トップ 京都大学 1990年 理系 第3問

京都大学 1990年 理系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式旧課程/行列・一次変換テーマ/図形総合
京都大学 1990年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は成分計算で直接示すことができます。行列 $B$ は行列 $A$ の行と列を入れ替えた転置行列であり、この内積の性質は転置行列の基本的な性質そのものです。 (2) は (1) で示した等式を利用します。点 $P, Q, R$ の位置ベクトルを $\vec{p}, \vec{q}, \vec{r}$ とおき、「$f$ が $l$ をそれ自身にうつす」という条件から $\vec{q} = k\vec{p}$ と表せることに着目して立式し、図形的な意味を導き出します。

解法1

(1) $\vec{u} = \begin{pmatrix} x_1 \\ y_1 \end{pmatrix}, \vec{v} = \begin{pmatrix} x_2 \\ y_2 \end{pmatrix}$ とおく。

$$ f(\vec{u}) = A \vec{u} = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ y_1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} ax_1 + by_1 \\ cx_1 + dy_1 \end{pmatrix} $$

であるから、左辺の内積は

$$ f(\vec{u}) \cdot \vec{v} = (ax_1 + by_1)x_2 + (cx_1 + dy_1)y_2 = ax_1x_2 + by_1x_2 + cx_1y_2 + dy_1y_2 $$

となる。一方、

$$ g(\vec{v}) = B \vec{v} = \begin{pmatrix} a & c \\ b & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_2 \\ y_2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} ax_2 + cy_2 \\ bx_2 + dy_2 \end{pmatrix} $$

であるから、右辺の内積は

$$ \vec{u} \cdot g(\vec{v}) = x_1(ax_2 + cy_2) + y_1(bx_2 + dy_2) = ax_1x_2 + cx_1y_2 + bx_2y_1 + dy_1y_2 $$

となる。したがって、どんなベクトル $\vec{u}, \vec{v}$ に対しても

$$ f(\vec{u}) \cdot \vec{v} = \vec{u} \cdot g(\vec{v}) $$

が成り立つことが示された。

(2) $P, Q, R$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{p}, \vec{q}, \vec{r}$ とする。 点 $P$ は原点 $O$ を通る直線 $l$ 上の $O$ と異なる点であるから、$\vec{p} \neq \vec{0}$ であり、$\vec{p}$ は直線 $l$ の方向ベクトルとなる。 また、条件より $Q = f(P)$、すなわち $\vec{q} = f(\vec{p})$ であり、$R = g(P)$、すなわち $\vec{r} = g(\vec{p})$ である。

$1$次変換 $f$ は直線 $l$ をそれ自身にうつすため、$l$ 上の点 $P$ の像 $Q$ も $l$ 上にある。また、直線全体が直線全体にうつされるため、$\vec{q} \neq \vec{0}$ である。 したがって、実数 $k$ ($k \neq 0$) を用いて

$$ \vec{q} = k\vec{p} $$

と表すことができる。 ここで (1) の結果において $\vec{u} = \vec{p}, \vec{v} = \vec{p}$ とすると、

$$ f(\vec{p}) \cdot \vec{p} = \vec{p} \cdot g(\vec{p}) $$

$$ \vec{q} \cdot \vec{p} = \vec{p} \cdot \vec{r} $$

$\vec{q} = k\vec{p}$ を代入して変形すると、

$$ k\vec{p} \cdot \vec{p} = \vec{p} \cdot \vec{r} $$

$$ \vec{p} \cdot \vec{r} - k|\vec{p}|^2 = 0 $$

$$ \vec{p} \cdot (\vec{r} - k\vec{p}) = 0 $$

$$ \vec{p} \cdot (\vec{r} - \vec{q}) = 0 $$

$\vec{q} = k\vec{p}$ より $\vec{p} = \frac{1}{k}\vec{q}$ であるから、これを代入すると

$$ \frac{1}{k}\vec{q} \cdot (\vec{r} - \vec{q}) = 0 $$

$$ \vec{q} \cdot (\vec{r} - \vec{q}) = 0 $$

すなわち、

$$ \vec{OQ} \cdot \vec{QR} = 0 $$

が成り立つ。これについて、以下の2つの場合が考えられる。

(i)

$\vec{r} - \vec{q} = \vec{0}$ のとき $\vec{q} = \vec{r}$、すなわち $Q = R$ となり、(イ) が成り立つ。

(ii)

$\vec{r} - \vec{q} \neq \vec{0}$ のとき $Q \neq R$ である。 また、$k \neq 0$ かつ $\vec{p} \neq \vec{0}$ より $\vec{q} \neq \vec{0}$ であるから、$Q \neq O$ である。 さらに、$R = O$ と仮定すると、$\vec{OQ} \cdot \vec{QO} = -|\vec{OQ}|^2 = 0$ となり $Q = O$ となって矛盾するため、$R \neq O$ である。 したがって、3点 $Q, R, O$ は相異なる3点である。 このとき、$\vec{OQ} \cdot \vec{QR} = 0$ かつ $\vec{OQ} \neq \vec{0}, \vec{QR} \neq \vec{0}$ より $\vec{OQ} \perp \vec{QR}$ となり、3点 $O, Q, R$ は同一直線上にはない。 ゆえに、3点 $Q, R, O$ は $\angle OQR = 90^\circ$ の直角三角形の頂点となり、(ロ) が成り立つ。

(i), (ii) より、(イ)(ロ)のいずれかが成り立つことが示された。

解説

行列 $B$ は行列 $A$ の「転置行列」と呼ばれるもので、通常 $A^T$ などの記号で表されます。本問の (1) は、任意のベクトル $\vec{x}, \vec{y}$ について $(A\vec{x}) \cdot \vec{y} = \vec{x} \cdot (A^T \vec{y})$ が成り立つという、大学数学(線形代数)でも重要になる性質を成分計算で確認させるものです。

(2) は、(1) の誘導に素直に乗り、$\vec{u}, \vec{v}$ の両方に $\vec{p}$ を代入できるかがポイントです。幾何学的な意味合い($f$ の固有ベクトルなど)からアプローチするよりも、与えられた性質をベクトル方程式として処理する方が記述が簡潔になります。 また、「直線 $l$ をそれ自身にうつす」ことから $f(P)=Q$ が原点に重ならないこと($k \neq 0$)を言及し、直角三角形をなすための「3点が相異なる」ことや「同一直線上にない」ことの確認を怠らないようにしましょう。

答え

略(解法1の証明を参照)

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。