京都大学 1992年 理系 第5問 解説

方針・初手
放物線を回転させてできる曲面の方程式を求め、その曲面上の指定された4点における接平面の方程式を導出する。多変数関数の接平面は微積分を用いて求めるのが一般的だが、本問の曲面は2次曲面であるため、「曲面と平面の交線が1点に縮退する(重解を持つ)」という代数的な条件から接平面を求めることができる。接平面が求まった後は、それらと $xy$ 平面とで囲まれる立体の任意の高さ $z$ における断面の形状を考え、断面積を積分して体積を求める。
解法1
(1) $zx$ 平面上の放物線 $z = 1 - x^2$ を $z$ 軸のまわりに回転して得られる曲面の方程式は、点 $(x, y, z)$ の $z$ 軸からの距離の2乗が $x^2 + y^2$ であることから、次のように表される。
$$ z = 1 - (x^2 + y^2) = 1 - x^2 - y^2 $$
この曲面上の点 $(x_0, y_0, z_0)$ における接平面の方程式を $z = px + qy + r$ とおく。 曲面と平面が接するとき、その連立方程式は点 $(x_0, y_0)$ を唯一の実数解として持たなければならない。
$$ 1 - x^2 - y^2 = px + qy + r $$
整理して平方完成する。
$$ x^2 + px + y^2 + qy + r - 1 = 0 $$
$$ \left(x + \frac{p}{2}\right)^2 + \left(y + \frac{q}{2}\right)^2 = 1 - r + \frac{p^2}{4} + \frac{q^2}{4} $$
これが $(x, y) = (x_0, y_0)$ というただ1つの実数解を持つためには、右辺が $0$ となり、円の中心が $(x_0, y_0)$ に一致する必要がある。 したがって、$x_0 = -\frac{p}{2}$、$y_0 = -\frac{q}{2}$ より、$p = -2x_0$、$q = -2y_0$ となる。
点 $(t, 0, 1-t^2)$ における接平面を考える。$x_0 = t, y_0 = 0$ であるから、$p = -2t, q = 0$ となる。 また、接平面はこの接点を通るため、代入して $r$ を求める。
$$ 1 - t^2 = -2t \cdot t + 0 \cdot 0 + r \quad \therefore r = t^2 + 1 $$
よって、点 $(t, 0, 1-t^2)$ における接平面の方程式は以下のようになる。
$$ z = -2tx + t^2 + 1 $$
対称性より、他の3点における接平面の方程式も同様に求められる。 点 $(-t, 0, 1-t^2)$ における接平面: $z = 2tx + t^2 + 1$ 点 $(0, t, 1-t^2)$ における接平面: $z = -2ty + t^2 + 1$ 点 $(0, -t, 1-t^2)$ における接平面: $z = 2ty + t^2 + 1$
これら4つの接平面と $xy$ 平面 ($z=0$) で囲まれる立体は、以下の不等式を満たす領域である。
$$ \begin{cases} 0 \le z \le -2tx + t^2 + 1 \\ 0 \le z \le 2tx + t^2 + 1 \\ 0 \le z \le -2ty + t^2 + 1 \\ 0 \le z \le 2ty + t^2 + 1 \end{cases} $$
これを $|x|$ と $|y|$ を用いてまとめると、次のようになる。
$$ 0 \le z \le -2t|x| + t^2 + 1 \quad \text{かつ} \quad 0 \le z \le -2t|y| + t^2 + 1 $$
高さ $z = k$ ($0 \le k \le t^2 + 1$) における断面の領域は以下の不等式を満たす。
$$ 2t|x| \le t^2 + 1 - k \implies |x| \le \frac{t^2 + 1 - k}{2t} $$
$$ 2t|y| \le t^2 + 1 - k \implies |y| \le \frac{t^2 + 1 - k}{2t} $$
これは、一辺の長さが $2 \times \frac{t^2 + 1 - k}{2t} = \frac{t^2 + 1 - k}{t}$ の正方形である。 したがって、高さ $k$ における断面積 $S(k)$ は
$$ S(k) = \left( \frac{t^2 + 1 - k}{t} \right)^2 = \frac{1}{t^2} (t^2 + 1 - k)^2 $$
求める立体の体積 $V(t)$ は、これを $k$ について $0$ から $t^2 + 1$ まで積分したものである。
$$ \begin{aligned} V(t) &= \int_{0}^{t^2+1} \frac{1}{t^2} (t^2 + 1 - k)^2 dk \\ &= \frac{1}{t^2} \left[ -\frac{1}{3} (t^2 + 1 - k)^3 \right]_{0}^{t^2+1} \\ &= \frac{1}{t^2} \left( 0 - \left( -\frac{1}{3} (t^2 + 1)^3 \right) \right) \\ &= \frac{(t^2 + 1)^3}{3t^2} \end{aligned} $$
(2) $V(t)$ を $t$ で微分して増減を調べる。
$$ \begin{aligned} V'(t) &= \frac{1}{3} \cdot \frac{3(t^2+1)^2 \cdot 2t \cdot t^2 - (t^2+1)^3 \cdot 2t}{(t^2)^2} \\ &= \frac{2t(t^2+1)^2 \{3t^2 - (t^2+1)\}}{3t^4} \\ &= \frac{2(t^2+1)^2 (2t^2-1)}{3t^3} \end{aligned} $$
$0 < t < 1$ において $V'(t) = 0$ となるのは、$2t^2 - 1 = 0$ すなわち $t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のときである。 増減表は以下のようになる。
| $t$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\frac{1}{\sqrt{2}}$ | $\cdots$ | $(1)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $V'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $V(t)$ | $\searrow$ | 極小かつ最小 | $\nearrow$ |
したがって、$t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき $V(t)$ は最小となる。 そのときの最小値は、
$$ V\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) = \frac{\left(\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + 1\right)^3}{3 \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2} = \frac{\left(\frac{1}{2} + 1\right)^3}{3 \cdot \frac{1}{2}} = \frac{\left(\frac{3}{2}\right)^3}{\frac{3}{2}} = \left(\frac{3}{2}\right)^2 = \frac{9}{4} $$
解説
空間図形の体積を求める典型問題である。回転体の接平面を求める際、大学数学で学ぶ偏微分や法線ベクトルの知識を用いると機械的に処理できるが、本解答のように「交線が重解を持つ条件」として円の方程式に帰着させる平方完成のテクニックは、高校数学の範囲内で論理的に美しく、かつ計算ミスも減らせる優れた手法である。 断面が常に相似な正方形になる(立体が四角錐になる)ことを見抜ければ、四角錐の体積公式 $V = \frac{1}{3} \times (\text{底面積}) \times (\text{高さ})$ を用いて $V(t) = \frac{1}{3} \cdot \left(\frac{t^2+1}{t}\right)^2 \cdot (t^2+1)$ と立式することも可能であり、積分計算を省略できる。
答え
(1)
$V(t) = \frac{(t^2 + 1)^3}{3t^2}$
(2)
$t = \frac{\sqrt{2}}{2}$ のとき、最小値 $\frac{9}{4}$
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