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京都大学 1986年 理系 第6問 解説

数学3/積分法数学3/微分法数学2/三角関数テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
京都大学 1986年 理系 第6問 解説

方針・初手

領域の面積を $r$ の関数として直接立式することも可能であるが、直角三角形 $\triangle OPO'$ の鋭角 $\angle POO' = \theta$ をパラメータとして用いることで、三角関数の微積分に持ち込むことができ、計算の見通しが格段に良くなる。 また、求める面積は図形的に「四角形から2つの弓形を引いたもの」になるが、式を整理すると「四角形の面積を2倍して、2つの扇形を引いたもの」と同値になることに気づくのが計算量削減のポイントである。

解法1

円 $C$ の半径は $r \ (0 < r < 1)$ であり、中心は $O(0,0)$ である。 円 $C'$ は中心が $O'(1,0)$ で、円 $C$ と2点 $P, Q$ で交わり、$OP \perp O'P$ を満たす。 $\triangle OPO'$ は $\angle OPO' = 90^\circ$ の直角三角形であり、$OP = r, OO' = 1$ であるから、三平方の定理より $O'P = \sqrt{1 - r^2}$ である。すなわち、円 $C'$ の半径は $r' = \sqrt{1 - r^2}$ である。 $x$ 軸に関する対称性から、$\triangle OQO'$ も $\angle OQO' = 90^\circ$ の直角三角形である。

ここで、$\angle POO' = \theta \ (0 < \theta < \pi/2)$ とおく。 直角三角形 $\triangle OPO'$ において、

$$ \cos\theta = \frac{OP}{OO'} = r, \quad \sin\theta = \frac{O'P}{OO'} = \sqrt{1 - r^2} $$

が成り立つ。また、$\angle PO'O = \frac{\pi}{2} - \theta$ である。

領域 $D''$ は四角形 $OPO'Q$ の内部である。 直線 $O'P$ と $O'Q$ は、それぞれ点 $P, Q$ で半径 $OP, OQ$ と直交するため、円 $C$ の接線である。したがって、円 $C$ 全体は四角形 $OPO'Q$ と弦 $PQ$ で挟まれた領域に存在し、共通部分 $D \cap D'$ の一部である弓形($O'$ 側)は四角形 $OPO'Q$ の内部に含まれる。 全く同様に、直線 $OP$ と $OQ$ は円 $C'$ の接線であるから、もう一方の弓形($O$ 側)も四角形 $OPO'Q$ の内部に含まれる。 よって、共通部分 $D \cap D'$(レンズ型の領域)は $D''$ の内部に完全に含まれる。

求める面積 $S$ は、$S = (\text{四角形 } OPO'Q \text{ の面積}) - (D \cap D' \text{ の面積})$ である。 $D \cap D'$ の面積は、弦 $PQ$ で分割された2つの弓形の面積の和である。

したがって、

$$ \begin{aligned} S &= (\text{四角形 } OPO'Q) - \left\{ (\text{扇形 } OPQ - \triangle OPQ) + (\text{扇形 } O'PQ - \triangle O'PQ) \right\} \\ &= (\text{四角形 } OPO'Q) + (\triangle OPQ + \triangle O'PQ) - (\text{扇形 } OPQ) - (\text{扇形 } O'PQ) \end{aligned} $$

ここで、$(\triangle OPQ) + (\triangle O'PQ) = (\text{四角形 } OPO'Q)$ であるから、

$$ S = 2 \times (\text{四角形 } OPO'Q) - (\text{扇形 } OPQ) - (\text{扇形 } O'PQ) $$

となる。

各図形の面積を $\theta$ を用いて表す。

$$ 2 \times \triangle OPO' = 2 \times \frac{1}{2} r \sqrt{1 - r^2} = \sin\theta \cos\theta $$

$$ \frac{1}{2} r^2 (2\theta) = \theta \cos^2\theta $$

$$ \frac{1}{2} (r')^2 (\pi - 2\theta) = \left( \frac{\pi}{2} - \theta \right) \sin^2\theta $$

これらを $S$ の式に代入して整理する。

$$ \begin{aligned} S(\theta) &= 2 \sin\theta \cos\theta - \theta \cos^2\theta - \left( \frac{\pi}{2} - \theta \right) \sin^2\theta \\ &= \sin(2\theta) - \theta (\cos^2\theta - \sin^2\theta) - \frac{\pi}{2} \sin^2\theta \\ &= \sin(2\theta) - \theta \cos(2\theta) - \frac{\pi}{2} \cdot \frac{1 - \cos(2\theta)}{2} \\ &= \sin(2\theta) + \left( \frac{\pi}{4} - \theta \right) \cos(2\theta) - \frac{\pi}{4} \end{aligned} $$

この $S(\theta)$ の $0 < \theta < \pi/2$ における最大値を求めるために、$\theta$ で微分する。

$$ \begin{aligned} S'(\theta) &= 2 \cos(2\theta) - 1 \cdot \cos(2\theta) + \left( \frac{\pi}{4} - \theta \right) (-2 \sin(2\theta)) \\ &= \cos(2\theta) - 2 \left( \frac{\pi}{4} - \theta \right) \sin(2\theta) \end{aligned} $$

$S'(\theta)$ の符号を調べるため、$t = 2\theta \ (0 < t < \pi)$ とおき、

$$ g(t) = \cos t - \left( \frac{\pi}{2} - t \right) \sin t $$

とする。$g(t)$ を微分すると、

$$ g'(t) = -\sin t - (-1)\sin t - \left( \frac{\pi}{2} - t \right) \cos t = -\left( \frac{\pi}{2} - t \right) \cos t $$

$0 < t < \pi/2$ のとき $g'(t) < 0$ であり、$\pi/2 < t < \pi$ のときも $(+) \cdot (-) = (-)$ となるため $g'(t) < 0$ である。 したがって、$g(t)$ は $0 < t < \pi$ において単調減少である。 $g(\pi/2) = 0$ であるから、$t < \pi/2$ のとき $g(t) > 0$、$t > \pi/2$ のとき $g(t) < 0$ となる。 これは $S'(\theta)$ が $\theta = \pi/4$ の前後で正から負に変わることを意味し、$S(\theta)$ は $\theta = \pi/4$ で極大かつ最大となる。

このとき、$r = \cos(\pi/4) = \frac{1}{\sqrt{2}}$ であり、条件 $0 < r < 1$ を満たす。 面積の最大値は、

$$ \begin{aligned} S\left(\frac{\pi}{4}\right) &= \sin\left(\frac{\pi}{2}\right) + \left( \frac{\pi}{4} - \frac{\pi}{4} \right) \cos\left(\frac{\pi}{2}\right) - \frac{\pi}{4} \\ &= 1 + 0 - \frac{\pi}{4} \\ &= 1 - \frac{\pi}{4} \end{aligned} $$

解説

円の交わりと領域の面積の最大化を問う問題である。 代数的に $r$ のまま進めると式が煩雑になるが、直角三角形という条件を活かして角度 $\theta$ でパラメータ化することで、三角関数の微積分へとスムーズに移行できる。 また、図形の面積を「2つの四角形の面積から、2つの扇形を引く」と見抜けるかどうかが、計算量を減らす最大の鍵となる。 導関数の符号変化を調べる際に、もう一度微分して単調性を確認する論法は、微積分における常套手段である。

答え

$$ 1 - \frac{\pi}{4} $$

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