京都大学 1986年 理系 第2問 解説

方針・初手
立体がどのような形をしているかを直接想像するのは難しいため、平面 $z=a$ による切り口を考える。 動点 $P, Q$ の座標を時刻 $t$ を用いてパラメータ表示し、線分 $PQ$ と平面 $z=a$ の交点 $R$ の軌跡を調べる方針をとる。このとき、空間座標のまま扱うよりも、 $xy$ 平面への正射影を考えると見通しが良くなる。
解法1
空間内の点 $X$ の $xy$ 平面(平面 $z=0$)への正射影を $X'$ で表す。 条件より、$\triangle A'B'C'$ は一辺の長さ $1$ の正三角形であり、点 $D, E, F$ はそれぞれ $A', B', C'$ と一致する。 動点 $P, Q$ は一定の速さで一周するため、それぞれ $1$ つの辺を時間 $1$ で進むとして、時刻 $t \ (0 \leqq t \leqq 3)$ における位置を考える。
平面 $z=a \ (0 \leqq a \leqq 1)$ と線分 $PQ$ の交点を $R$ とする。 点 $P$ の $z$ 座標は $1$、点 $Q$ の $z$ 座標は $0$ であるから、点 $R$ の $z$ 座標が $a$ になるためには、$R$ は線分 $QP$ を $a : (1-a)$ に内分する点でなければならない。 よって、その正射影 $R'$ は線分 $Q'P'$ を $a : (1-a)$ に内分する点であり、原点を $O$ とすると次のように表される。
$$ \vec{OR'} = (1-a)\vec{OQ'} + a\vec{OP'} $$
$R'$ が描く軌跡を、時間帯ごとに場合分けして調べる。
(i) $0 \leqq t \leqq 1$ のとき
点 $P$ は $A$ から $B$ へ、点 $Q$ は $E$ から $F$(すなわち正射影では $B'$ から $C'$)へ動く。
$$ \vec{OP'} = (1-t)\vec{OA'} + t\vec{OB'} $$
$$ \vec{OQ'} = (1-t)\vec{OB'} + t\vec{OC'} $$
これらを $\vec{OR'}$ の式に代入して整理する。
$$ \begin{aligned} \vec{OR'} &= (1-a) \{ (1-t)\vec{OB'} + t\vec{OC'} \} + a \{ (1-t)\vec{OA'} + t\vec{OB'} \} \\ &= a(1-t)\vec{OA'} + \{a t + (1-a)(1-t)\}\vec{OB'} + (1-a)t\vec{OC'} \end{aligned} $$
これは $t$ についての $1$ 次式であるから、この区間で $R'$ の軌跡は線分である。 $t=0$ のとき、$\vec{OR'} = a\vec{OA'} + (1-a)\vec{OB'}$ となり、これは辺 $A'B'$ を $(1-a) : a$ に内分する点である。これを $U$ とおく。 $t=1$ のとき、$\vec{OR'} = a\vec{OB'} + (1-a)\vec{OC'}$ となり、これは辺 $B'C'$ を $(1-a) : a$ に内分する点である。これを $W$ とおく。 したがって、$0 \leqq t \leqq 1$ における $R'$ の軌跡は、線分 $UW$ である。
(ii) $1 \leqq t \leqq 2$ のとき
同様にして $t$ の $1$ 次式となるため、$R'$ の軌跡は線分になる。 $P$ は $B$ から $C$ へ、$Q$ は $F$ から $D$ へ動くため、$R'$ は辺 $B'C'$ 上の点 $W$ から出発し、辺 $C'A'$ を $(1-a) : a$ に内分する点 $X$ に至る線分 $WX$ を描く。
(iii) $2 \leqq t \leqq 3$ のとき
同様にして、$R'$ は線分 $XU$ を描く。
以上より、線分 $PQ$ が通過してできる曲面の平面 $z=a$ による切り口の周は、$\triangle UWX$ となる。 立体 $V$ はこの曲面と上下の面($\triangle ABC$ と $\triangle DEF$)で囲まれる立体であるから、平面 $z=a$ による切り口の図形は、$\triangle UWX$ の周およびその内部である。
$\triangle A'B'C'$ は一辺の長さ $1$ の正三角形であり、$U, W, X$ は各辺を同じ比 $(1-a) : a$ に内分する点であるため、$\triangle UWX$ は正三角形となる。 $\triangle UB'W$ において、余弦定理より一辺の長さを求める。
$$ \begin{aligned} UW^2 &= UB'^2 + B'W^2 - 2 \cdot UB' \cdot B'W \cos 60^\circ \\ &= a^2 + (1-a)^2 - 2a(1-a) \cdot \frac{1}{2} \\ &= a^2 + (1 - 2a + a^2) - a + a^2 \\ &= 3a^2 - 3a + 1 \end{aligned} $$
よって、$UW = \sqrt{3a^2 - 3a + 1}$ となる。
(1) の答え
一辺の長さが $\sqrt{3a^2 - 3a + 1}$ の正三角形(の周および内部)。
(2)
(1) より、平面 $z=a$ における切り口の面積 $S(a)$ は、次のように表される。
$$ S(a) = \frac{\sqrt{3}}{4} UW^2 = \frac{\sqrt{3}}{4} (3a^2 - 3a + 1) $$
立体 $V$ の体積はこれを $a=0$ から $1$ まで積分して求められる。
$$ \begin{aligned} V &= \int_0^1 \frac{\sqrt{3}}{4} (3a^2 - 3a + 1) da \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \left[ a^3 - \frac{3}{2}a^2 + a \right]_0^1 \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \left( 1 - \frac{3}{2} + 1 \right) \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot \frac{1}{2} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{8} \end{aligned} $$
解説
動く線分が通過してできる曲面(線織面)で囲まれた立体の体積を求める問題である。 空間座標のまま直接方程式を立てるのは困難なので、平面 $z=a$ による断面を考えるのが定石である。その際、交点の座標を $xy$ 平面に正射影してベクトルで処理することで、軌跡が直線(線分)になることが容易に証明できる。 切り口の図形が、元の三角形を少し回転させながら縮小・拡大したような正三角形になるという直感的に捉えづらい形状をしているが、立式さえできれば積分計算はシンプルに完了する。
答え
(1)
一辺の長さが $\sqrt{3a^2 - 3a + 1}$ の正三角形
(2)
$\dfrac{\sqrt{3}}{8}$
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