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京都大学 1988年 理系 第6問 解説

数学3/積分法数学3/微分法テーマ/面積・体積テーマ/速度・距離
京都大学 1988年 理系 第6問 解説

方針・初手

容器の上面と底面の半径に関する条件から、曲線の式に含まれる未定定数 $a, b$ の値をまず決定する。 (1)は $y$ 軸まわりの回転体の体積を求める公式 $V = \int \pi x^2 \, dy$ を用いて、定積分を計算する。 (2)の水面の上昇速度を求める問題では、体積 $V$ を時間 $t$ で微分する。その際、合成関数の微分法 $\frac{dV}{dt} = \frac{dV}{dh} \cdot \frac{dh}{dt}$ ($h$ は水面の高さ)を利用するのが定石である。

解法1

曲線の式は $y = \frac{a}{x} + b$ である。 容器は $y$ 軸まわりの回転体であり、底面($y=0$)の半径が $5$ cm、上面($y=8$)の半径が $1$ cm である。 曲線を $x > 0$ の範囲で考えると、$y = 0$ のとき $x = 5$、$y = 8$ のとき $x = 1$ を通る。 これらを代入して、

$$ \begin{cases} 0 = \frac{a}{5} + b \\ 8 = a + b \end{cases} $$

第1式より $a = -5b$。これを第2式に代入して $-4b = 8$ より $b = -2$。 よって $a = 10$ となり、曲線の式は以下のようになる。

$$ y = \frac{10}{x} - 2 $$

これを $x$ について解くと、

$$ x = \frac{10}{y + 2} \quad \cdots (*) $$

(1)

この容器に深さ $6$ cm まで水を入れたときの水の体積 $V_1$ を求める。 $y$ 軸まわりの回転体の体積の公式より、

$$ \begin{aligned} V_1 &= \int_{0}^{6} \pi x^2 \, dy \\ &= \pi \int_{0}^{6} \left( \frac{10}{y + 2} \right)^2 dy \\ &= 100\pi \int_{0}^{6} (y + 2)^{-2} dy \\ &= 100\pi \left[ -(y + 2)^{-1} \right]_{0}^{6} \\ &= 100\pi \left( -\frac{1}{8} + \frac{1}{2} \right) \\ &= 100\pi \cdot \frac{3}{8} \\ &= \frac{75}{2}\pi \end{aligned} $$

(2)

時刻 $t$(秒)における水の深さを $h$ cm、体積を $V$ cm$^3$ とし、水面の上昇速度を $v$ cm/s とすると、$v = \frac{dh}{dt}$ である。 容器に毎秒 $k$ cm$^3$ の割合で水を入れるので、体積の時間変化率は $\frac{dV}{dt} = k$ である。 一方、合成関数の微分法を用いると、

$$ \frac{dV}{dt} = \frac{dV}{dh} \cdot \frac{dh}{dt} $$

ここで、深さ $h$ における水の体積 $V$ は $V = \int_{0}^{h} \pi x^2 \, dy$ であるから、これを $h$ で微分した $\frac{dV}{dh}$ は深さ $h$ における水面の面積(断面積)に等しい。 $(*)$ より、深さ $h$ における断面積は $\pi \left( \frac{10}{h + 2} \right)^2$ である。 $h = 3$ のとき、

$$ \frac{dV}{dh} = \pi \left( \frac{10}{3 + 2} \right)^2 = \pi \left( \frac{10}{5} \right)^2 = 4\pi $$

したがって、$t$ で微分した式に $\frac{dV}{dt} = k$, $\frac{dV}{dh} = 4\pi$ を代入すると、

$$ k = 4\pi \cdot \frac{dh}{dt} $$

$$ \frac{dh}{dt} = \frac{k}{4\pi} $$

よって、深さ $3$ cm のときの水面の上昇速度は $\frac{k}{4\pi}$ cm/s である。

解説

回転体の体積積分と、微分法を用いた変化率の計算を組み合わせた標準的な問題である。 体積の積分計算では、積分変数が $y$ であることに注意し、$x$ ではなく $x^2$ を $y$ の式で表して計算する。 (2)のような「水面の上昇速度」を問う問題では、$\frac{dV}{dt} = \frac{dV}{dh} \cdot \frac{dh}{dt} = S(h) \cdot v$ ($S(h)$ は高さ $h$ における断面積)という関係式を用いるのが定石である。体積の式を陽に求めてから微分しても解けるが、微積分学の基本定理 $\frac{d}{dh} \int_{0}^{h} S(y) \, dy = S(h)$ を利用すると計算量が減り、見通しが良くなる。

答え

(1)

$$ \frac{75}{2}\pi \text{ cm}^3 $$

(2)

$$ \frac{k}{4\pi} \text{ cm/s} $$

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