の点で値が一致するならば、その多項式は完全に一致する」という性質(因数定理の応用)を利用する。$0, 1, a, b$ の4点で値が一致することが、見事に次数の上限(3次以下)を上回っている点がポイントだ。 (iii) は (ii) の結果から $f(x)$ が「平方数(2次式の2乗)」になるように係数を決定する。実はこの問題の背景には、$x(x-1)(x-2)(x-3)+1 = (x^2-3x+1)^2$ のように「連続する4つの整数の積に1を足すと必ず平方数になる」という有名な数学的性質が隠れている。

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