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京都大学 1990年 理系 第2問 解説

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京都大学 1990年 理系 第2問 解説

方針・初手

三角形の 1 つの角の大きさと 3 辺の長さに関する条件が与えられているため、まずは余弦定理を用いて等式を立てます。 得られた等式を「(式) $\times$ (式) $=$ (素数の倍数)」の形(積の形)に変形し、素数の性質と三角形の成立条件(三角不等式)を利用して辺の長さを絞り込んでいきます。辺 $a$ と $c$ が対称に扱えることに注目し、大小関係を設定すると見通しが良くなります。

解法1

$\triangle \text{ABC}$ において、余弦定理より

$$ b^2 = a^2 + c^2 - 2ac \cos 60^{\circ} $$

$$ b^2 = a^2 + c^2 - ac \quad \cdots \text{(1)} $$

が成り立つ。

ここで、辺の長さ $a, c$ について、$a = c$ の場合と $a \neq c$ の場合で分ける。

(i) $a = c$ のとき

式 (1) は

$$ b^2 = a^2 + a^2 - a^2 = a^2 $$

となる。$a > 0, b > 0$ であるから、$b = a$ を得る。 したがって、$a = b = c$ となり、$\triangle \text{ABC}$ は正三角形である。

(ii) $a \neq c$ のとき

式 (1) において $a$ と $c$ は対称なので、一般性を失うことなく $a > c$ と仮定してよい。 式 (1) を変形すると、

$$ b^2 - c^2 = a^2 - ac $$

$$ (b - c)(b + c) = a(a - c) \quad \cdots \text{(2)} $$

$a > c$ より $a - c > 0$ であるから、式 (2) の右辺は正となる。 よって $(b - c)(b + c) > 0$ であり、$b + c > 0$ だから $b > c$ である。

また、$a$ は素数であるから、式 (2) より $(b - c)$ または $(b + c)$ は $a$ の倍数である。 ここで、三角形の成立条件(三角不等式)より

$$ |a - c| < b < a + c $$

が成り立つ。$a > c$ だから $a - c < b < a + c$ である。

この不等式から $b - c$ の範囲を調べると、

$$ (a - c) - c < b - c < (a + c) - c $$

$$ a - 2c < b - c < a $$

さらに、$b > c$ より $b - c > 0$ だから

$$ 0 < b - c < a $$

となる。したがって、$b - c$ は $a$ の倍数にはなり得ない。 ゆえに、$b + c$ が $a$ の倍数でなければならない。

次に、$b + c$ の範囲を調べると、三角不等式 $b < a + c$ より

$$ b + c < a + 2c $$

ここで、$a > c$ より $2c < 2a$ であるから、

$$ a + 2c < 3a $$

すなわち

$$ b + c < 3a $$

となる。また、$b > 0, c > 0$ と $a > c$ より、当然 $b + c > a$ である。(三角不等式 $a < b + c$ からも言える) したがって、

$$ a < b + c < 3a $$

となる。この範囲にある $a$ の倍数は $2a$ のみであるから、

$$ b + c = 2a \iff b = 2a - c $$

を得る。これを式 (1) に代入すると、

$$ (2a - c)^2 = a^2 + c^2 - ac $$

$$ 4a^2 - 4ac + c^2 = a^2 + c^2 - ac $$

$$ 3a^2 - 3ac = 0 $$

$$ 3a(a - c) = 0 $$

$a > 0$ であるから $a = c$ となるが、これは $a > c$ という仮定に矛盾する。 よって、$a \neq c$ となることはない。

(i), (ii) より、必ず $a = c$ であり、このとき $a = b = c$ が成り立つ。 以上より、$\triangle \text{ABC}$ は正三角形であることが示された。

解説

整数問題と図形問題の融合問題です。余弦定理で導いた式を因数分解し、「素数」という強力な条件を利用して候補を絞り込むのが典型的なアプローチです。 素数 $p$ が積 $XY$ を割り切るなら、$p$ は $X$ か $Y$ のどちらかを割り切るという性質を使います。

絞り込んだ後、その倍数が具体的に何になるかを特定するためには「不等式による評価」が必要不可欠です。本問では、三角形の辺の長さに関する条件である「三角不等式 ($|a - b| < c < a + b$)」がその評価の役割を果たします。対称性を利用して $a > c$ と設定することで、場合分けや記述の量を大幅に減らす工夫も重要です。

答え

略(解法1の証明を参照)

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